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拝啓、遥か過去の自分へ  作者: 尚文産商堂


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第31話

「さて、一つ聞こう。もしもなにか1つだけ過去に持っていけるとしたら、何を持っていく?」

「過去、ですか」

魂しか連れてきていないから、戻るとしても魂しか戻れないだろう。

だが、それに足して1つ持っていけるとするならば、この世界の過去のデータだろう。

「今までの過去の歴史、ですかね。そうすれば大金持ちになることも、働かなくて済むことも、事故や事件に遭うこともないでしょうから」

そして、ふと気づく。

「……まさか」

俺の手の中にあるままのスマホ、俺の手の熱で徐々に温度を取り戻そうとしているそれを見る。

「1つ、方法があるとしたら」

今の知識を無理に覚えるなんて、到底無理だと思っていた。

だが彼が提示したのはそれを覆す方法。

ただ魂と一緒にもっていくとなれば条件もかなり厳しくなることは容易にわかる。

「その1つのだけある方法が、そのスマホの中に隠されているとしたら」

まだ解かれていない謎、でも時間はもう24時間くらいしかないだろう。

「そして君の手の中にその答えがあるとしたら」

今の時代にそぐわないものだし過去からの遺物だと思う、それに充電もされているかもしれない。

俺は震える手で電源キーを押した。

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