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金魚の幽霊

“ 金魚の幽霊 ” は、「山東京伝」による読本『梅花氷裂』に登場する妖怪、幽霊。この名称は漫画家・水木しげる氏によるもの、


 昔々、信濃国で ―――

 ある家に妾に迎え入れられた「藻之花」という女性が、隣人にそそのかされた正妻に殺害された。殺害方法は ≪ 手足を縛り上げた藻之花の頭を、飼っていた金魚の鉢に突っ込む ≫ という凄惨なものであった。

 後に、その金魚鉢の金魚に藻之花の怨念が憑き、正妻は金魚のような姿に成る病に罹り、あえない最期を遂げたという。


梅由兵衛物語梅花氷裂(うめのよしべえものがたりばいかひょうれつ)

 前編、あらすじ

 時は貞治六年 ―――

 信濃国守護職 小串の家臣「唐琴浦右衛門」は、堺の浪人「粟野十郎左衛門」から明国渡来の金魚を求めて献上し、名刀「鎬藤四郎」を下賜される。

 この浦右衛門には正妻の「桟」との間に子供が無く、「藻の花」を召し抱えて妾とした。正妻の桟は、夫の留守中に「旧鳥蓑文太」と密通し、蓑文太に唆されて、藻之花を縛り上げ、彼女の飼っていた金魚の鉢に頭を押さえつけて殺害した。そのとき藻の花の怨魂は蘭鋳の金魚と変ず。


 その後、桟・蓑文太は名刀「鎬藤四郎」を盗んで行方をくらましたが、弟である滝次郎の知らせにより浦右衛門はそのことを知る。浦右衛門は桟・蓑文太を討ちに後を追うが、暗夜の笛吹(うすい)峠で返り討ちに合い、浦右衛門の供をしていた「鷺森数右衛門」も、粟野十郎左衛門に殺害される。

 その頃、堺では十郎左衛門の妻「沖津」が病に臥し、息子の「長吉」は献身的な看病をしていた。沖津には先夫との間に娘「小梅」があり、この「小梅」は数右衛門の息子「与四兵衛」に嫁いでいるので、小梅と長吉は姉弟ながら敵同士となり、二人の母である沖津はそれを気に病んで亡くなった。


 唐琴浦右衛門の弟 滝次郎は玉骨の刀と氷裂の鏡を主の小串から与えられ、下僕の袖助を連れて兄の敵討ちに旅立つ。


 桟・蓑文太は出羽・越後境の葡萄峠に隠れ住んでいたが、蓑文太は男鹿山の賊を討ち、山賊の頭目となった。一方、桟は藻の花の怨魂により金魚の様になる奇病に罹り浅ましい姿となった。病の桟が足手纏いとなった蓑文太は桟を殺害した。


 武蔵国柴崎村に住む与四兵衛・小梅の夫婦は研屋で名刀「鎬藤四郎」を発見したが、価五十両の工面がつかぬ、

 そんな小梅の元に巡礼姿の長吉が訪れる。互いに姉弟とわかるが名乗らない。長吉は苦難を語って去る。

 与四兵衛が帰ると入れ替わりに修行者姿の十郎左衛門が訪れ、「藻の花は妹であり、蓑文太と見誤って数右衛門を殺したので与四兵衛に討たれたい」と、覚悟を語って、短刀を腹に突き立てた。与四兵衛が十郎左衛門の首を打つかわりに(おい)を斬ると、長吉が転び出る。途中で父と出会い、笈の中にひそんでいたのである。すでに致命傷を負っている父子は互いに庇い合い絶命する。

 長吉の持っていた五十両は鎬藤四郎を購う費用とするが、買い戻してみると、それは真っ赤な偽物であった。



 水木しげる先生の『妖怪大図鑑』や『日本妖怪大全』で紹介されている「金魚の妖怪」 … 因果因縁が渦巻く山東京伝先生らしい話で、金魚の幽霊が活躍するのはその一部の様ですね、

 この上巻の後、中巻・下巻と、外連味たっぷりに因縁噺が続きます。

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