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第28話 奇談散歩【83】比叡山の七不思議 ② 船坂の靄船
『船坂の靄船』
東塔エリアにある延暦寺会館の前の坂道を下ると、急な坂が見えてきます。この坂は以前は「表坂」と呼ばれていましたが、ある怪事以降「船坂」と呼ばれるようになりました。
その謂れとは ――
ある夜、比叡山の麓にある坂本の町で酒を飲んだ山法師が表坂を登って帰る道中、突然、一面に濃い靄がかかり足元も見えぬほどになった。山法師が立ち尽くしていると、靄の中から多くの女人たちが念仏を唱える声が聞こえる。
比叡山は女人禁制、女人の声が聞こえる筈もない、これは飲みすぎたかと思っていると、靄の中から二艘、三艘と次々に船が浮かび上がり、それには念珠を手にした多くの女人が乗船している、無論生者であろうはずはない。法師は船上の亡者と目があったとたんに気を失い、ほどなく死んでしまった。それから表坂を船坂と呼ぶようになったという。




