歌声
念願の…
ウィズ先生の授業が終わる
彼からは、
「体力は基本だ。
自ら動かねば、攻撃することも防御することも出来ない。
魔法が使えないなら尚更だ。途中でへばっても相手は攻撃を止めてくれない。
そうだな…さっきのペースで50周出来たら剣を教えよう。…頑張れ」
(鬼畜だ…)
でも頑張るしかないので、やりきろうと思うが
フラフラになりながら寮に帰り、エミリオとご飯を食べる。
「ウィズ先生と特別授業なんだって?…どんなの?剣技とか教えてもらったの?」
「いや、今日は…走り込みだ…」
相当滅入った顔をしたのだろう、エミリオの血の気が引いていた。
「…そ、そうなんだね」
「エミリオはどうだった?魔法使えたか?」
「いや…体の中にあるのは分かるんだけど…蝋燭に火を付けれなかったよ…クラスの中で出来たのは一人だけ」
「誰?」
「スペンス・アーカイル。…アーカイル侯爵の一人娘だよ」
「へぇー。」
アーカイル侯爵…侯爵位2番目の貴族。
商業、政治、全てにおいてやり手だと言われている。
「明日、クラスで見ておくよ。」
「そうだね。その方が良いかもね」
***
ご飯を食べ終え、明日も授業があるため、早々と眠ることを決めた。
隣からはエミリオの規則的な寝息が聞こえる。
僕は、疲れているのに眠ることが出来ずにいた。
(…何が目的でこの学校に来たんだっけ…)
グルグルと同じ悩みを考える
(…考えても埒があかないもう寝よう)
♪~
目を瞑った時、少し開けていた窓から風に運ばれて微かながらに聞こえる綺麗な歌声。
(こんな夜中に誰だろう?)
気になった僕は、布団から出て歩きだす。
寮の隣にある森
学校の結界によって魔物はいないが、深く広い森だ。
♪~
(この奥かな…)
僕は、歌声が聞こえる方へ足を進めていく。
物音をたてないように慎重に歩いて行く。
♪~♪♪~
大分近づいたようで、鮮明に聞こえる。
透明感のある心地良い歌声に僕は魅了されていた。
顔を見たくなって一歩踏み出したら、足元の小枝がバキッと鳴ってしまう。
「誰っ!!!」
歌声の彼女にも聞こえたようで、折角の歌が止まってしまう。
僕は、彼女に見えるように近づいた。
近づいたお陰で僕も彼女が見える。
ストレートで燃える夕日の綺麗な赤毛の彼女だった。
「僕は、イルビア・ロットです。窓から聞こえたので、気になっしまい…盗み聞きするようなことをしてしまい、申し訳ございません。」
僕は誠意を込めて頭を下げる。
「…そうでしたか…」
彼女は納得してくれたようだ。
「勝手に聞いといて何ですが…素敵でした。
もし良かった…ら」
やはり聞かれたく無かったのだろう。
彼女は、寮へ足早に去っていった。
***
翌日
エミリオを叩き起こしたりと、昨日と変わらないことをして、授業へと向かう。
歴史学からだ。
「イル。昨日言ってたスペンス・アーカイルさん。」
教室に入ってきた人をエミリオは紹介してくれた。
「…あ、」
その人は歌っていた彼女だった。
ヒロイン回
やっとここまでこれた…




