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話も一段落つきましたしそろそろお風呂に入りましょうか、3人で

「ここが宿屋というものか、以外と快適だな」


「高いところを選びましたから、快適さは勿論ですけど安全性も違いますし」


「もし何かあっても、自分が粉砕してみせるでありますよ!」




 頼もしいことだ。


 しかし、ウリユには謎が多い。


 かつて屋敷にいた時のことなど覚えておらぬし、先代からも話を聴いたことがない。


 嘘をついてないことは分かるのだが、一体何がウリユにここまでさせるのか。


 気にならない方がおかしいであろう。




「ウリユよ」


「ハッ、いかがしたでありますか!」


「なぜそこまで妾、いや先代に尽くす。 何がそこまでさせるのだ?」


「それは、お館様に大恩があるからであります」




 先代に大恩、まあ妥当なところか。




「自分はサキュバスの中でも異端で、女の子専門でありまして」


「うん……、うん?」




 いや全然妥当ではなくなってきたな。




「そのせいで魔界にあるサキュバスの里を追放されてしまい、路頭に迷っていたところをお館様に拾われたのであります」


「心が狭いんですね、里のサキュバスって!」




 ルシアが憤慨しておる、同じ女専門ということで思うところがあるのであろう。




「お館様は自分の話をちゃんと聞いてくださって、無理矢理男と交合わせるようなことは一切なかったであります」


「確かに、先代はそんなことを強要するような輩ではなかったな」




 男だったが。


 まあ、先代も結構な変わり者だったしな。




「その後はお館様の下で働かされてもらえるようになり、その後は一度話をした通りであります」


「妾の固有能力の問題を解決するために旅に出たのだったな」


「満足いく結果は出せず、お館様の危機にはせ参じるできなかった。 家臣失格であります……」


「そう自身を責めるでない、何も知りようがなかったというのに」




 妾もウリユのことを一切知らなかったのだ、先代が何を考えて黙っていたのかは今となっては判らぬが。




「ですから自分は今度こそお館様に報いるために、お嬢様に尽くすのであります!」


「それは嬉しい話だが、ひとつだけ言っておかねばならないことがある」


「そ、それは……?」


「ルシアは渡さぬぞ」


「そんな、お嬢様の奥方に手を出すなどと恐れ多いであります!」


「えー、残念……」




 待てルシア、なぜガッカリしておるのだ?


 ウリユに迫られたら頷いてしまうのか?




「ルシアよ、どこにも行くなよ……」


「急にどうされたんですか、私はラピア様のお側を離れませんよ?」


「すまぬ、少し弱気になってしまったようだ」




 こんなもの、真偽看破の魔法を使うまでもない。


 ルシアは妾と共に生きると言った、それを信じればいい。




「話も一段落つきましたしそろそろお風呂に入りましょうか、3人で」




 ルシアのヤツ、まだ諦めておらぬのか?


 いや違う、恐らく他に思惑があるな。




「滅相も無い、自分は後から1人で入るでありますから!」


「しかしウリユは淫魔であろう、共に旅に出てからまだ何もしておらぬではないか。 家臣の管理も妾の仕事だ、今日は遠慮せずともよい」




 ルシアをチラリと覗き見る。


 つまりこういうことであろう?


 現状は可能な限り人間を襲わない方向でいかぬとな。




「お嬢様、心配は無用であります」


「どういうことだ?」


「『健全な精神は健全な肉体に宿る』、修行の中でサキュアバスの本能は克服したであります!」


「う、うむ……?」




 今こやつ何と言った?


 というかそんなコトが可能なのか?




「じゃあそれとは関係なく親睦を深めるために一緒にお風呂入ろうよー」


「しかしただでさえ3人部屋ですので、これ以上お2人の邪魔はできないであります」


「一緒に入ってくれないならウリユが1人で入った時に覗くから」


「自分より性欲に忠実であります!?」




 ルシアのよくわからん理論がまた出たな。




「ウリユよ、こうなったらもう折れるしかないぞ」


「言葉が重いであります!?」


「妾も過去に同じことを言われたのでな」




 結局3人で一緒に入ったが、ルシアは結局すっと大人しくしていた。


 それにウリユが本能を克服したと言ったのをどこまで信じていいか不明だが、全くの嘘ではないようだな。





「ラピア様、飲み込みが早いですね」


「妾にかかれば、この程度造作もないことよ」




 以前から話をしていた人間界で生きるために必要なこと。


 食事とその最低限の作法を、ルシアから教わる。




「ウリユには教える必要なさそうだね」


「自分は食べる必要がありますので、お屋敷に居た頃から身についてるであります」


「そう言われれば妾も昔教わった気がするな」


「じゃあ飲み込みが早いのは、どこかでその頃のことを覚えてるからかもしれませんね」




 そうなのだろうか?


 ルシアの言ってることが正しいのだとしたら、かつての思い出も全てに価値が無いわけではないのかもしれない。


 それを気づかせてくれたのも、ルシアか。




「もう妾はルシアがいなければ生きていけぬな」


「な、なんですか急に!?」


「そう思ったから言っただけだ。 過去にも未来にも、ルシアは新しい発見をくれるとな」


「よくわかりませんけどラピア様が私と一緒に居たいと言ってくださるのは、何度でも嬉しいです!」


「そうか、ではこれからも言い続けなくてはな」




 夜は更けていく。


 明日も、百年後も、更にその先も。


 ルシアと共に生きるために。




(必ず見つけなくてはな)




 人間のままの不老不死、その方法を。

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