休日 1日目−バスタイム 3
〈チェフ様、既に猫と分かっているのですから、木天蓼くらい、準備しておくのはメイド長として、当然の務めです〉
『うん! やっぱ、出来るメイドは違うわね! それでこそ、うちが認めたメイド長ね! よっ! 天国一!』
〈騒がしいです。とにかく、木天蓼を設置します〉
そう言って、メイド長は木天蓼をテーブルから少し離れた床に置くと、少し、木天蓼から距離を置いた。
〈チェフ様も離れて下さい〉
『な、何でよ? フミャとうちは一心同体なのよ!』
〈今、思いっきり、離れてる様に見えますが? わたくしの見間違いでしょうか?〉
『うっ……。分かったわよ……。離れるわよ……』
チェフは悔しく、寂しそうにテーブルから少し距離を置いた。
〈すぐに出てきますから、そんなに落ち込まないで下さい。わたくしが悪者みたいではありませんか〉
メイド長がそう言った瞬間、フミャがテーブルから出てきて、木天蓼の方へ近づいてきた。
『あっ……! フミャ……』
近付こうとするチェフをメイド長が腕で遮った。
〈チェフ様……。今は堪えて下さい……〉
その表情は真剣で、息を殺し、気配を消して、獲物を待つ肉食獣のようだった。その様子に、チェフもそれ以上の言葉が出なかった。そして、悟った。
(こいつに狙われたら……確実に食われる……!)
そんな事に全く気付かないフミャは、ジリジリと猫の様に木天蓼に近付く。元々が猫なので、近付き方も猫と同じであった。
〈チェフ様……。わたくしが抑えますから、木天蓼に近付いたら、すぐに目隠しをお願いしますね……〉
そう言い、メイド長がチェフにアイマスクを手渡した。
『なんで、アイマスク……?』
〈なんとなくです〉
『あんたねぇ……。まぁいいわ……。作戦開始するわよ……!』
〈イエッサー〉
『ていうか、何なの? この謎の戦闘態勢は……』




