第16話:暴かれる秘密――信じたい想いと、二人の選択
――修学旅行、最終日の夜。
空気が、重かった。
俺は呼び出されていた。
場所は、旅館の屋上。
◆
「……来たか」
そこにいたのは、美月だった。
そして――
「七海も」
振り向くと、七海が立っていた。
◆
三人。
逃げ場のない構図。
◆
夜風が吹く。
◆
「単刀直入に聞く」
美月が、静かに口を開いた。
◆
「お前ら、本当はどういう関係?」
◆
核心。
◆
もう、誤魔化せない。
◆
七海は、少しだけ目を伏せた。
◆
でも、すぐに顔を上げる。
◆
「……ただのクラスメイト」
◆
即答。
◆
でも――
◆
その言葉に、迷いがあった。
◆
美月は、一歩踏み込む。
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「じゃあなんで、あんな顔するんだよ」
◆
「……何の話?」
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「気づいてないと思った?」
◆
美月の声が、少しだけ強くなる。
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「お前、真中を見る目」
◆
「他人じゃない」
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沈黙。
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俺の心臓が、うるさい。
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七海の手が、ほんの少しだけ震えた。
◆
◆
「……お願いだから」
◆
その時。
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美月の声が、少しだけ柔らかくなった。
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「嘘じゃなくて、正直に言ってほしい」
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「私は、お前らのこと……信じたい」
◆
その言葉は、本音だった。
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ライバルでも、アイドルでもなく――
◆
一人の“仲間”としての言葉。
◆
◆
七海が、ゆっくりと息を吸う。
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そして――
◆
俺の方を見た。
◆
その目は、迷っていた。
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(言うか……?)
◆
(ここで全部……)
◆
◆
でも。
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七海は、首を横に振った。
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「……言えない」
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その一言。
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でも――
◆
「今は、まだ」
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続いた言葉。
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◆
美月の目が、細くなる。
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「……そうか」
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一瞬、沈黙。
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そして――
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「じゃあ、私が勝手に判断する」
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◆
美月は、二人をまっすぐ見た。
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「お前ら、付き合ってるだろ」
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核心一歩手前。
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七海は、何も言わない。
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俺も、黙る。
◆
◆
「……なるほどな」
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美月は、小さく笑った。
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「十分だ」
◆
◆
「それ以上は、聞かない」
◆
◆
その言葉に、空気が変わった。
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「でも」
◆
◆
「バレたら終わるぞ」
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「お前らだけじゃない」
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「Seven☆Daysも」
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◆
現実。
◆
重い現実。
◆
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七海が、静かに頷く。
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「わかってる」
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「それでも――」
◆
◆
七海は、前を向いた。
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「私は、全部守る」
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「アイドルも」
◆
「グループも」
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◆
「――この関係も」
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◆
その言葉に、美月は目を見開いた。
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そして――
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ふっと、笑った。
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「……ほんと、バカだなお前」
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「でも、嫌いじゃない」
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「いいよ」
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「協力してやる」
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その一言。
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「え……?」
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◆
「バレないようにするんだろ?」
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「だったら、味方は多い方がいい」
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完全に、味方になった。
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「ただし」
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◆
「いつか、自分で決めろ」
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「隠し続けるのか、全部晒すのか」
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◆
その言葉は――
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未来への“伏線”だった。
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◆
その夜。
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部屋に戻る途中。
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「……助かったな」
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俺が言うと、七海は小さく笑った。
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「うん。でも――」
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「ちょっとだけ、言いたくなった」
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◆
「全部、本当のこと」
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その声は、少しだけ寂しそうだった。
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俺は、そっと言う。
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「いつか、言える日来るだろ」
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「その時は――」
◆
◆
「隣にいる」
◆
◆
七海は、少しだけ目を細めて――
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「……約束ね」
◆
◆
誰もいない廊下で。
◆
ほんの一瞬だけ――
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手を繋いだ。
◆
◆
その秘密は、まだ誰にも知られていない。
◆
でも確かに――
◆
少しだけ、“未来”に近づいた。
――つづく
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