休日 1日目-ディナータイム(前編)
バシャバシャと水の音を立てながら、チェフは洗面台で顔を洗っていた。落ち着きを取り戻し、メイド長らが準備している夕食に備えていた。
本来、白い肌なのに、南国の人の様な顔で夕食をとられては、ほかのメイドの笑い者になる事は間違いないからである。その気を使ってくれたメイド長は毒舌だが、とても良心的なのだろう。
『ふぅ……。さっぱりしたわ』
チェフは洗顔を終わらせると洗面所から一度、部屋に戻った。とても広いフロアだが、部屋の数は少ない。
スケートリンクほどもあるフロアの奥に、わざわざ行きたいと思う者は、ほとんどいないからである。
極力、部屋は少なめに最低限必要な部屋だけをチェフは設置する様に建築会社にうるさく言っておいたのだった。
ちなみに今、チェフが出てきた洗面所は脱衣所でもある。なので、お風呂もそこで入るのだ。そして、フミャのいる部屋の真隣りだ。
『フミャ〜、下に降りるわよ〜。夕食の時間だから〜』
「んっ……? ご飯の時間……? ちょっと、お腹……いっぱい……」
冷蔵庫の半分以上のサバを食い荒らせば、お腹も膨らむがチェフは容赦なかった。
『良いから、食べに行くわよ!うちは腹ぺこなんだから!』
そういうと、フミャの手を掴み、強引に引っ張った。
「きゃふっ!」
しかし、まだ着物姿のフミャは裾踏んでしまい、こけてしまった。
『ん〜……。夕食に流石に着物はマズいわよね……。やっぱり、着替えてからの方が良いわ。そこで待ってなさい』
チェフはそう言い残し、座り込んだフミャを置いて、自室に戻った。
しばらくして、チェフは可愛げな衣類を持ってきた。
『あなたに服をあげるって約束してたからね。今日はこれを着なさい』
「ふみゃぁ……。いっぱいあるね……」
『人間は大体、こんなもんよ? ほら、早く脱ぎなさい! 着替えるから!」
「ふみゃぁ……!?」
またチェフによって、強引に脱がされたフミャ。少し涙目だった。
『それにしても、フミャはわたしによく似てるわよね……。身長も体型も(一部を除けば)ほぼ同じだし……。まぁ、わたしの方が少し背は高いけどね。だから、フミャには丁度良いサイズを持ってきたのよ。お古だけどね』
そう言うと、衣類を手渡す。
「そうなの……? 似てるかな……?」
フミャは自分の身体とチェフの身体を見比べた。
『こらっ! どこ見て比べてんのよ!』




