休日2日目 歩行死体繁華街 -1
神様が密かに見送ったその数分後、ハンビーに乗ったチェフとフミャは猛スピードで歩行死体繁華街へ向かっていた。
あまりのスピードにフミャは外を見る余裕もなく、必至に助手席の椅子にしがみつくだけで精一杯だった。昔、友人を轢いたあの鉄の塊などを思い出す余裕も全くなかったのだった。
『ちょっと、フミャ? せっかく、ハンビーに乗ってるのに景色を楽しまなきゃ損よ?』
「ううぅ……。むりぃ……。こわいよぉ……」
フミャはがっちりと座席にしがみついて、離れる気配はまったくなかった。
『仕方ないわね。繁華街に着くまでは、もう少し我慢してなさいよ?』
「ふみゃぁ……」
涙目のフミャを乗せて、チェフは全速力で繁華街へ向かった。
(13分後……)
ハンビーを停め終え、チェフはハンビーのドアを開けて、辺りの安全を確認した。念には念を……。
『さぁ、着いたわよフミャ。もう動く心配ないから、早く降りてきなさい?』
「はぐ……ぐぇ……げほっげほっ……」
フミャは全速力による圧力に疲れ切って、とても動ける状態ではなかった。表情はアヘ顔で、身体がビクンビクンと震えていた。
『あちゃ~……少し飛ばし過ぎたかしらね……? しばらくはお守りしてあげないといけないわね……』
そうつぶやくと、後部座席に積んでいた機関銃や拳銃を取出し、点検を始めた。
各種、マガジンに適応した弾丸を込め、その他の予備のマガジンにも弾丸をセットしていき、フミャが起きるまで時間を潰していた。
1時間後、ハンビーに搭載していたМ2機関銃の点検をしている時にフミャが意識を取り戻した。
「ふぇ……。あれ……? チェフ……?」
ハンビーの中をキョロキョロと見回したが、チェフの姿は見当たらなかった。
すると、上から物音がした。
(ガタンッ)
それにびっくりして、フミャは丸まり、縮みこんでしまった。
「チェフ……どこ……? こわいよ……。さみしいよ……」
さっきまでいた友人がいなくなるだけで、ここまで心細くなるとは思ってもいなかったフミャ。
その時、ドアが開いた。
「ひゃっ……!?」
『あれっ? フミャ? 起きてたの? 起きてたんなら、教えてくれたら良かったのに~』
チェフはそう言いながらも、内心は喜んでいた。そして、フミャはもっと喜び、チェフに飛びつき、抱き締めた。飛び移る様に飛びついてきたので、チェフはフミャに押し倒された。
『きゃっ!? ちょ、ちょっと!? いきなり、どうしたのよ!?』
「うぅ……だって……チェフいないし……。大きな音したから……」
『あ、あぁ……あれは銃の整備をしていただけだから、心配いらないって。フミャを守る為にしてた事なんだからね』
「わたしの……ため……?」
チェフは頷くとニカッと歯を出して、笑った。その顔を見て、フミャは落ち着きの表情を取り戻した。
『さて、あなたが寝てる間に銃の点検は全て済ませておいたわよ! 死体歩行繁華街に行く準備は万全よ!』
「チェフ楽しそう。わたしも楽しみ!」
意気揚々とはしゃぐ2人。
しかし、この先の繁華街ではとんでもない事が起こっていたのだった。




