第27話 奇談散歩【83】比叡山の七不思議 ① 一眼一足法師・麗人の水垢離
〈東塔エリア〉
①一つ目小僧 ②なすび婆 ③船坂の靄船 ④麗人の水垢離
〈西塔エリア〉
⑤一文字狸
〈横川エリア〉
⑥横川の大蛇 ⑦六道踊り
『一つ目小僧・一眼一足法師』
東塔エリアの「総持坊」という修行道場、
その玄関上部に掛けられている「一眼一足で手に鉦を持つ僧侶の絵」、これは、第十八世座主である慈恵大師の弟子「慈忍和尚」が描かれていると言われています。
慈忍は師の厳しい教えを実践し、戒律を守り、他の修行僧にも厳しい指導を行っていた僧侶で、その死後も比叡山の戒律を守り続けた、と伝わり、
未熟な僧が修行をサボったり、酒を買いに行こうとすると、一眼一足の姿で現れ不心得者を叱りつけたといいます。
慈忍和尚の墓所は比叡山の横川から東へ2キロほど離れた飯室にあり “ 比叡山三魔所 ” のひとつとされています。
『麗人の水垢離』
船坂にある法然堂から約200メートルほど下った左手に、かつては五智院という寺がありました。現在は廃寺となって名もない御堂が残っているだけですが、ここには「麗人の水垢離」という不思議が伝わっています。
ある夜、この寺の賢秀という僧侶が仏間の物音で目をさますと、多くの位牌の中のひとつが小刻みにカタカタと鳴動しています。
賢秀が訝しんでいると、谷間からは水音が、
このような夜中に何が … と谷を下り辺りを伺うと、美しい女人が水垢離をしていました。「女人禁制の比叡山で?」と、ますます怪しく思っていると、女人の姿は消え失せ水音だけが響いていました。
昨夜の女人は一体何者か?知るものも居らず、気にかかっていた賢秀、次の夜も谷間から水音が聞こえ、女人の正体を確かめようとして様子を見に行き、水垢離をしていた女人に見つかってしまいます。
女人は、賢秀に「仏間の位牌は私のものでございます。魂を比叡山に託して修行することで女人往生、極楽へ行くことができると、生前伺っておりました」と告げた後、その姿は掻き消すように闇に消え、その後、仏間の位牌も消えたといいます。
女人は浄土へ行くことができたのでしょうか?




