152話 最強装備を手に入れてみた
本日、アニメのPV第2弾公開!
https://x.gd/OhsnF
「――う、うぎぎぎっ……こ、こちら、景品の“ラッキーペンデュラム”になります……っ」
「わーい」
そんなこんなで、みんなでカジノで荒稼ぎをしたあと。
悔しそうに歯噛みするバニーガールから、ローナは隕石攻略の鍵となる装備を受け取った。
「? それはなんですの?」
ザリチェが、ひょこっとローナの手元をのぞきこんでくる。
「これですか? これは、SSS+ランク装備のラッキーペンデュラムです!」
「SSS+ランク……?」
「あ、最近、SSSの上のランクが出まして」
「さらっと世界を揺るがす衝撃ニュースが飛び出しますわね……といいますか、そんなにお強いんですの、それ?」
「はい!」
と、ローナは頷きながら、あらためてインターネット画面を見た。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
≡ エタリア攻略wiki [ ]検索 ⍰
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
▍装備/アクセサリー/【ラッキーペンデュ
ラム】
▍ランク:SSS+
▍種別:アクセサリー
▍効果
幸運+77% クリティカル率+77%
状態異常成功率+7%
▍概要
ぶっ壊れ。以上。
思いっきりバグっているが、もはや修正さ
れることはないだろう。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
そう、この装備は『とにかく運をよくする装備』であり……。
「この装備を着けてると、隕石の攻略ができるかもしれないんです!」
「……?」
と、軽く説明をしてみたものの、いまいちわからないという顔をするザリチェ。
「いえ、まあ、強いことはわかったのですが……たしか、隕石のHPは900京あるのですわよね? そのラッキーなんちゃらがあったところで、毒にも薬にもならないのではなくて?」
「いえ、これがあれば、毒にはなりますね――隕石が」
「……? ……?」
ザリチェがきょとんとしているので、ローナはさらに補足する。
「えっと、この装備には『状態異常成功率+7%』って効果がありまして」
「それがどうしたんですの?」
「これを装備してると、『状態異常になる確率が0%』の相手にも、7%の確率で状態異常が入るようになります」
「……らふ?」
「つまり、これを装備してると、隕石が毒・炎上・魅了・混乱・麻痺・暗闇状態などになります」
「隕石が!?」
そう、状態異常――それこそが、隕石攻略の鍵。
毒・炎上・水中ダメージのような“割合ダメージ”ならば、隕石にどれだけHPがあろうと関係ない。
それは、ローナが以前、恐怖の館テラーハウスで炎上させて倒した『基本的に倒せない死神』のように。
もっとも、“即死”のようなものは状態異常とは別枠扱いらしいので効かないようだが。
「というか、毒もそうですけど……隕石って炎上状態になるんですの? すでにめちゃ燃えてると思いますけど」
「自分でわざと炎上するのはいいけど、他人に炎上させられるのは傷つく、みたいな?」
「メンタリティの問題ですの……?」
「あと隕石は、水中適性? っていうのがないみたいなので……水の中にいると息ができなくてダメージを受けるみたいです」
「隕石って肺呼吸ですの!?」
「まあ、隕石は“モンスター”なので」
「せ、生物学者が頭抱えそうな存在ですわね……」
と、少し話は脱線してしまったが。
「ともあれ、隕石に割合ダメージを与えられるのでしたら――」
「HPが922京だろうと関係ない、ってことです!」
「な、なるほど……」
と、ザリチェも納得したように頷く。
「そう考えますとエグい装備ですわね、そのラッキーなんちゃらは。理論上、どんな敵でしょうと、毒で倒せるということですし……」
「はい! なので、このラッキーペンデュラムは、ザリチェさんにあげます!」
「…………らふ?」
というわけで。
ローナは、ザリチェに隕石攻略の鍵を――戦略兵器クラスのぶっ壊れ装備をプレゼントした。
「……え? ……え?」
「えへへ! ザリチェさんには、隕石攻略の鍵になってもらいたいなって思ってまして! ラッキーペンデュラムは景品交換で何個でも手に入るので、これをザリチェさんの毒花のモンスターたちに装備させれば、毒花粉で隕石を毒にすることが――」
「……いえ、あのですわね」
「はい」
「――ば〜〜〜〜っかじゃねぇですの!?」
ザリチェが思わず叫んだ。
「わ、わたくし、仮にも世界征服しようとしていましたのよ!? なのに、こんなやっべぇブツをわたして……わたくしがなにかしたら、どうするつもりでいやがりますの!?」
「…………」
「…………」
「…………?」
「あ、こいつ、なんも考えてないですわ……」
そう、ローナは、なにも考えていなかった。
むしろ、なぜかザリチェ本人のほうがビビっているという謎の状況になっていた。
たしかに、この装備は……状態異常のエキスパートであるザリチェが使うのが、もっとも効果的だろう。
ただ、ザリチェが、この装備を持つということは……。
ザリチェがその気になれば、毒花粉を世界中に散布して――終末竜だろうが、邪神だろうが、一方的に死滅させられるようになる、ということだ。
あるいは、世界中の人間を魅了花粉で操り、この世界の女王になることもできるわけで……。
一応、身代わり人形を装備していれば、それで状態異常は防げるとはいえ……あきらかに個人が持っていい戦力ではない。
隕石の前に、ザリチェによって世界が終わりかねない――が。
「大丈夫です! 『この世界の美少女はみんな、なんだかんだで善人』ってインターネットに書いてあったので!」
「なんっも、大丈夫じゃねぇですわ!?」
「それに……私とザリチェさんは、もう友達じゃないですか!」
「…………」
「…………」
「え、あの、わたくしは友達だとか思っていませんけど……」
「えぇっ!?」
……とはいえ。
こんなふうに、あっさり信頼されてしまうと、ザリチェとしてもやりづらく。
ザリチェはしばし、なにか言いたげにうなっていたが……やがて、盛大にため息をついた。
「はぁぁ~……まったく、おハーブが生えますわね。毒の女王たるこのわたくしが、こんなやつに毒気を抜かれ……あまつさえ、毒されるだなんて……」
「?」
と、ザリチェは毒々しげに自らに毒づきつつも。
「とりあえず、承りましたわ。わたくしとしても、隕石ごときにお庭を壊されるのはごめんですしね」
「……っ! ありがとうございます!」
「それと、この前、異世界に行ったとかぬかしてましたわよね? この報酬は、異世界のおハーブちゃんでかまいませんわぁ♡」
「はい!」
こうして、隕石攻略の鍵となるザリチェの協力も得ることができた。
しかし、もちろん……これで全て解決、というわけにはいかず。
「……で、どうするんですの、隕石の足止めは? 毒だけで倒すには30分はかかりますわよ?」
と、ザリチェが当然の疑問を口にする。
そう、割合ダメージだけで倒すにあたって、問題は――時間がかかるということだ。
攻略サイトによると、毒などの割合ダメージはこれまで弱体化され続けてきており……たとえば、毒については『180秒かけて1割のダメージを与える』というゴミみたいな効果しかない。
炎上や水中ダメージなどをうまく組み合わせても、HPを全て削りきるには、20分ぐらいはかかるだろう。
その一方、隕石の地表までの到達時間は、数分程度であり――。
「ふむ、状態異常が効くのでしたら、麻痺や魅了などで動きを止めることはできまして?」
「うーん……隕石は空を自由に飛べるわけじゃないので、落ちるものは落ちるんじゃないかなと」
「まあ、たしかに……物理法則まではねじ曲げられませんわよね」
そう、攻略サイトの神々も、この程度のことまでは考えたが……。
しかし……ここまでだった。
大人数の神々が集まっても答えが出なかったのだ。
ここでローナたちが考えたところで、すぐに答えが出るはずもなく。
「うむむ……ともかく今は、他にやれることをやるべきですわね」
「はい」
と、ローナも頷く。
ひとまず、隕石については置いておくとして。
避難所についても、ローナの仲間たちがダンジョンシェルター化計画を進めてくれているので……。
となれば、残る問題は――。
「……モンスターの大量発生ですね」
“運営”の犯行予告によると、『来週から毎日、世界のどこかでモンスターの大量発生を起こす』とのこと。
大量発生が起こる地点は1日1か所で、その場所も事前に犯行予告をしてくれるようだが……。
しかし、レベル100や200のモンスターも発生させるらしく。
「ふむ、そのレベル帯となりますと、あなたぐらいにしか対処できませんし……あなたが分裂して地上で戦えばいいのですわ。あなた、ちょくちょく分裂してますし」
「分裂? ああ……水分身の舞いのことですか。あれ、3回スキルを使うと解除されちゃうんですよね」
「なるほど、ローナ・ハーミットが何人もいれば手っ取り早いと思ったのですが」
「……ん? 私が何人も?」
そこで、ザリチェの言葉に、ローナは少し引っかかり――。
「――そ、それだぁっ!」
と、ローナに電流が走るのだった。
◇
「――というわけで、エリミナさんに世界樹の杖あげます!」
「ぶふぉおッ!?」
そんなこんなで。
ローナはモンスター大量発生対策のため、エリミナに世界樹杖ワンド・オブ・ワールドをプレゼントしたのだった。











