表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
タイムリープするお嬢様――二度目の婚約破棄はもう遅い。あなたが破滅する始まりです  作者: 御咲花 すゆ花
6話 ベアトリス・ハルフォード

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

63/81

51 雪の準備(3)

 王宮からの帰り道にはエマが馬車で合流していた。


「アーサー様について、まとまりましたので」

「聞かせてちょうだい」


 キャサリンが窓の外から視線を戻す。


「社交界での評判はおおむね良好です。穏やかで誠実、頭も切れる。人当たりもよく、敵を作るタイプではないようです。しかし、少し気になる話もいくつか」


「……?」


 キャサリンが先を促せば、エマが手元の書類に視線を落とす。


「約束の時間や場所を、相手への確認なしに変えることが多いようです。本人に悪気はなく、むしろ相手も自分と同じ考えだろうと思っているようで……周囲の方々も、特に指摘はしていないようですが」


「……そう。王様気質なのね」


 キャサリンが短く返す。


「はい。特に、ベアトリス様に対しては、その傾向が強いようです。幼い頃からベアトリス様がアーサー様に合わせることが当たり前になっていたようで――」


「本人はそれを当然のものと思っているわけね」


 キャサリンが静かに言葉を引き取った。


 ――このぶんだと、ビオラ嬢のダメンズレーダーは百発百中ね。


「ベアトリス嬢への気持ちのほうは、どう?」


 エマが少しだけ考えてから答えた。


「少なからず好意を抱いているようなのですが、ベアトリス様が行動するのが筋だと思っているのか、自分から何かをするという発想がないようです。ベアトリス様が婚約者を得ても、どこかで『いつでも戻ってくる』と思っているような節が……周囲の証言からも、うかがえます」


「……重症ね」


 実際、半分くらいはアーサーの予言する未来へと向かっていってしまっているので、キャサリンとしても考え方自体は否定しがたい。無論、ベアトリスのことを思えば、論外である。


 キャサリンは腕を組み、しばらく黙った。

 窓の外を、雪の積もった王都が流れていく。


「エマもビオラ嬢のアンテナに引っかかった理由は、このあたりだと思う?」


 エマがうなずく。


「はい、そうですね。ビオラ様が狙うのは、エドワード様のような明確な悪意を持つ方だけではないのかもしれません。無自覚に周囲を傷つけるタイプも、その対象に含まれるのではないかと」


「本当に厄介な嗅覚ね」


 キャサリンがつぶやいた。

 ある意味では、エドワードに対する制裁は財産の持ち逃げという形で、ビオラが代わりにやってくれるのだ。これまでのケースとは違って、ビオラには幸せな家庭を壊してやろうという悪意を感じられない。ベアトリスに対する露骨な敵意はないのだ。


 ――狂犬ビオラをどう扱うかが勝負。


 ダメンズハンターとして、エドワードへの噛みつきのみを引き出せれば、ベアトリスを幸せにできる。そのためにはアーサーの言動を正さなければならない。その場限りの礼儀では、本心をビオラに看破される恐れが高かった。


「アーサー様に直接、会ってみるわ」

「場をご用意いたしましょうか」

「ええ。できれば自然な形で……フィリップ様の関係する集まりに、アーサー様も顔を出す機会はないかしら?」


 エマが少しだけ考えてから、静かにうなずいた。


「明後日、画廊で小さな展示会があります。フィリップ様もご出品される予定で、アーサー様の家も子爵なのでご招待を受けているようです」


「ちょうどいいわね」


 キャサリンが前を向いた。

 馬車が石畳の上を、ゆっくりと走り続けた。

 コメントまでは望みませんので、お手数ですが、評価をいただけますと幸いです。この後書きは各話で共通しておりますので、以降はお読みにならなくても大丈夫です(臨時の連絡は前書きで行います)。

 次回作へのモチベーションアップにもつながりますので、なにとぞよろしくお願いいたします。(*・ω・)*_ _)ペコリ

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ