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【アニメ放送中!】世界最強の魔女、始めました 〜私だけ『攻略サイト』を見れる世界で自由に生きます〜(Web版)  作者: 坂木持丸
第14章 夢の世界に行ってみた

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147話 魔王と遊園地に行ってみた


 ローナの幸せな夢が砕け散ったあと。


「プチヒール! プチヒール! ふぅ、顔色がよくなってきましたね」


(……し……死ぬかと思いけり……)


 ローナの目の前でいきなり過労で倒れた謎の少女は、なんとか回復魔法によって復活し……。


 一息ついたところで、ローナはさっきから気になっていたことを尋ねることにした。


「それで、あの……あなたは? いきなり出てきたかと思ったら、いきなり過労で倒れましたが」


(……我か? 我は……『この夢の世を統べし王』と言わば……わかるかや?)


「っ! ま、まさかっ!」


 ローナが、はっと息をのむ。



「――千葉県知事っ!?」



(……“魔王”なり)


 “魔王”だった。


「あー、魔王さんでしたかぁ」


(……え、リアクション薄し……我、“魔王”ぞ? 『封印が解かれし刻(とき)、世界が終わる』と語り継がれし存在ぞ……?)


「うちのペットと同じですね」


(……うちのペットと同じですね!?)


 と、そこで。


「あ、そうだ……忘れてた」


 ふいに、ローナがなにか思い出したような声を出す。

 そう……もしも、この少女が本当に“魔王”だというのなら――。


「魔王さんは放置しなきゃなんでした」


(……え、放置?)


「はい。魔王さんの計画って、放置されると詰むじゃないですか。なので、魔王さんは放置しようって方針になってまして」


(……………………)


 だらだらと冷や汗を流す“魔王”。


 実際、ローナの言う通り、ここでローナに放置されたら“魔王”の計画は崩壊してしまう。

 そうなれば、“魔王”はひとり、ここで永遠にスタンバることになるわけで――。


「じゃあ、そろそろラフィエールさんに怒られそうなので、私はこの辺で――」


(……ぅ、うおおおおっ! 待て待て待てぇぇえっ!)


「わっ」


 “魔王”は恥も外聞もかなぐり捨てて、ローナの腰に必死にしがみついた。


(……そ、そう、褒美っ! 我が味方とならば、そなたに世界の半分をくれてやろうぞっ!)


「…………」


(……あ、待って、帰ろうとするのやめよ……なれば、なんでも! なんでもするゆえ……話を聞くだけでも、ね? ね?)


「ん? 今、なんでもするって言いました?」


(……う、うむ……まあ、我は夢を操るよりほかはできぬゆえ……夢にて叶うことなれば……)


「夢を操る……あ、それなら、“あれ”ができるかなぁ」


(……?)


「よし、わかりました! そういうことでしたら、魔王さんの話を聞きます!」


(……まことかや!?)


 というわけで、ローナがあっさり褒美(えさ)で釣れたあと。


 いったん気を取り直し――。


「それで、話っていうのは?」


(……う、うむ、にわかには信じがたしと思えど……)


 “魔王”は前置きなどを飛ばして、さっそく本題に入った。


(……そなたは、たぶん我が化身(アバター)なり)


「私が魔王さんの化身(アバター)?」


 ローナがきょとんと小首を傾げる。


「ということは……私と魔王さんはこれからひとつになって、世界を滅ぼすために現実世界に降臨するけど……その前に立ちふさがった仲間たちの呼び声と祈りによって私は我に返って、ラストは絆の力で魔王さんを倒して世界は救われる――ってことですか?」


(…………あ、はい……)


 なんか、盛大にネタバレを食らった気がした“魔王”であった。


 一方、ローナはなにか納得するような顔をし――。


「そっか……私が行く町がいつも滅びかけてたのも、私が魔王さんの化身(アバター)だったからなんだ……」


(……え、知らぬ……なにそれ……怖……)


「そっか、私が魔王さんの化身(アバター)かぁ……」


(…………)


「…………」


「まあいっか」


(……まあいっか!?)


 なんか、反応が軽かった。

 とはいえ、彼女は“魔王”の化身(アバター)であることを受け入れたようだし――。


(……ま、まあよし……ともかく、そなたが宿命を受け入れたるならば……今こそ我らひとつとなりて、現世(うつしよ)をば征服せんっ!)


「わっ」


 “魔王”はそう言うなり、黒い霧となってローナの体へと吸いこまれていき――。



 ――がいん、がいん、がいん。



 なんか壁にぶつかったように、ローナの体の表面でめちゃくちゃ弾かれた。


(…………)


 ――がいん、がいん、がいん。


(…………)


 ――がいん、がいん、がいん、がいん、がいん、がいん……。


 ………………。


(……あの……ちなみに、そなた……終末竜や黙示獣をば、討ちたるかや?)


「はい」


(……されば……記憶を失いたることなど、ありや……?)


「? ないですね」


(……“外見編集(キャラエディット)”や“死に戻り(リスポーン)”や“自動肉体保存(オートセーブ)”は、できるかや?)


「できないです」


 そこで、ようやく“魔王”は悟る。



(…………あ……これ、人違いなり……)



 普通に関係ない人だった。


 さっきから、話があまり噛み合わない気がしたが、それも当然だ。

 なにせ、このローナという少女は――終末竜や邪神を倒し、封印を解いたら世界が終わる怪物をペットにし、“魔王”の計画を完璧に把握し、行く先々がいつも滅びかけていて、ゴゴゴゴゴゴッッ!! と凄まじいオーラを放出しているだけの、ただの普通の女の子なのだから……。


 ………………。

 …………。



(……じゃあ、こやつ何者ぞ!?)



 「?」


 なんか、かえって謎が深まった。

 ――が。


(……い、否……待て……思い出(い)づれば……)


 そこで“魔王”は、はっとする。


 そういえば、かつて“魔王”の眷属――溶岩魔人ラーヴァデーモンが、行方をくらます前にこんな報告を上げていた。



 ――『人類の英雄エリミナ・マナフレイムには、黒髪の少女型召喚獣がいる』、と。



 その召喚獣の特徴は――『あまり知性を感じられない普通の小娘』。


(…………)


「ほぇー?」


 完全に一致していた。


 つまり、エリミナ・マナフレイムは、このなんかヤバい少女をも従えられる実力者ということであり……。


 それに、溶岩魔人もエリミナ・マナフレイムについて、『とても強い』『黄金の精神を持っている』『“魔王”様の最大の脅威になること間違いなし』と太鼓判を押していたし……。



(――わ……我が真なる化身(アバター)は、エリミナ・マナフレイムなりっ!)



 間違いなかった。

 そして、人類の英雄エリミナ・マナフレイムならば“魔王”の器として申し分ないだろう。


(……なれば……一度、エリミナをこの目で見定めたし……)


「? エリミナさんを見たいんですか?」


(……しかり)


「そういうことなら、わかりました! エリミナさんは、こっちで見れますよ!」


(……え、案内してくれるのかや?)


「はい!」


 ――というわけで。

 ローナの案内のもと“魔王”がやって来たのは、夢の世界に最近オープンした謎の施設だった。


 周囲には大小さまざまなエリミナが歩いており、あちらこちらにエリミナの顔マークが貼りつけられ、人々はエリミナの顔がついた乗り物などに乗ってはしゃいでおり――。


(……あの、前より気になりたるが……ここは、いかなるところぞ?)


「あ、ここはエリミナランドです! エリミナさんの国なんですよ!」


(……国なるか!?)


 なんか、“魔王”が統べる夢の世界に、いつの間にか国ができていた。

 いや、言われてみれば、たしかに城なんかもあるし――。


(……も、もしや……我に抗うべく、夢の世に拠点を作りたるか……? さすがなり、エリミナ・マナフレイム……)


 夢の世界にいきなりエリミナランドができたときは、ちょっと意味がわからなすぎたが……“魔王”対策と考えると、いろいろ納得がいく。


 と、“魔王”がエリミナへの評価を一段階上げたところで。

 “魔王”はローナなる少女の案内のもと、エリミナランドの中央にある巨大な施設へと入った。


(……めぁ? ここは何処(いずこ)ぞ……?)


「エリミナ劇場です! エリミナさんは、ここで見れますよ!」


(……ふむ、あの光の絵は……幻術にて、戦いの記録をば映したるか……)


「はい、そんな感じです!」


(……直に見定めたきが、まあよし……あの溶岩魔人ほどの者が認めたる英雄……エリミナ・マナフレイムよ……そなたが、我が器に足る者なるか、この眼にて審判してくれようぞ……)


 そして、“魔王”が見ている前で――映像が始まった。




『――エリミナちゃん、大変ぐごーっ☆』(役:溶岩魔人)




(……ちょっと待って)


 なんか、いきなり知り合いが出てきた。


(え、あれ……我が眷属? 我が眷属……溶岩魔人でありけるよね、あれ?)


「? もしかして、溶岩魔人さんのお知り合いですか?」


(……ま、まあ、しかり……して、やつは今、なにをやっておるかや……?)


「溶岩魔人さんなら今、お菓子の国の妖精をやってますね」


(……お菓子の国の妖精を!?)


「お菓子作りが大好きなんですよ」


(……真実(マジ)かや!?)



『――ぐごご☆ お菓子作りが大好きぐごーっ♪』



(……まことだ!?)


「それで今は、お菓子を守るために、エリミナさんと一緒に悪と戦っています」


(……えっ……我、裏切られしや!? お菓子がために!?)


 などと“魔王”が混乱している間にも、映像は止まることなく進んでいき――。



『『『――イーッ! イーッ!』』』(役:黒ローブ集団)



 今度は黒ローブをまとった怪人たちが、街を襲っている映像が流れてきた。


(……ほぅ……あの者らは、邪竜教団の六魔司教なるか……)


「ろくましきょー?」


 やつらは、闇の勢力“黄昏の邪竜教団”における最高戦力だ。


 なんで『イーッ! イーッ!』と叫んでいるのかは、ちょっとわからないが……あのレベルの敵が、それも複数となれば、いくら英雄エリミナとて苦戦はまぬがれないだろう。


(……さあ、エリミナ・マナフレイムよ……そなたが力、見定めさせてもらおうぞ……ッ)


 そして“魔王”が見ている前で、エリミナが取った行動は――。




꙳✧˖°⌖꙳――きゃるる~ん♪ りゅんりゅん♪ エリエリりん♪ きらめけ、ミラクル☆ 爆ぜろ、マジカル☆ 愛と正義のエリート美少女戦士! 魔法少女エリミナ――爆☆誕っ!꙳✧˖°⌖꙳




 ――着替え、だった。

 エリミナが、敵の前でロッドをくるくると回しながら、キラキラの光とともにフリフリの魔法少女コスチュームへと……たっぷり2分ぐらいかけて着替えた。


(……ちょっと待って)


「はい」


 また“魔王”がストップをかけた。


(……え、あの……なにゆえ? なにゆえ、今……着替えをしたるかや?)


「エリミナさんは、魔法少女コスチュームに変身しないと真の力を出せないので」


(……いかなる原理で!?)


「制約と誓約です」


(……そ、そもそも……かような装束、戦に耐えうるとは思え――)




『――闘気☆解放ッ! マジカル☆獄炎右ストレートッ!』


『『『――イィィィ~~ッ!?』』』




 ちゅどーん! と。

 エリミナのパンチによって、空の彼方まで吹き飛ばされて星になる六魔司教。


(…………)


 ……一撃だった。

 “黄昏の邪竜教団”における最高戦力が、ワンパンでまとめて雑に瞬殺されていた。


(…………つっよ……)


 それも、空の彼方までパンチで吹き飛ばしたということは……。

 エリミナのパンチ力は――推定で2000トン以上。


 もしも、エリミナが“魔王”の化身(アバター)だとしたら……その右ストレートだけでも世界を獲れるだろう。

 ただ、“魔王”がエリミナの肉体をゲットすれば、その力の特性も受け継ぐことになるわけで。


(……え、我……毎回、あれに着替えて『きゃるる~ん♪』することになるのかや……?)


 ちょっと復活するのをやめたくなってきた“魔王”であった。


 そんな“魔王”の葛藤をよそに、映像はクライマックスを迎え――。



『――出たわね、銀(・)河(・)征(・)服(・)を(・)た(・)く(・)ら(・)む(・)大(・)魔(・)王(・)ッ! 私たちの銀河は、私たちが守るッ!』



(……ちょっと待って)


「またですか?」


 “魔王”が本日3度目のストップをかけた。


(……え、なんか、我の上位互換みたいなの出ちゃった……銀河……え? 銀河って言いけるかや、今?)


「はい」


(……せ、世界征服、とかではあらずや?)


「? いえ、世界征服とかは、私たちもうやっちゃったんですよね」


(……もうやっちゃいにけるの!?)


「それに、世界征服って、ちょっとありきたりというか……オリジナリティがないかなって」


(……オリジナリティ……)


「今さら敵がそんなこと言ってたら、なんかダサいって思われちゃいますしね」


(…………あ、はい……)


 なんかもう、『世界征服したい』とは言えない空気になってきた。

 一方、ローナは、そんな“魔王”の様子に気づかないまま。


「それで、私、ひらめいたんです」


 と、話を続ける。



「――そうだ、“世界征服”がダメなら……次は“銀河征服”をやろうって!」



(……そなたが『銀河征服をたくらむ大魔王』なるか!?)


「? いえ、大魔王はうちのペットがやってます」


(……大魔王がペット!?)


 もはや、“魔王”の理解のキャパを完全に超えていた。

 しかも、このローナなる少女だけでも、お腹いっぱいだというのに……。


(……ち、ちなみに……エリミナ・マナフレイムとそなたでは……どちらが上かや?)


「え? いえ、私なんてエリミナさんの足元にもおよびませんよ~」


(……真実(マジ)かや!?)


 エリミナ・マナフレイムは、このローナなる少女よりも、さらに高みにいるらしい。


(……い、今の世、怖し……エリミナ、怖し……ガタガタガタ……っ)


「魔王さん!?」


 ――かくして。

 “魔王”の世界征服の野望は、彼女のメンタルとともに打ち砕かれたのだった。



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― 新着の感想 ―
エリミナさんがまた持ち上げられていく。そして、やはり真の魔王はローナ!(笑)
》(……我か? 我は……『この夢の世を統べし王』と言わば……わかるかや?) 》「っ! ま、まさかっ!」 》 ローナが、はっと息をのむ。 》「――千葉県知事っ!?」 ちがいます。 夢の国の運営会社の筆…
やっぱりローナはアバターじゃないよね この世界に本来のアバターに該当する人(プレイヤー)って存在するんだろうか?
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