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第17章 地下への潜入

夜十一時。

 施設は深い静寂に包まれ、廊下の蛍光灯もまばらにしか点いていなかった。


 悟、翔子、光輝、塩谷夫妻、そして宮本誠――六人は小さな懐中電灯を手に、秘密の通路へ向かった。


 「地下の扉はこの奥だ」誠が囁く。

 薄暗い廊下を進むたび、床のきしむ音が大きく響いた。

 翔子の手が震える。

 「……本当に、行くの?」

 悟が手を握り、力強く頷いた。

 「ここまで来たんだ。引き返せない」


 扉の前に到着する。鉄製で頑丈そうだが、鍵はかかっていなかった。

 ゆっくりと押し開けると、湿った空気と冷気が押し寄せる。

 地下通路は長く、壁には排水の跡が残っていた。ライトの光が、床に反射して揺れる。


 光輝が先導し、壁沿いに慎重に進む。

 「……何か臭う」

 翔子は鼻を押さえ、顔をしかめた。

 「血……じゃない?」


 塩谷正弘が小声で答える。

 「いや、何か薬品の匂いだ。けれど、人間臭も混ざってる」


 やがて行き止まりに差し掛かると、そこには不自然な扉があった。

 《搬送用・関係者以外立入禁止》と記された金属製の扉。

 誠が鍵穴を覗き込むと、内部は暗く、何かが動いた気配がした。

 「来るぞ……気を抜くな」


 悟が深呼吸して扉を押す。軋む音と共に開くと、そこは小さな格納室。

 床にはカートがあり、壁沿いには小さな窓付きの隔離箱がいくつも並んでいた。


 翔子が息を呑む。

 「……人が、入ってる?」

 光輝が懐中電灯を当てると、箱の中には白いシーツにくるまれた「人型」の影がいくつも見えた。


 正弘が怒声を抑えつつ呟いた。

 「……これ、安楽死した人たちか……」

 弘子が顔を覆った。

 「こんな……私たちも、こうなるの?」


 誠は冷静にノートを取り出し、箱の位置や番号を記録した。

 「……これは搬送ルートだ。消えた者はここを経由している」

 悟が拳を握りしめる。

 「絶対に、娘さんを見つける」


 その瞬間、遠くから機械音が響いた。

 ――地下の自動扉が開く音。

 誰かがこちらを監視している。


 翔子の目に恐怖が広がる。

 「……見つかった!」

 光輝が咳払いし、懐中電灯を手で覆った。

 「冷静に……動くな」


 六人は身を潜め、次の一手を考えながら、息を殺してその音を聞いた。


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