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猫にこんばんは  作者: 犬鳴 椛子
第7章 休日にこんばんは 3
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休日3日目 お泊り会 ヴィンテージワイン編 (後編)

『さて……鈴音容疑者? なぜ、未成年のあなたがこんなにワインを保管しているのでしょうか?』

〔容疑者ってなんですかぁ……お客さんにワインを提供して、ついでにわたしも呑んでるだけですよ~〕

『それがいけないのよ。未成年者の飲酒は問題よ? ていうか、ここって、カフェでしょ? カフェでお酒出すとこなんてないでしょ? せっかくいい声してるのにもったいないじゃないの』

〔んぇ~……お店は頑張りましゅからぁ……お酒は許してくださぃよぉ……あと……お酒の出るカフェはありますからぁ……〕

『そ、そうなの……? じゃなくてっ! 未成年だからダメよ! お酒は甘くてもっ! あたしは甘くないわよ!』


 まるで母親かプロデューサーの様に鈴音を叱るチェフ。しかし……


〔チェフしゃん……おしゃけは甘くにゃいでしゅぅ……ひっく……〕


 ついには、しゃっくりまで出る始末。鈴音はワインの漂う香りで酔ってしまい、話にならなかった。


〔むにゃむにゃ……わたひ……ねましゅね……〕


 徐々に滑舌が悪くなり、眠気に襲われる鈴音は自分の部屋へとのらりくらりと歩き始めた。見ていて、酔っ払いの少女にしか見えなかった。


『ちょっ……!? 鈴音!? まったく……鈴音ってお酒に弱いのに酒屋もやってるのね……』


 よいしょと鈴音の肩を貸しながら、鈴音の部屋を探しにワイン庫を出た。


『ていうか、なんで、弱いのに酒屋もやってるのかしら……まぁ、ライブカフェってそういうもんって思っとこ……』


 そう自分に言い聞かせながら、鈴音の部屋まで無事に到着した。途中、2人同時にこけるというアクシデントもあった様だ。しかし、鈴音は無傷で済んだ。もちろん、チェフも無傷だった。

 が、思いっきり、膝で床をぶち抜いてしまい、床が怪我をしてしまった。しかも、穴は大きかった。


『あ~……鈴音は何とかなったけど……ライブカフェの床が……これはラント様に頼んで、修理してもらうしかないわね』




(ラントのオフィスで……)


《ばっくしょぅ!! あぁ……チェフくんが噂してるなぁ……また何かやらかしたなぁ……》

ラント様? お風邪をひかれましたか? 今すぐに治療と手術いたしますわ〉

《治療は嬉しいけど……手術はいらなくないかな? どこを切るつもりなんだね……?》

〈それはもう、風邪の原因になる部分をあちこちと〉


 『と』と言い切った瞬間に大量のメスを取り出した。


《はい、メイド長くん? そんな物騒なモノは片付けておいてね? それがメイド長くんのお仕事なんだからね》

〈かしこまりました〉


 あっさりとメスをスカートの中に入れる。しかし、スカートがめくれた瞬間はラントにも見えなかった。


《あぁ…しかし…チェフくんがまた何かやらかしたには間違いないな…》

〈チェフ様はトラブルメーカーな所もありますからね。確実に何かをやらかしましたね〉

《メイド長は察しが良くて、助かるよ…高く付かないと良いんだがなぁ…》

〈そう言えば、昔は建設中の建物を一部だけ、爆破するって事で手榴弾を使っておられましたね。その時に手榴弾を誤って投げられて、建物の中心軸を爆破した事で一気に1つの建物が無くなりましたよね?〉


 ラントが『あぁー…』という顔しながら、2,3度頷いた。




 生前、チェフはミリタリーの度が過ぎた【無敵の兵士】と呼ばれるほどのミリタリーオタクだった。

 その原因は実銃もアメリカに家族旅行をした際にコルト・パイソンを撃った事がある。体型の割りに想定外の命中精度を魅せたチェフを見て、店長が驚き、歓喜し、コルト・パイソンの4インチモデルをおごってくれたらしい。


 モデルガンではなく、実銃という事もあり、店長が特殊経由で輸送してくれたらしく、チェフら一家が家に帰ると一般サイズの段ボールが玄関横に置いてあった。

 宛て名はミミズの様な文字でチェフの名前が書いてあった。意外にも重量があり、家で開封すると例のコルト・パイソンの4インチモデルが紙の山から出てきた。

 さらに重たい原因となっていた紅い箱を見つけ、蓋を開けると中には.375マグナム弾が合計200発入っていた。1発の重さは10.2gなので、紅い箱だけで約2kgはあった。

 そして、極めつけに.357マグナム弾のスピードローダーが5つとムーンクリップ5枚とハーフムーンクリップが10枚もセットになっていた。


 それだけのものを奢る店長はあまりにも気前が良すぎるが、チェフは大喜びした。両親は少し心配していたが、チェフは音が届かない自分だけの場所を知っていたので、何も問題はなかった。

 的になるものを探しては、コルト・パイソンを放つチェフは小さな女ガンマンだったという。



 たまに母親に怒られるとコルト・パイソンを突き付けて、脅す事も度々あったが、もちろん中身は空である。中身が空な事ももちろん、母親は気付いており、親として、言うべき事はきちんと伝えた。

 するとチェフはそれほど逆らう事無く、すぐに自室に駆け込む。


 海外に連れて行って、楽しい思い出を作ってくれた両親に、ちゃんと感謝しているという事はチェフの両親は良くわかっていた。

 チェフのツンデレは相変わらずであった。



〈しかし、ドローンを見る限りでは爆破をしたわけではない様です〉

《はは……噂の話から何故、チェフくんの過去の話になったんだろうね……》

〈チェフ様のミリタリー感をもっと知っていただく為でしょう〉

《頼むから、さらっとメタい事言わないでよ……》




(一方、死体歩行リビングデッド繁華街では……)


 ダダダダダダダダダダダッ!(銃声)


 鳴り響く銃声の中で繁華街に到着したミストという名の人物とその部隊が鈴音のライブカフェへ集結していた。そして、群がる歩行死体リビングデッドを一掃していた。


≺ミスト様! 入り口の安全は確保しました!≻


⦅んっ……ありがとう。また連絡するから、一度、車に戻ってて?⦆

≺はっ!!≻




⦅みつ……すぐに行くからな……⦆



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