休日 1日目-ディナータイム(後編)
〈チェフ様とフミャ様のお食事が終わったわ。 食器を下げてきなさい〉
「「はい!」」
そう指示したのはメイド長だった。下っ端メイド達は部屋の外に待機していて、気配すら消していた。だから、元猫のフミャですら存在に気づかない。
先頭の下っ端メイド達が入る暗号を送り合うと手際よく入り口に入り、
「「失礼します!」」
元気よく、一斉に挨拶をして、部屋に入ってきた。
「ふみゃっ!?」
その声と勢いにフミャは不意打ちを喰らい、椅子ごと真っ逆さまに倒れてしまった。
「「大丈夫ですか!? フミャお嬢様!?」」
「えっ……あっ……」
メイド達が素早く、フミャの周りを囲み、怪我が無いか心配そうに見つめていた。
その気迫にフミャは言葉が出なかった。そこにチェフが話に割り込んできた。
『あなた達ねぇ……。ちょっとは落ち着きなさいよ……。フミャが怖がってるじゃないの! あんまり、フミャを怖がらせると……後できっつ〜いお仕置きをしちゃうわよ?』
チェフが不敵な笑みを浮かべる。それを見たメイド達は一目散に離れて、横並びに整列した。
「「し、失礼しました! それでは、お皿を全てお下げ致します!」」
一糸乱れぬ掛け声と同時にメイド達がテキパキと片付けを行った。
「ふみゃ……。少しの時間で……全部下げちゃった……」
『メイド達はほんと、テキパキとやりこなすから、頼りになるのよ。ただ……取り掛かるまでが遅いんだけどね……。』
そう話している内に全ての食器が片付き、テーブルもピカピカになっていた。
「「全て完了致しました!」」
再び、一糸乱れぬ報告を済ませた。そして、チェフはメイド達に指示を出した。
『ありがとう。いつも感謝してるよ。誰か一人で良いんだが、温かいお茶と常温の天然水を持ってきてくれないか?』
「「かしこまりました!」」
すると、メイド達は一斉に部屋を出ていった。
「なんだか……すごい人達……」
『あいつらはそういう奴らなんだよ……。キチンとやってくれるんだけど、どこでも一緒、作業は違ってもやる事も一緒って感じでね……』
チェフはフミャの一言に回答しながら、苦笑いした。
『さて、フミャ。あいつらは一人ってなると必ず、揉め事になるから、先にお風呂に入る用意をするわよ!』
「おふろ? 何それ……?」
『まぁ、要するに水浴びしながら、身体を綺麗にしていくんだよ』
「水……浴び……」
猫は基本、水浴びは好まない。フミャの身体は鳥肌が立っていた。
そして、一目散にテーブルの下に逃げ込んだ。その表情は絶望的と言わんばかりの表情をして、身震いしていた。
『やれやれ……これは手間がかかりそうだわ……』




