第6話:最強の妹&ソロ歌手、転校してきた!? 七海の嫉妬と、学校での「召使い」宣言
――それは、突然だった。
「え、転校生……?」
朝のHR、担任が言った言葉に、教室中がざわつく。
この時点で俺は、なんとなく嫌な予感がしていた。
この平凡なクラスに、そんなドラマチックなイベント――
「じゃ、自己紹介どうぞ」
扉の向こうから現れたのは、
透き通るような白い肌、艶やかな黒髪に淡いピンクのリップ。
小柄で可憐、それでいて大人びたオーラを放つ少女だった。
「如月 凛花です。
よろしくお願いしますね――特に、悠翔先輩♡」
――はい、死んだ。
教室がざわめく。
「え、如月?」「名字一緒……七海と!?」
「てか、悠翔先輩って!?」「どういう関係!?」
俺は顔面蒼白。
隣で七海が、にっこりと笑っていた。――笑っているけど、目が怖い。
「お姉ちゃん、よろしくね。今日からこの学校、このクラス。
あと悠翔先輩とは、もう家族ぐるみの仲だから。ふふっ」
妹――凛花は、
元ソロ歌手“RINKA”として活動していた実力派アーティスト。
一時期はグループ活動を離れていたが、最近《Seven☆Days》に復帰したばかり。
そして何より、七海の実の妹。
俺と七海の結婚も、当然知っている。
◆
だが、それだけでは終わらなかった。
「もう一人紹介するわね。
……Seven☆Daysの、超人気メンバー。あんたら、震えて待っとけ」
そう言って七海が紹介したのは――
長身で、涼しげな目元に鋭い美貌。
圧倒的オーラをまとった少女。
「橘美月です。
今日からここの生徒になったから、よろしく」
Seven☆Days の実力派パフォーマー、橘 美月。
元々はソロ歌手として活動していたが、最近グループ復帰。
七海と肩を並べる実力、そして――実は七海の数少ないライバルでもある。
美月が一言、俺に目線を向けて呟く。
「……お前、七海の“旦那”って噂、マジなの?」
やめて!
そういう爆弾発言は今しないで!
◆
昼休み。
案の定、凛花が俺に近づいてくる。
「悠翔先輩、今日もかっこいい……♡」
小声で、耳元で囁かれる。
心臓、止まる。
これ、七海に聞かれたら――
「……ねえ、召使い? 何してんの? 私の許可なく話していいと思ってるわけ?」
はい、来た。
七海は完璧なギャルスマイルで、俺の肩に腕をかけて言った。
「この人、私の召使いなんで♡ 勝手に触れないでくれる?」
ざわつく教室。
「召使い……?」
「真中、召使い扱いされてんの!?」
「え、でも、なんか距離感おかしくね?」
凛花は、にこにこしながら答える。
「いいんだよ、姉妹で召使いシェアしても♡」
やめろ!!
俺の尊厳、地に落ちた。
◆
放課後。
俺は屋上に呼び出された。
七海と凛花、美月、三人揃って。
「悠翔、アンタ、妹と何話してたの?」
七海の声がピリピリしている。
「普通に、挨拶しただけ……」
「ふーん……じゃあ、家帰ったら罰ゲームね? 今日の夜は、私のマッサージ係♡」
いや、喜んでやるけどさ。
もはや俺の人権、どこいった。
凛花はくすっと笑い、美月はふぅ、とため息をついた。
「アンタたち、本当に面倒くさいな。
でも、こういうのも青春ってやつか」
◆
家に帰った七海は――
相変わらず甘々だった。
「悠翔、今日はね……いっぱい甘えたい気分なの♡」
昼の“召使い”呼びはどこへやら。
ベッドの上では、世界一可愛い嫁に戻っていた。
――明日から、俺の胃が持つ気がしない。
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