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カチコミ・イレブン 〜北野高校女子サッカー部、全国制覇への盃〜  作者: やしゅまる


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43/44

第43話「任侠の逆転 ― 全国制覇」

スタジアムが揺れた。

 梨花の両腕から放たれたボールは、まるで弾丸のようにゴール前へ突き刺さる。


 「うおおおおおっ!!」

 北野の仲間たちが一斉に飛び込む。

 混戦、こぼれ球――そこに紗希がいた。


 「ここしかないっ!」

 泥にまみれたスパイクで振り抜く。

 ――ドン!


 ゴールネットが震えた。


 「決まったぁぁぁ! 北野、同点!!!」

 実況の声がスタジアムに響き渡る。


 紗希は拳を突き上げ、涙を浮かべて空を見上げた。

 「お母さん……! 私、やったよ!」


 観客席では、酸素ボンベを抱えた母が小さく手を合わせ、震える肩を揺らして泣いていた。


 ◇


 ベンチから竜司の声が飛ぶ。

 「心愛! 裏にカチコミだ! 舞!お前の読みは世界一だ、潰せ! 美咲! それ以上シマ荒らされんな! 梨花! 相手のシマ目がけて任侠投げだ! 紗希! 最後にゴール決めてケジメつけてこい!母ちゃん見てんだろ!」


 ヤクザ仕込みの檄が、選手たちの血を沸かせた。


 心愛はニヤリと笑い、ゴール裏へ駆け出す。

 「裏は私の道――!」

 舞は冷静に読み切り、凰城の攻撃を潰す。

 「そこに出すでしょ……バルセロナ何それ?北野一家の方が凄いのよ!」

 美咲は果敢に飛び出し、相手のシュートをキャッチ。

 「うちのシマはもう絶対荒らさせない!」


 凰城は美しさを失った。

 御門エレナのパスは焦りに乱れ、天ヶ瀬瑠衣の突破も、北野の執念のタックルに阻まれる。


 「どうして……私たちのサッカーが通じないの!?」

 エレナの瞳に焦りが滲んだ。


 ◇


 そして、終盤。


 梨花が再びタッチラインに立つ。

 「任侠なげぇぇぇ!!」

 スタンドが総立ちで叫ぶ。太鼓の音、商店街の声援、農夫のクラクション、ヤクザの無言の圧力――全てが梨花の背を押す。


 「うらぁぁぁぁ!!」

 ボールはまたも矢のようにゴール前へ。


 こぼれ球を舞が拾う。

 「絶対に繋ぐ……!」

 冷静にクロスを放つ。


 そこに走り込んだのは紗希。

 「これで――ケジメだぁぁぁ!!」


 泥だらけの身体を投げ出し、渾身のダイビングヘッド。

 ――ドン!


 ゴールネットが大きく揺れた。


 「ゴオオオオール!! 逆転!! 北野、高校サッカーの頂点に立つ!!!」


 ◇


 笛が鳴る。

 スコアは2対1。北野高校、全国制覇。


 選手たちは抱き合い、涙を流す。

 「やったぁぁ!」「最高だああ!」

 心愛は祖父母に向かって笑顔で手を振り、舞は泣きながら父母のもとへ走った。

 梨花はヤンキー仲間にガッツポーズを見せ、紗希はスタンドの母に向かって深々と頭を下げた。


 観客席全体が大合唱する。

 「北野一家! 北野一家!」

 セレブな凰城応援団を飲み込み、スタジアムは泥臭い声援に支配された。


 ◇


 敗れた凰城キャプテン、御門エレナは呆然と立ち尽くしていた。

 「美しさだけでは……勝てないの……?」


 その横を通り過ぎる竜司が煙草をくわえ、ニヤリと笑う。

 「筋を通した一家に勝てるもんはねぇんだよ」


 涙と泥にまみれた北野の選手たちは、誇り高く拳を突き上げた。


 ――一家総出の勝利だった。


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