第3話:アイドル七海、芸能界トラブル発生!? 家でも学校でもバレそうな危機が迫る!
朝、教室に入った瞬間、俺の胃はキリキリ痛んだ。
今日も……氷点下の空気。
「真中、マジで調子乗んなって。昨日も如月に無視されてたじゃん」
「“誰?”とか“キモ”とか、普通泣くわ」
はい、その通りでございます。
でも……
家じゃ昨日、添い寝して寝落ちしたんですけどね。
言えるか、そんなこと。
◆
「おい、悠翔、また如月に話しかけたんか?」
俺に声をかけてきたのは、同じクラスの友人、
佐伯陸。陽キャ寄りのムードメーカーだが、根は優しいヤツだ。
「いや……話しかけたっていうか……」
「お前なぁ、身の程ってもんを考えろよ。
アイドル様に話しかけるとか、勇気の使い道間違ってるわ」
隣で苦笑してるのは、
もう一人の友人、灰原奏。
クール系メガネ男子で、何かと俺をフォローしてくれる。
「……まあ、でも諦めんなよ。
奇跡って、たまに起きるから」
奏のその一言が、ちょっとだけ胸に刺さった。
……いや、もう奇跡、起きてるんだけどね。
◆
その日の放課後。
帰宅した俺を待っていたのは――
甘々モード全開の、如月七海。
「悠翔、おかえり~♡」
部屋着のパーカーとショートパンツ姿で、
ソファに寝転がりながら、こっちを見上げてくる。
「今日はさー、ライブ会場で推し活してる夢見たんだよね~。
アクスタ並べてさ、ペンライト振って、マジで最高だった♡」
透明感のある白い肌に、ナチュラルだけど映えるメイク。
学校でのギャルモードとは全然違う、柔らかな雰囲気。
「てかさー、今日学校でキモい男子に話しかけられて、うっざーって思ったんだけど」
「……俺じゃね?」
「悠翔は別。悠翔は……旦那様だから♡」
はい、尊死。
心臓持たんわ。
「今日はね、カフェ行って新作のフルーツサンド食べたいなーって思ってたんだけど、
時間なくて無理だった。今度一緒に行こ?」
「……お、おう」
「あとさ、旅行とかも行きたくない? 二人で温泉とか♡
まぁ、極秘だけどねー、バレたらヤバいし」
七海の趣味、けっこう多い。
推し活、アクスタ並べ、カフェ巡り、美容にファッション、旅行……
好きな食べ物は、タピオカ・パフェ・チョコレート・ショートケーキ・マカロン・クレープ・フルーツサンド。
甘いものばっかじゃん。
「なあ、七海」
「ん?」
「学校と家で、切り替えすごいな」
「当たり前じゃん。芸能人だし、プロだから。
学校では“邪魔っすわ”とか言っとかないと、変に絡まれるじゃん?」
「まぁ、確かに……」
「でも、家では甘やかしてあげる。悠翔だけ、特別♡」
こんなギャップ、心臓いくつあっても足りんわ。
◆
そんな甘々タイムを過ごしていた時――
七海のスマホが震えた。
「……あ」
七海の表情が、ほんの少しだけ曇る。
「どうした?」
俺が声をかけると、七海はスマホの画面を俺に見せた。
《芸能週刊ゴシップ:NANA、プライベートで男性と同居疑惑!?》
「マネージャーから、“至急対応します”って」
うわ、やば。
これ、マジでバレたら、七海のキャリア終わるやつじゃん。
「どうする?」
七海は小さく、でも強く言った。
「守ってね、悠翔」
俺は――
迷わず、頷いた。
「もちろん」
甘々なだけじゃない。
彼女は、芸能界という戦場で戦ってる。
俺も、夫として――その戦いに、背中を預ける。
……明日から、もっと気を引き締めないとな。
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