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夜の独白・4

4. 塩谷夫妻の独白




 塩谷弘子は夫の寝顔を見つめながら、静かに手を握った。


 若い頃、二人で必死に働き、子を育て、ようやく手が離れたと思ったら、老後は苦しい生活が待っていた。


 「私たちの人生は、報われたのかしら」


 問いに答えはなかった。けれど、隣に正弘がいることだけが確かな救いだった。




 一方、正弘は半ば眠りながらも意識の奥で思っていた。


 ――弘子を一人にしてはいけない。最期まで、共に行こう。


 その決意だけが、老いさらばえた身体を支えていた。




 それぞれの夜は、静けさの中で深く沈んでいった。


 死を選んでここに来た者たちが、同時に「まだ繋がりたい」と願い始めている。


 その矛盾こそが、彼らを生きている証だった。



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