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カチコミ・イレブン 〜北野高校女子サッカー部、全国制覇への盃〜  作者: やしゅまる


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第12話「抗争の間合い」


 県大会五回戦。北野高校の相手は、技巧派の名門・東雲高校。華麗なパスワークで相手を翻弄し、県内で常にベスト4以上に食い込む強豪だ。選手一人ひとりのテクニックが高く、ワンタッチの連動で突破してくるのが最大の武器。


 試合前、控室。竜司はホワイトボードにフィールドを描き、ペンを叩きつけるように音を立てた。

「抗争ってのはな、先に道を塞いだヤツが勝つんだ。相手に自由に歩かせるな。背中から声をかけてビビらせろ」

 部員たちは眉をひそめる。舞がすぐに解説した。

「要はパスコースを切りながら寄せるの。カバーシャドウってやつ」


 梨花がうなずき、拳を握る。「道を塞げば、奴らは行き場がねぇ。やってやろうぜ!」


――――


 キックオフ。東雲は開始直後からリズムよくパスを回す。ワンタッチで右から左へ、中央から前へ――その華麗な流れに観客がどよめいた。

 だが北野は慌てない。舞が中盤で身体を開き、背中でパスコースを封じる。相手は次の選択肢を奪われ、苦し紛れに横へ展開する。

 「ナイス、道塞いでる!」と心愛が叫び、すぐにボールを奪取。


 しかし東雲も強豪。何度も三角形を作ってはワンタッチで剥がしにかかる。梨花が一瞬寄せ遅れ、中央を通される場面もあった。

 竜司はベンチから怒鳴る。

「オイ! 道を開けたら即カチコミだぞ!」

 その声に梨花は歯を食いしばり、次の守備で体を投げ出してパスコースを遮断した。


――――


 前半終了。0-0の拮抗。だが竜司の目は鋭く光る。

「いい感じや。奴ら、もう呼吸が浅くなっとる。道をふさがれたら、焦って自分らで自滅する」

 舞も冷静に言う。「後半、もっとラインをコンパクトにしていこう。後ろも声出して!」


――――


 後半20分。東雲がゴール前に迫る。右サイドから中央へ鋭い縦パス。完璧な崩しに見えたその瞬間――。

 心愛が一歩先を読み、スッと前に出る。足先でパスをかっさらい、そのままドリブル開始。

「よっしゃ、カウンターだ!」と舞が叫ぶ。


 心愛は中盤を突破し、縦に走る梨花へスルーパス。梨花は迷わず左へ流し込む。走り込んだのは紗季。全力で振り抜いたシュートがゴール右隅に突き刺さった。――1-0!


 ベンチが総立ちになり、竜司は拳を突き上げた。

「道を塞いで奪った一撃や! これが抗争の極意よ!」


――――


 残り時間、東雲は必死にボールを回す。しかし北野の守備網は崩れない。舞が前から、梨花が横から、心愛が中央で道を遮断。相手はパスコースを見つけられず、苛立ちを募らせるばかりだった。


 やがて笛が鳴る。試合終了。スコアは1-0、北野の勝利。


――――


 試合後、部員たちは抱き合い、笑顔を見せる。

「心愛の読み、やばかった!」

「紗季の決めきりも最高!」


 竜司はタバコをくわえ、火をつけずに呟いた。

「道をふさがれても突っ込むヤツは、カチコミで沈むだけだ。覚えとけ」


 舞が横で微笑み、仲間に向けて声を張り上げた。

「次も、全員で道を塞いで勝つよ!」


 北野高校の抗争は、さらに苛烈さを増して続いていく――。


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