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第29話 奇談散歩【83】比叡山の七不思議 ③ 一文字狸

『一文字狸(いちもんじたぬき)』

 延暦寺は東を「東塔」、西を「西塔」、そして北を「横川」の3つのエリアに区分されていますが、この「一文字狸」は、西塔にある ※『にない堂』に纏わる七不思議のひとつです。


 椿堂から北へすぐの『にない堂』に纏わる不思議、

 さて、この「にない堂」の修行僧「真弁(しんべん)」は、自身の気難しい性格を変えよう思い立ち、剽軽ものの狸にあやかろうと考えて、狸を彫ることにした。

 その彫刻を始めてから暫くたった ある夜 ――

 一陣の風とともに毛に覆われた巨大な獣の足が現れた。

 見上げると、それは、真っ白な眉毛を一文字にひいた大狸で、

「己の為でなく、御仏に仕える身として仏道修行の為に千体を彫る誓願を立てるならば助けてやろう」と告げた。

 真弁は己の心得違いに気が付き、それから千日回峰行を始め、一日の行が終わる度に一体彫り、七年目の千日回峰行満願のときには、千体の狸ができあがったという。


 その千体狸の彫刻は、

 織田信長の比叡山焼き討ちで焼失したと伝わる。




※ 左側に「常行堂」、右側に「法華堂」があり、この二つの堂は渡り廊下で繋がっており、『にない堂』と呼ばれています。力自慢の弁慶が、この渡り廊下を天秤棒のように担ぎ上げて繋いだ。渡り廊下を天秤にして二つの御堂を担ぎ上げた。という伝承があり、『弁慶のにない堂』とも呼ばれています。



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