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夜の独白・3
3. 光輝の独白
杉村光輝は机にノートを開き、ペンを走らせていた。
《働いた。疲れた。何も残らなかった》
文字は乱れ、涙でにじんだ。
長年勤めた会社は安定をくれたが、幸福は与えてくれなかった。同期が家庭を築く中、自分は仕事に身を削り、気づけば孤独だけが残っていた。
「死んでも、誰も泣かないだろうな」
その事実が、何よりも胸に重かった。
だが今日、翔子の「居場所がなかった」という言葉が、妙に胸を打った。
――俺も同じだ。けれど、こうして話せる相手がいるだけで少し救われる。
光輝はそう記し、ノートを閉じた。




