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第20章 発覚の危機


 地下通路の奥から近づいてくる足音は、明らかに一人ではなかった。

 ――二人、いや三人。規則正しい靴音が重なって響いてくる。


 悟は顔をこわばらせ、翔子を庇うように前へ立った。

 光輝は女性を抱えた誠に目を向け、低く囁いた。

 「誠さん……隠れる場所なんて、どこにもないぞ」


 誠は冷静に周囲を見渡した。格納室の奥、使用されていない大きな箱が目に入る。

 「中に入るんだ。音を立てるな」


 全員が必死に動き、女性を抱えたまま大きな箱の中に身を潜めた。

 正弘が扉を閉めると、闇が訪れた。息苦しいほどの狭さの中、全員が呼吸を殺した。


 ――ガチャン。

 通路の扉が開く音。

 職員たちの声が響く。

 「今夜は予定外に“動き”があったと報告が来ている」

 「どこまで広がった?」

 「地下のセンサーが反応した。……まだ近くにいるかもしれない」


 翔子が震える肩を悟に押し付け、必死に口を噛みしめた。


 足音が格納室に入ってくる。

 金属を叩く音が響き、箱の一つひとつを確認しているようだった。

 「……異常なし」

 「いや、まだだ。全て開けろ」


 その言葉に、全員の心臓が跳ねた。

 光輝は汗を滴らせ、弘子の手を握りしめた。

 「……終わりか」誰かがかすかに呟いた。


 だが次の瞬間、別の声が響いた。

 「待て。川添主任から指示が入った。探索はここまでだ」

 「しかし――」

 「いいから戻るぞ。次の搬送の準備が優先だ」


 足音が遠ざかっていく。扉が閉まり、再び静寂が訪れた。


 箱の中で息をついて、誠が低く呟いた。

 「……助かったのは偶然だ。次はない」

 悟が額の汗を拭いながら頷いた。

 「もう、迷ってる場合じゃないな」


 女性はかすかな声で囁いた。

 「……でて……にげて……」

 その弱々しい言葉は、六人の胸に鋭く突き刺さった。


 闇の中、彼らは心の奥で同じ決意を固めていた。

 ――次に動くときは、生きて出るためだ。



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