休日 1日目−バスタイム 2
〈それでフミャお嬢様をどうお料理されるのですか?〉
『話開始早々に、何言ってんのよ……。さっきからお風呂に入れたいって言ってるじゃない。て言うか、うちの推理を無視するな!』
チェフのダイナミック突っ込みが入った。しかし、メイド長はダイナミックに真顔でスルーした。
〈フミャお嬢様は木天蓼で釣りましょう。一番効果的ですし、何より、酔うのでやりたい放題出来ますよ?〉
『や、やりたい……放題……。じゃなくて! 確かに物凄く嬉しいけど、それよりも今また、スルーしたわね!?』
〈はぁ……そうですよ。わたくしがやりました。我が身の安全を守る為ですので、正当防衛ではありませんか? それにデコピンですよ? この程度で暴力扱いされましてもね?〉
『それでも、フミャに手を出す事は許されないのよ! あんたの身体能力なら、回避する事ぐらい簡単でしょ? 余裕でしょ? 楽勝でしょ? ねぇっ!?』
〈騒がしいですね……。無理ですよ。フミャお嬢様の身体能力は、わたくしを遥かに超えていました。あのまま、迎撃しなければ、恐らく……神様お気に入りのメイド服が一部破れていたと思われました〉
サラッと言ったが、珍しくメイド長の表情が少し険しくなっていた。
『そ……そうなの……?フミャがそんな急成長を……』
〈いえ、急成長ではないです。野生の本能です。フミャお嬢様は本来、猫でございましたよね? であれば、その時にたまたま本能が戻ったフミャ様がわたくしに牙を向けてきたってことです〉
『そ、そんな事があるの……? それだったら、いつか、うちにも牙を向けてくるとか……』
チェフの顔が恐怖で青ざめていた。そんな時にメイド長は真顔で励ました。
〈とりあえず、少し分析が必要ですね。わたくしにおまかせください。誰も怪我はさせません〉
『メイド長……。あんたは頼りになるわ……。いざという時はお願いね! それじゃぁ、木天蓼持ってきて、フミャをお風呂に入れるわよ!』
〈かしこまりました。全力を尽くします。〉
そう言うと、懐から木天蓼を取り出した。
『結局、持ってたんかぃ!』
チェフは全力で突っ込んだ。




