表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

19/54

第6章 第1話「指が、先に、知っていた」

私は、目を、開けた。


寝台の中で、最初に届いたのは、窓辺の冷たさだった。


冷たさは、外の空気の冷たさだった。


部屋の中の空気は、外より、少し、暖かい。


わずかに、というのは、暖炉の余熱が、夜のあいだに、ゆっくりと、冷めたから。


私は、寝台の上で、しばらく、動かなかった。


身体の中の、自分の輪郭を、確かめていた。


輪郭は、ふだんと、同じだった。


手のひらの、皮膚の感覚も、足の裏の、皮膚の感覚も、いつもと、同じだった。


ただ、内側の、ある場所が、ふだんと、違っていた。


腹の奥。


前世で、丹田、と呼んだ位置。


その位置に、何かが、溜まっていた。


何か、というのは、たぶん、魔力だった。


それは、昨日の朝には、なかった。


昨日の夕方、聖紋盤の上で、私の中に、入ってきたもの。


その「ある」感覚が、寝起きの今も、確かに、残っていた。


私は、寝台の上で、両手を、毛布の外に、出した。


右手のひらを、上に向けて、左手のひらで、軽く、支えた。


そして、内側に、聞いた。


──火、水、風、土、光、闇。


六つの種が、手のひらの中で、まだ、眠っていた。


眠っている、というのは、私の主観だった。


実際には、種は、いつでも、芽吹ける状態で、ただ、私が、まだ、声を、かけていなかっただけ。


私は、声を、かけなかった。


寝起きの直後に、いきなり、試すのは、危ないと、思った。


朝食を、終えてから、自分の部屋で、ゆっくり、試そう。


そう、決めた。


私は、毛布から、足を、出した。


足の裏に、寝台脇の絨毯の毛足が、触れた。


絨毯は、ふだんより、ほんの少しだけ、冷たかった。


冷たさは、私の足の裏で、ゆっくりと、和らいでいった。


私は、寝台の脇に、立った。


窓のカーテンを、半分だけ、開けた。


外の光が、薄く、入ってきた。


雲の薄い、冬の朝の光だった。


東の空は、まだ、淡い橙が、混じっていた。


橙の色は、昨日の聖紋盤の上で、私の手の中に、入ってきたもののひとつだった。


──いま、思い出した。


私は、内側で、保留した。


そして、窓辺から、机に、目を、移した。


机の引き出しの、二段目。


祖父エミールの手紙の、木箱が、置かれている段。


私は、引き出しの取っ手に、目を、合わせた。


合わせただけだった。


手は、伸ばさなかった。


──今朝も、まだ、触れない。


私は、内側で、確かめた。


明日でも、ない。


明日では、ない。


いつか、ある日。


その「いつか」は、まだ、来ていない。


私は、机から、目を、離した。


着替えを、始めた。


寝衣を、脱ぎ、ふだんの厚手の上下を、身につけた。


紐を、結びながら、内側で、確かめた。


──昨日とは、何かが、違っていた。


それは、私の身体の、内側の、ある場所の重さだった。


それは、私の頭の、ある場所の、新しい言葉だった。


それは、私の手のひらの中の、まだ、声をかけていない、六つの種だった。


そして、それは、家族の、私への、まなざしの、わずかな変化だった。


その四つが、合わさって、「昨日とは、違う朝」を、作っていた。


私は、寝室の扉を、開けた。


廊下に、出た。


廊下の床は、冷たかった。


朝食の支度の匂いが、台所の方向から、伸びてきた。


母エリザベートの煮込みの匂いではなかった。


朝食らしい、白パンと、薄い葡萄酒の水割りと、林檎の、軽い匂い。


私は、その匂いを、辿って、食堂へ、向かった。


食堂の卓には、家族の四人が、すでに、揃っていた。


父アンリは、いつもの椅子に、座って、新聞を、読んでいた。


新聞は、王立図書館の朝刊。


母エリザベートは、卓の脇に、立って、白パンを、薄く、切り分けていた。


兄マルクは、学院の正装に、すでに、着替えていた。


紺の上着、白の襟、銀の留め金。


ふだんの家庭の上下とは、違って、まっすぐな襟が、首の周りで、ぴたりと、止まっていた。


妹クララは、自分の椅子の上に、半分だけ、座って、半分だけ、足を、揺らしていた。


私が、入ると、四人の視線が、私の方に、来た。


父アンリの目が、新聞から、私の額の方に、来た。


母エリザベートの手の、白パンを切る音が、一拍だけ、止まった。


兄マルクの片頬が、わずかに、ゆるんだ。


妹クララは、足を、揺らしたまま、私の名を、呼んだ。


「お兄ちゃん!」


「おはよう、クララ」


私は、答えた。


「おはよう、お父さま、お母さま、兄さん」


私は、四人に、順に、挨拶を、した。


父アンリは、新聞を、言葉にせず、通り過ぎた。


「おはよう、テオ」


父は、短く、言った。


「昨日は、よく、お休みになれた?」


母エリザベートが、白パンを、切り終えて、私の方に、来た。


母の手が、私の肩に、軽く、触れた。


「ええ、お母さま。眠れました」


私は、答えた。


「ふだんと、同じくらい、眠れました」


「それは、よかった」


母は、頷いた。


「神託の翌朝は、人によっては、眠れない子も、いるのよ。あなたは、よく、眠れたのね」


「はい」


母の手が、私の肩から、離れた。


そして、自分の椅子に、戻った。


兄マルクが、卓の上の、林檎を、一つ、手に、取った。


林檎を、いつもの「ばきっ」ではなく、いつもの倍くらい、丁寧に、半分に、割った。


「テオ」


兄は、半分の林檎の、片方を、私の皿の上に、置いた。


「お前の分」


「ありがとう、兄さん」


私は、頷いた。


兄は、自分の分の林檎を、ばきっと、一口、噛んだ。


そして、噛みながら、続けた。


「俺は、午後の馬車で、学院に、戻る」


兄の口の中で、林檎の繊維が、ゆっくりと、噛み砕かれていった。


「夜には、戻らない。明日の朝、お前が、学院に発つ前に、もう一度、戻る」


「はい、兄さん」


私は、答えた。


兄は、頷いた。


それ以上は、何も、言わなかった。


ただ、林檎を、半分、食べた。


食べ終えると、立ち上がって、自分の支度の続きへ、戻った。


兄が、食堂を、出たあと、卓には、私と、両親と、クララが、残った。


クララが、足を、揺らすのを、止めて、私の方を、見た。


「お兄ちゃん」


「うん」


「お兄ちゃん、賢者って、本を、読む人なんだよね?」


クララの目は、ふだんの「クララなの!」の元気とは、少し、違っていた。


何かを、確かめたい、という目だった。


「うん」


私は、答えた。


「お父さまみたいに、本を、読む人」


「お父さまみたいに?」


「うん」


「お父さま、本、いつも、たくさん、読んでるよね」


「そうだね」


「クララも、本、読みたいな」


「いまも、絵本、読んでるよ」


「あれは、絵本だもん。本じゃないもん」


「絵本も、本だよ」


「ほんとに?」


「ほんとに」


クララは、頷いた。


それから、自分の皿の上の、林檎の薄切りを、一切れ、口に、入れた。


林檎を、噛みながら、足を、また、揺らし始めた。


父アンリが、私の方を、見た。


「テオ」


父は、ふだんの「テオ」より、わずかに、ゆっくり、私の名を、呼んだ。


「お前は、賢者を、授かった」


「はい、お父さま」


「だが、それは、お前の道の、始まりだ」


父は、新聞を、卓の上に、軽く、置いた。


そして、私の目を、見た。


「今日は、ゆっくり、しなさい」


父の声は、いつもと、同じだった。


ただ、その「ゆっくり」の言葉の重みが、いつもの「ゆっくり」より、少しだけ、重かった。


「はい」


私は、答えた。


そして、内側で、確かめた。


──今日は、ゆっくり、する。


ゆっくり、する、というのは、私にとって、何も、しないことでは、なかった。


私にとって、ゆっくり、するとは、自分の手のひらの中の、まだ、声をかけていない、六つの種に、ひとつずつ、声を、かけることだった。


その「ゆっくり」を、私は、父に、告げなかった。


父も、それ以上は、何も、言わなかった。


朝食は、ふだんより、少し、長かった。


長かった、というのは、誰かが、何かを、長く話したわけではなかった。


ただ、卓の上の沈黙が、ふだんより、ほんの少しだけ、長く、続いただけ。


その沈黙の中で、私は、ふだんと同じ、白パン、葡萄酒の水割り、林檎、を、食べた。


葡萄酒の水割りは、ふだんより、少し、薄かった。


母が、今朝、私のために、薄めに、割ってくれたのかもしれなかった。


──昨日が、長い一日だったから。


私は、内側で、保留した。


そして、母には、告げなかった。


朝食が、終わった。


クララが、母と一緒に、皿を、台所へ、運んだ。


父アンリが、新聞を、たたんで、卓の脇に、置いた。


そして、私の方を、見ずに、ふだんの椅子から、立ち上がった。


「私は、書斎で、しばらく、本を、読む」


父は、それだけ、言って、食堂を、出た。


卓には、私だけが、残った。


私は、自分の皿の脇の、林檎の最後の一切れを、口に、入れた。


林檎は、甘かった。


冬の終わりの林檎は、夏のものとは、違う、奥行きのある甘さを、持っていた。


私は、その甘さを、ゆっくり、噛んだ。


そして、立ち上がろうとしたとき、母エリザベートが、台所から、戻ってきた。


母の手は、布巾で、軽く、拭かれていた。


「テオ」


母は、私の名を、呼んだ。


「はい、お母さま」


「今朝は、何か、予定が、あるの?」


母の声は、ふだんと、同じだった。


ただ、その「予定」の言葉の選び方が、ふだんの「今日は、何を、するの?」とは、少しだけ、違っていた。


──母も、たぶん、察している。


私は、内側で、思った。


そして、母の目を、見た。


「お母さま」


私は、いつもの「お母さま」より、わずかに、ゆっくり、母の名を、呼んだ。


「今日は、私の部屋で、魔法を、試してみたいと、思います」


母の目が、わずかに、ひらいた。


ひらいた、というのは、驚きではなかった。


予期していたものを、確かめたときの、目のひらき方だった。


「家の中で、迷惑を、かけないように、気をつけます」


私は、続けた。


「火を、出すかもしれません。けれども、手のひらの上の、小さな火です。家具には、触れません」


「水も、出すかもしれません。けれども、手のひらの上の、小さな水玉です。床は、濡らしません」


「他の属性も、試すかもしれません。けれども、どれも、手のひらの上で、収まる、小さなものです」


私は、母に、自分の試みの規模を、先に、告げた。


母が、想定する不安を、減らすために。


母は、私の目を、見つめた。


少しだけ、考える顔を、した。


そして、頷いた。


「ええ、テオ」


母は、答えた。


「気をつけて」


「何か、困ったら、呼びなさい。お母さま、台所か、居間に、います」


「はい、お母さま」


母の手が、もう一度、私の肩に、軽く、触れた。


そして、離れた。


母は、台所へ、戻った。


私は、自分の部屋に、戻った。


部屋は、朝、起きたときと、ほとんど、同じだった。


ただ、窓辺の光が、ほんの少しだけ、強くなっていた。


私は、窓辺に、立ち、カーテンを、もう一度、半分だけ、閉めた。


光を、わずかに、絞った。


火を、出すのに、光が強すぎると、橙の色が、見えにくいと、思ったから。


机の椅子に、座った。


机の上には、何も、置かなかった。


ペンも、ノートも、本も、いったん、引き出しの中に、しまった。


机の表面は、何も、ない、平らな木の板。


その上に、私の両手を、置いた。


右手のひらを、上に向けて、左手のひらで、軽く、支える姿勢。


これが、私の、いまの、自然な、姿勢だった。


なぜ、これが、自然だと、感じたかは、わからなかった。


ただ、聖紋盤の上で、両足を、置いた瞬間に、身体が、覚えていた姿勢。


その姿勢の延長で、両手の姿勢も、自然に、決まった。


私は、軽く、息を、吐いた。


そして、内側で、決めた。


──火、から、試そう。


最も、典型的な属性から、始める。


最も、見えやすい属性から、始める。


それが、安全だと、思った。


私は、目を、軽く、伏せた。


完全に、閉じるのではなく、半分だけ、伏せた。


睫毛のあいだから、机の表面の、木の節が、薄く、見えていた。


その視界を、保ちながら、内側に、聞いた。


──火。


その一音を、心の中で、呟いた。


ただし、その一音は、ふだんの「火」の発音とは、少しだけ、違っていた。


ふだんの「火」は、フランディア語の、ひとつの単語だった。


いま、心の中で、呟いた「火」は、フランディア語の、ひとつの単語の、その奥に、別の、もうひとつの、響きを、持っていた。


その響きは、聖紋盤の上で、ソフォンが、私の身体に、刻んだ、火の種詠唱だった。


種詠唱は、フランディア語ではなかった。


けれども、フランディア語ではない言葉が、私の中に、どうして、根付いたのかは、わからなかった。


ただ、根付いていた。


そして、その根が、私の意志に、呼応した。


詠唱の、最後の一音が、内側で、消えた瞬間。


指先で、何かが、巻き始めた。


それは、目には、まだ、見えなかった。


ただ、指先の感覚として、ある。


腹の奥から、胸へ、胸から、肩へ、肩から、肘へ、肘から、手首へ、手首から、指先へ。


細い流れが、立った。


その流れが、指先で、渦を、巻いた。


渦は、無色だった。


ただし、その無色は、いつもの「何もない」とは、違った。


何かが、そこに、あるけれども、まだ、属性を、帯びていない、状態。


ふだんの私の感覚では、「透明な水」のような、感触。


その透明な水のような感触が、ふだんの一秒で、橙の色を、帯び始めた。


橙は、ゆっくり、ではなかった。


いつもの一秒のあいだに、無色から、淡い橙へ、淡い橙から、明らかな橙へ。


二段階の変化が、ほぼ同時に、起きた。


そして、その明らかな橙が、手のひらの少し上の、空間に、点として、凝集した。


橙色の点が、生まれた。


──ああ。


私の口から、声に、ならない、声が、漏れた。


漏れた、というのは、口の中で、止まった、という意味だった。


ただし、内側では、止まらなかった。


前世の智哉が、二十八歳の、研究者の声で、内側で、叫んだ。


──できた。


そして、十歳の私の身体の中で、もうひとつ、別の声が、答えた。


──火だ。


二つの声は、同じ橙の点を、見ていた。


二つの声の、どちらが、私だったかは、その瞬間、私には、わからなかった。


ただ、その「わからなさ」が、私の頬の筋肉を、わずかに、緩ませた。


笑った、というより、緩んだ。


ふだんの観察癖の、ふだんの顔は、こんな緩み方は、しなかった。


橙の点を、見つめながら、私は、しばらく、自分の頬の緩みを、止めなかった。


止める、という発想自体が、その時間、私の中から、消えていた。


手のひらの上、ではなく、手のひらの少し上。


皮膚から、おそらく、二、三センチほど、離れた位置。


その位置に、橙色が、灯った。


私は、息を、止めた。


止めた、というのは、止めようと、決めたのではなく、勝手に、止まった。


その瞬間に、私の身体が、止まった。


橙色の点は、ふだんの蝋燭の炎の、二倍くらいの大きさだった。


形は、揺らいでいなかった。


蝋燭の炎は、空気の流れに、揺れる。


この橙色の点は、揺れなかった。


ただ、橙のまま、止まっていた。


熱が、手のひらに、届いた。


ただし、皮膚そのものを、焼く熱では、なかった。


焚き火の前に、手のひらを、かざしたときの、あの熱。


体温より、三度ほど、高い熱。


熱は、皮膚に、届く前に、止まっていた。


ある層が、私の手のひらと、橙の点の、あいだに、あった。


その層が、私を、守っていた。


その層を、私は、まだ、説明できなかった。


ただ、ある。


微かな音が、聞こえた。


「ぱち」と、ひとつ。


それから、しばらく、無音。


「しゅう」と、ひとつ。


それから、また、無音。


音は、ふだんの焚き火の音と、似ていた。


ただし、いつもの焚き火の音は、燃料が、燃える音だった。


火が、油や、木材や、紙を、消費するときに、出る、ぱちぱち、しゅうしゅう。


この橙色の点の周りには、燃料が、なかった。


机の上は、何も、ない、平らな木の板だった。


机の木の板は、橙の点から、二、三センチほど、離れていた。


その距離では、机の木の板が、焦げる温度には、なっていなかった。


私は、橙の点を、見つめながら、内側で、確かめた。


──何が、燃えているのだろう。


そして、もうひとつ、別の感覚が、鼻に、届いた。


匂いだった。


匂いは、焦げ臭では、なかった。


机の木の板が、焦げている、わけでは、なかった。


匂いは、もっと、乾いていた。


金属の、乾いた匂い。


雷の前の、空気の匂い。


そのどちらにも、似ていた。


口の中が、わずかに、乾いた。


私は、橙の点を、五秒、見つめた。


そのあいだ、橙の点は、消えなかった。


七秒、見つめた。


まだ、消えなかった。


十秒、見つめた。


橙の縁が、わずかに、揺らぎ始めた。


橙は、私の集中が、緩むのを、待っているように、見えた。


私は、自分の集中を、保つことに、軽く、力を、入れた。


すると、橙は、もう、数秒、安定して、立ち続けた。


合わせて、十五秒ほど、橙は、手のひらの少し上で、点として、止まり続けた。


そして、私が、ふだんの呼吸に、戻ろうとした瞬間。


橙が、赤に、落ちた。


赤は、橙よりも、深く、沈んだ色だった。


赤の色は、わずかに、しゅっと、息を、吐くような音を、立て、


そして、消えた。


手のひらの上の、空間が、急に、ふだんの透明に、戻った。


私は、軽く、息を、吐いた。


机の上の、木の板を、見た。


焦げ目は、なかった。


熱の痕も、なかった。


ただ、空気の中の、乾いた金属の匂いだけが、まだ、わずかに、残っていた。


私は、両手を、机の上に、戻した。


右手のひらは、少し、だるかった。


腕全体は、それほど、重くなかった。


ただ、右手のひらに、ほんの一握り分の、疲労が、残っていた。


──火は、出た。


私は、内側で、確かめた。


そして、続けて、内側に、留めた。


──いま、私は、何を、見たのか。


私は、机の上で、しばらく、動かなかった。


そして、もう一度、同じ姿勢を、取った。


二度目の火を、出した。


二度目は、最初より、少しだけ、早く、橙が、立った。


詠唱の最終音から、橙の点の凝集まで、いつもの一秒の、半分ほどに、縮んだ。


私は、二度目の橙の点を、見つめながら、ゆっくりと、もうひとつの、感覚を、開いた。


真理の眼。


私が、五歳の冬から、ふだんの暮らしの中で、開いたり、閉じたりしてきた、もうひとつの目。


ふだんは、井戸の水の流れや、書架の本の並びや、家族の顔の輪郭や、街路の石畳の継ぎ目を、観察するために、開く目。


その目を、今朝、初めて、自分の手のひらの上の、橙の点に、向けた。


橙の点の、輪郭が、薄く、ほどけた。


ほどけた、というのは、輪郭が、消えたのではなかった。


輪郭の外側に、もうひとつ、薄い、輪郭の層が、現れた。


その層の内側に、橙の点の、内部構造が、見えた。


渦だった。


時計回りの、小さな、渦。


渦は、点の中心から、外側へ、ゆっくりと、回っていた。


渦の動きは、規則的だった。


ふだんの焚き火の、揺らぎの、不規則さは、なかった。


ただ、規則的に、時計回りに、回っていた。


そして、渦の中心に、点が、あった。


点は、橙の点の、中心の、さらに、内側の、もうひとつの、点。


その点は、何かを、燃やしている、ようには、見えなかった。


その点は、ただ、そこに、あった。


ただ、そこに、あって、渦を、回していた。


その点を、私は、まだ、説明できなかった。


──燃料、では、ない。


私は、内側で、置いた。


何が、燃えているのか、私には、まだ、分からなかった。


私は、真理の眼を、もう少しだけ、深く、向けた。


すると、頭の中で、別の、機能が、動き始めた。


それは、聖紋盤の上で、ソフォンが、私の身体に、刻んだ、もうひとつの、機能。


魔法の構造を、読む眼。


魔法解析、と、ソフォンは、呼んだ。


魔法解析が、橙の点の、内部構造を、読み始めた。


頭の中で、いつもの言葉とは、少しだけ、違う、言葉が、生まれた。


──温度勾配。


ひとつ。


──粒子の、運動の、活性化。


ふたつ。


──熱対流。


みっつ。


それらの言葉は、ふだんの私が、自分で、考えた言葉では、なかった。


ただ、橙の点の、内部構造を、見ているうちに、頭の中に、勝手に、浮かんできた、言葉だった。


その言葉たちは、前世の物理学で、私が、覚えていた言葉と、似ていた。


ただし、完全に、同じでは、なかった。


温度勾配、という言葉は、前世の物理学では、もっと、厳密に、定義されていた。


いま、頭の中に、浮かんだ、温度勾配は、もう少し、緩い、輪郭を、持っていた。


そして、もうひとつ、別の言葉が、頭の中に、浮かばなかった。


「燃焼源」という言葉が、浮かばなかった。


魔法解析は、温度勾配、粒子の運動の活性化、熱対流、まで、言語化した。


そこで、止まった。


その先の、「何が、燃焼源か」という問いは、魔法解析の、言語化できる範囲の、外に、あった。


──変数が、ひとつ、足りない。


私の頭の中で、もうひとつ、別の声が、呟いた。


その声は、前世の、研究者の声だった。


工藤智哉が、博士課程の、研究室で、データの異常値を、見つけたときに、内心で、呟いていた声。


その声が、十年ぶりに、頭の中で、響いた。


橙の点が、再び、揺らぎ始めた。


私の集中が、解析の方に、移ったから。


橙が、赤に、落ち、赤が、消えた。


二度目の、終わりだった。


私は、軽く、息を、吐いた。


手のひらが、最初より、ほんの少しだけ、だるかった。


腕全体は、まだ、重くなかった。


──火は、橙の点として、出た。


──燃料は、なかった。


──真理の眼で、内部の渦と、中心の点が、見えた。


──魔法解析で、温度勾配、粒子の運動の活性化、熱対流、までは、言語化された。


──燃焼源は、言語化できなかった。


私は、内側で、四つの行を、整理した。


そして、もうひとつ、五つ目の行を、加えた。


──私は、まだ、その答えを、知らない。


その五つ目の行は、私の中で、軽く、置かれた。


軽く、置かれた、というのは、解決しなければならない、と、慌てなかった、という意味。


ただ、置いた。


その答えは、たぶん、すぐには、出ない。


たぶん、学院で、何かを、学べば、近づける。


たぶん、古い本を、読めば、別の手がかりが、得られる。


たぶん、誰かと、議論すれば、新しい角度が、開ける。


たぶん、そのどれもが、必要だった。


そして、たぶん、そのどれもが、揃っても、まだ、足りないかもしれなかった。


それでも、私は、置いた。


置いたうえで、次の属性に、進むことを、決めた。


水。


二つ目の種は、水だった。


火と、対の属性。


私は、机の脇の、小さな水差しを、見た。


水差しは、昨夜、母が、寝室に、置いてくれた、井戸水の水差しだった。


水差しの脇に、ふだんの杯が、ひとつ、置かれていた。


杯は、空だった。


私は、杯を、机の上に、移した。


机の中央ではなく、少しだけ、脇に。


そこに、空の杯が、置かれた。


そして、もうひとつ、別の杯を、引き出しから、取り出した。


二つの杯を、机の上に、並べた。


並べた理由を、私は、まだ、自分でも、明確には、説明できなかった。


ただ、水を、出すなら、井戸の水と、比べたい、という直感が、あった。


その直感が、二つの杯を、机の上に、並ばせた。


私は、もう一度、両手の姿勢を、取った。


右手のひらを、上に向けて、左手のひらで、軽く、支える。


そして、内側で、決めた。


──水。


詠唱の、最後の一音が、内側で、消えた。


指先の渦が、無色から、蒼色を、帯びた。


蒼は、火の橙よりも、ゆっくり、立った。


ゆっくり、というのは、いつもの一秒のあいだに、無色から、淡い蒼へ、淡い蒼から、深い蒼へ、二段階の変化が、火の場合の、半分くらいの、速さで、進んだ。


そして、詠唱の最終音から、二秒ほど、遅れて、手のひらの、中央に、水玉が、現れた。


水玉は、火の橙の点と、違って、手のひらの少し上、ではなかった。


水玉は、手のひらの、ちょうど、中央の、皮膚の上に、乗っていた。


杯一杯の半分ほどの、量。


手のひらに、乗る、ちょうど、いい大きさ。


指先が、冷えた。


体温より、二、三度、低い冷たさ。


冷たさは、指先から、手のひらの中央の、水玉の方へ、流れていった。


水玉の表面で、冷たさは、止まった。


水玉の中の、水は、冷たかった。


ただし、その冷たさは、井戸水の、冷たさとは、少しだけ、違っていた。


井戸水の冷たさは、外から、来た冷たさだった。


地下の、深い場所で、ゆっくりと、貯められた冷たさ。


この水玉の冷たさは、外から、来た冷たさでは、なかった。


水玉そのものが、最初から、その温度で、生まれたような、冷たさ。


匂いが、鼻に、届いた。


雨後の、土の匂い。


湿った石の匂い。


そのどちらにも、似ていた。


そして、舌の奥に、わずかな、塩気が、残った。


塩気は、海のものでは、なかった。


もっと、淡い。


涙の、塩気よりも、淡い。


ただ、確かに、舌の奥に、残った。


私は、水玉を、見つめた。


水玉は、手のひらの中央で、安定して、止まっていた。


球面が、ぴんと、張っていた。


球面の張りは、ふだんの水滴より、強かった。


ふだんの水滴は、皮膚の上に、落ちると、すぐに、平たく、広がる。


この水玉は、平たく、広がらなかった。


球の形を、保ったまま、手のひらの中央に、止まっていた。


そして、内側で、もうひとつ、感じた。


──これは、私の、属性だ。


その感覚は、火のときには、なかった。


火のときは、橙の点を、出したあと、「ああ、火が、出た」と、確認するだけだった。


水のときは、違った。


水を、出した瞬間に、内側で、何かが、ぴたりと、収まった。


いつもの呼吸の、ふだんの鼓動の、ふだんの体温の、その奥に、もうひとつ、水玉と同じ、温度の、何かが、ある。


その何かが、水玉と、呼応していた。


母エリザベートが、ある日、私に、教えてくれた言葉が、頭に、浮かんだ。


「あなたの本命星は、一白水星」


私は、その言葉を、五歳の冬に、聞いた。


そのときは、星位の、意味を、よく、わからなかった。


ただ、一白水星、という名前の響きだけ、覚えた。


いま、その響きが、水玉と、重なった。


──他の属性は、覚えていることを、再現している感覚だった。


私は、内側で、保留した。


──けれども、水だけは、最初から、私の中に、いた気がした。


私は、水玉を、解いた。


そして、もう一度、出した。


二度目の水玉は、最初より、わずかに、早く、形を、結んだ。


私は、二度目の水玉を、見ながら、ふと、もう一度、出したくなった。


その「もう一度」は、観察のための、もう一度では、なかった。


水玉が、私の手のひらの中央に、現れる、その瞬間の感触を、もう一度、味わいたい、という、ただの衝動だった。


研究者の声では、なかった。


十歳の、私の身体の、声だった。


私は、その声を、聞いた。


聞いて、軽く、頷いた。


そして、三度目の、水玉を、出した。


三度目の水玉は、二度目より、もうわずかに、早かった。


私は、自分の頬が、もう一度、緩むのを、感じた。


──こんなに、楽しいのか、これは。


私は、内側で、ようやく、その言葉を、見つけた。


楽しい、という言葉を、ふだんの観察癖の、ふだんの語彙の中から、引き出すのは、私には、初めてに、近かった。


ただ、いま、その言葉は、水玉と、ぴたりと、重なっていた。


その「最初から」は、聖紋盤の上で、ソフォンが、私の身体に、刻む、より、前のこと。


もっと、前。


私が、現世に、生まれる、その前から、もしかしたら、水は、私の中に、いたのかもしれない。


その考えは、まだ、確信では、なかった。


ただ、その方向に、考えが、傾いた。


私は、水玉を、見つめながら、真理の眼を、開いた。


水玉の輪郭が、薄く、ほどけた。


ほどけた内側に、球面の張りが、薄い網目のように、見えた。


網目は、規則的だった。


いつもの水滴の、表面張力よりも、強い、ぴんと張った、網目。


そして、球の内部に、ゆっくりとした、流動が、見えた。


時計回りの、極めて、ゆっくりとした、流動。


その流動は、水玉の内側だけで、完結していた。


外と、繋がっていなかった。


私は、もうひとつの杯を、見た。


机の上の、空の杯。


その横に、水差しから、井戸水を、ひとさじ、注いだ。


杯の中で、井戸水が、わずかに、揺れた。


私は、真理の眼を、井戸水の方に、向けた。


井戸水の中の、水も、ゆっくりと、流動していた。


ただし、その流動の方向は、不規則だった。


外側の、杯の壁との接触で、わずかに、押し返されていた。


そして、内側の、水分子の、まばらな配列の中に、ふだんの井戸水らしい、不純物が、薄く、混じっていた。


岩盤の鉱物の、わずかな溶けたかけら。


地下水脈の、流れの履歴。


それらが、井戸水の中に、薄く、残っていた。


私は、もう一度、自分の手のひらの、水玉に、視線を、戻した。


水玉の中には、不純物が、なかった。


岩盤の鉱物の、溶けたかけらも、なかった。


地下水脈の、流れの履歴も、なかった。


ただ、純粋な、水だけが、球の中に、ぴたりと、収まっていた。


──この水は、無から、生じている。


私は、内側に、留めた。


そして、もうひとつ、確かめた。


部屋の空気の、湿度を、感じた。


冬の朝の、室内の空気は、もともと、乾いていた。


私が、水を、出す前から、室内の空気は、乾いていた。


私が、水を、出したあとも、室内の空気は、乾いていた。


水玉が、手のひらの上に、ある、いまも、室内の空気の湿度は、ふだんと、変わらなかった。


水玉の中に、ある、水は、室内の空気から、来たわけでは、なかった。


来るなら、室内の空気の、湿度が、下がるはずだった。


下がっていなかった。


──水は、無から、湧いた。


私は、内側で、もう一度、置いた。


そして、頭の中で、魔法解析が、また、動いた。


──凝集。


ひとつ。


──球面、張力。


ふたつ。


──水素、結合。


みっつ。


それらの言葉は、前世の物理学で、私が、覚えていた言葉と、ほとんど、同じだった。


ただし、もうひとつ、別の言葉が、浮かばなかった。


「水分子の、出所」という言葉が、浮かばなかった。


魔法解析は、凝集、球面張力、水分子の繋がり方、まで、言語化した。


そこで、止まった。


──これは、凝結では、ない。


私の頭の中で、もうひとつの声が、呟いた。


研究者の声だった。


凝結は、空気中の、水蒸気が、冷えて、液体に、変わる現象。


この水玉の、生まれ方は、凝結では、なかった。


私は、水玉を、もう少し、保った。


合わせて、十数秒、水玉は、手のひらの中央で、安定して、止まり続けた。


そして、ふだんの呼吸に、戻ろうとした瞬間。


水玉の球面の張りが、ふいに、ほどけた。


ほどけた、というのは、水玉が、平たく、広がる、のでは、なかった。


水玉が、手のひらの中に、ふっと、吸い込まれるように、消えた。


蒸発では、なかった。


蒸発なら、水蒸気の、わずかな上昇が、感じられたはずだった。


感じられなかった。


ただ、水玉が、その場で、なくなった。


──水は、来た場所に、戻った。


私は、内側で、置いた。


来た場所が、どこだったかは、わからなかった。


無、というのは、私には、まだ、よくわからない言葉だった。


ただ、水は、無から、来て、無に、戻った。


そう、置くしか、なかった。


私は、手のひらを、机の上に、戻した。


両方の手のひらが、わずかに、湿っていた。


湿りは、皮膚の表面の、結露のような、ものだった。


しばらくすると、その湿りも、自然に、消えた。


私は、机の上の、二つの杯を、見た。


ひとつは、空の杯。


水玉が、あった場所の、すぐ脇に、置かれた、空の杯。


もうひとつは、井戸水の杯。


杯の中の、井戸水は、まだ、揺れていた。


──同じ水が、二つの場所に、あった。


──ひとつは、私の手のひらの中の、水玉。


──もうひとつは、井戸の、深い場所の、水。


──同じ水だ。


──けれども、同じ水では、ない。


私は、内側で、保留した。


窓の外、午前の光が、室内に、伸び始めていた。


光は、いつもの冬の朝の光より、わずかに、強くなっていた。


時刻は、たぶん、ふだんの、朝食を、終えてから、二時間ほど、経った頃。


──火と、水。


私は、内側で、確かめた。


──二つの種に、声を、かけた。


──二つの種は、芽を、出した。


──火の芽は、燃料が、なかった。


──水の芽は、無から、湧いた。


──二つとも、前世の私の、理屈では、説明できない、部分を、持っていた。


そして、もうひとつ、確かめた。


──指は、私の意志より先に、形を、作った。


火の橙が、出る前に、私の指は、すでに、橙を、出す形を、作っていた。


水の蒼が、出る前に、私の指は、すでに、蒼を、出す形を、作っていた。


その「先に」は、ソフォンが、聖紋盤の上で、私の身体に、刻んだ、手順の、痕跡だった。


私は、机の脇に、ふだんの実験ノートを、置こうかと、思った。


引き出しから、ノートを、取り出して、火と、水の、観察結果を、書きこむ。


いつもの、私の、習慣。


けれども、今朝は、まだ、書かないことに、した。


理由は、はっきりとは、わからなかった。


ただ、書く前に、もう少し、内側で、置く時間が、欲しかった。


私は、軽く、椅子の背に、もたれた。


手のひらは、わずかに、だるかった。


水を、出した手のひらの方が、火を、出した手のひらより、だるかった。


これは、予想外だった。


火の方が、水より、消費が、大きい、と、内側で、感じていた。


実際は、逆だった。


水の方が、私の中の、深い場所から、何かを、引き出していた。


──水は、私の、属性だ。


私は、もう一度、内側に、留めた。


そして、その重みを、軽く、受け止めた。


窓の外、午前の光が、私の机の上の、空の杯と、井戸水の杯を、薄く、照らしていた。


二つの杯は、並んで、机の上に、置かれていた。


ひとつは、私の手のひらの、水玉が、あった場所の、すぐ脇に、ある、空の杯。


もうひとつは、井戸水の、ひとさじが、残っている杯。


私は、その二つの杯を、しばらく、見つめた。


そして、内側で、確かめた。


──水だけは、最初から、私の中に、いた気がした。


──指は、私の意志より先に、形を、作った。


──けれども、私は、その水が、どこから来たのか、知らなかった。


私は、椅子から、立ち上がった。


机の上の、空の杯と、井戸水の杯は、そのまま、置いておくことに、した。


午後の、残りの試行に、また、使うかもしれない。


窓辺へ、歩いた。


カーテンを、もう一度、半分だけ、開けた。


外の光が、もう少しだけ、強く、入ってきた。


外の中庭の、井戸の石組みが、半分ほど、見えた。


中庭の葡萄の蔓の下に、家猫の、灰色の毛並みが、薄く、見えた。


そして、もうひとつ、見えた。


妹クララの、後ろ姿が、葡萄の蔓の下に、しゃがんで、家猫の方に、手を、伸ばしていた。


──次は、風と、土。


私は、内側で、置いた。


──次は、中庭の、井戸端で、試そう。


中庭の、外の空気の中で、風を、確かめたい。


中庭の、地面の土と、手のひらの土を、並べて、確かめたい。


その二つの理由が、自然に、頭の中で、決まった。


その「次」は、まだ、もう少し、先のことだった。


いまは、まず、手のひらの、だるさを、ふだんの感覚に、戻したい。


それから、ふだんの呼吸を、もう、しばらく、続けたい。


私は、窓辺で、深く、息を、吐いた。


外の冬の空気の、冷たさが、窓硝子越しに、頬に、薄く、届いた。


頬の冷たさは、私の中の、水玉の冷たさと、よく、似ていた。


──同じ冷たさだ。


私は、内側で、保留した。


──そして、同じ冷たさでは、ない。


その二つの行を、内側で、軽く、置いて、


私は、椅子に、もう一度、座って、


両手を、膝の上に、軽く、置いて、


しばらく、何も、しないことを、決めた。


手のひらの、まだ、声を、かけていない、残りの四つの種が、


いつもの「ある」感覚で、


そこに、


眠っていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ