休日2日目 歌姫ライブカフェ -2
チェフが1人で盛り上がる中、鈴音が扉を開け、ドリンクを2つ持ってきた。
〔おまたせしました~! チェフさんは、いつものストロベリーラテと相方さんは生ぬるいホットミルクでぇす!〕
『いつもありがとう。あと、生ぬるいって何……?』
〔あれれ~? そちらの相方さんは猫さんでしょう? わたしの目は誤魔化せませんよ~?〕
鈴音は楽しそうに且つ、自慢げに答えた。それにとりあえず、チェフは反論してみた。
『ほ、ほぉ……? じゃぁ、フミャが猫って証拠がどこにあるのかしら?』
〔簡単ですよ。まず、話し方がまだカタコトですよね? それにチェフさんの後ろで猫の仕草をしていますし、鰹節の匂いがしますもの。動物が人間になったって事ですよね……?〕
『な、なんで……そこまで……。あんたまさか……スパイ……!?』
〔ぷっ……きゃはははっ!! 冗談ですよぉ! 全部、推測で言ってみただけですから~〕
『は、はぁ……? まったく……ビビらせないでよね……。あんたって、いつも勘が鋭くて、恐ろしいわよ……』
〔きゃはっ! わたし、いつもそう言われるんですよ~! それじゃぁ、ライブの準備しますね~!〕
『えぇ、楽しみにしてるわ』
〔はいっ!〕
元気の良い返事をすると鈴音は会場の裏へと消えていった。すると、フミャがチェフの服の裾を掴んだ。
「チェフ? あの人……ふつうじゃないよ……?」
『ちょっと、フミャ? どうしたのよ急に……? 突然、見抜かれて、怖気づいたかしら?』
「ち、ちがうもぉん……!」
初めて、フミャが大声で怒鳴った。突然の環境の変化で、再び、恐怖を感じているのだろうとチェフは思おうとしたが、内心はいつも以上に混乱していた。
『ふ、フミャ……? 何かあったの……?』
「あっ……ごめんなさい……。何でもないの……」
『と、とりあえず、ミルク飲みなさい……? 生ぬるいからすぐに冷めちゃうわよ……?』
「ぅん……」
フミャはゆっくりと生ぬるいホットミルクを飲み始めた。すると、何事も無かったかの様に一息着き、落ち着きを取り戻した。
「ふみゃふぅ……」
『す、鈴音のミルク……。一体、何が入ってるのかしら……。あのフミャを一瞬で落ち着かせたわ……』
そう呟いた時だった。辺りが急に暗くなり、ライブステージだけが明るく照らされていた。
〔きゃははっ! それは企業秘密ですよ~? で~も~、一言だけ言うなら~……〕
スピーカーから鈴音の声が響き渡った。そして、その一言に耳をチェフは耳を傾けた。
『そ、それは……?』
〔それはぁ……愛で~す!〕
あっけない一言にチェフがガクンッとして、テーブルにおでこをぶつけた。
〔チェフさ~ん? 大丈夫ですか~? そんな痛みも忘れちゃう程の~歌姫鈴音のライブショー! はーじめちゃうよー!!〕
その瞬間、歌姫ライブが幕を開くのだった。




