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【アニメ放送中!】世界最強の魔女、始めました 〜私だけ『攻略サイト』を見れる世界で自由に生きます〜(Web版)  作者: 坂木持丸
第14章 夢の世界に行ってみた

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146話 夢の世界を楽しんでみた



「――えへへ、今日も大盛況だったね!」


 そんなこんなで、ローナたちがエリミナランドを無事に開園させたあとのこと。

 園の運営については、やる気を出したハイスペック“ふぃぎゅあ”たちのおかげで、ローナはほとんどやることがなくなり……。


「あ、そういえば、まだちゃんと夢の国(ちばけん)の観光できてなかったね」


 というわけで。

 ローナはインターネット画面を見ながら、夢の世界をぶらぶらと探索していた。



━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

≡ 千葉県     文A 91個の言語版

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 ページ ノート

 ━━━

 出典:フリー百科事典『ウィキペディア

(Wikipedia)』

 千葉県(ちばけん)は、日本の関東地方に

 位置する県。県庁所在地は千葉市。

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「……?」


 いつにも増して、インターネットに書いてある内容はよくわからなかったが……。


「えっと、とりあえず、夢の国があるのは……千葉県浦安市ってところなんだね。浦安市の名物は、焼きはまぐり、焼きあさり、たまごフライ、ぼったら……? うーん、どこに売ってるんだろ?」


 と、ローナがきょろきょろと周囲を見回しながら、夢の世界をさまようこと、しばし。


「……ん?」


 ふと、地面にきらりと光るものが落ちているのを見つけた。


「あれって……カジノコイン?」


 それも、1枚や2枚ではなく。


「あっ! あそこにも落ちてる! あそこにも!」


 きらり……。

 …………きらり……。

 ……………………きらり……と。


 まるで、夢の世界の奥へと導くように点々と落ちているカジノコイン。

 どこからどう見ても、あからさまに罠であったが……。


「ひ……拾わないとっ!」


 ローナに拾わないという選択肢はなかった。

 そのまま、ローナはほいほいと、夢の世界の奥深くへ足を踏み入れていき……。


 ………………。


 …………。


 それから、どれだけ歩いただろうか。


「えへへ、大漁大漁♪ これでスロット何回打てるかなぁ」


 やがて、ローナは両手いっぱいのカジノコインを抱えながら、ほくほく顔で視線を上げ――。



「…………え?」



 そこで、思わず固まった。

 気づけば、つい先ほどまでと周囲の景色が一変し……。


 いつの間にか、ローナは小さな部屋の中に立っていた。


 ……どこか懐かしい匂いのする部屋だ。

 静かに揺れる白いカーテン。その隙間から優しく差しこむ、暖かな日差し。

 そして、窓際にあるベッドの上にいるのは――ひとりの黒髪の女性。



「――あら? どうしたの、ローナ? そんな顔をして……」



 ぽかんと立ち尽くすローナを見ながら、彼女は不思議そうに首を傾げる。

 そのどこかローナの面影がある顔は……見間違えるはずもない。


「……お母、さん?」


 そう、それは間違いなく――ローナの記憶の中にある母その人であった。


 しかし、母はローナが幼いときに亡くなっているはずだ。

 状況がわからず、ローナはひたすら困惑するが――。


「……そう、きっと怖い夢でも見ていたのね……でも大丈夫……あなたは、もう戦う必要も、危険な目にあう必要もないわ……さあ、こっちへいらっしゃい……わたしの愛しいローナ……」


 母は、ありし日の優しい笑顔のまま手招きしてくる。

 ローナはそれに誘われるように、ふらふらと部屋の奥へと歩いていき……。


 …………ぱたん、と。


 彼女の背後にあった扉が、静かに閉じられたのだった――。




(…………くふふ……我が化身(アバター)……捕らえたり……)




 一方、そんなローナの様子を――“魔王”は彼(・)女(・)の(・)母(・)の(・)中(・)か(・)ら(・)、ほくそ笑みながら観察していた。


 そう、これは“魔王”の仕掛けた恐るべき罠。

 自身が悪夢そのものであり、夢を操作する力を持つ“魔王”にとって、『この夢の世界に入った者を、幸せな夢に閉じこめる』ことなど朝飯前であり……。


 “魔王”の化身(アバター)の人格が幸せな夢に囚われているうちに、その肉体の主導権を奪えば――“魔王”は完全に復活することができる、という寸法だ。


 もっとも、こんなあっさり罠にかかるとは、さすがに思っていなかったが……。


(……わ、我が化身(アバター)、いとチョロし……ま、まあ、されど幸せなる夢に囚われたるならば、こちらのものなり……)


 そう、彼女が囚われているのは幸せな夢なのだ。


『仲間や家族との絆の力が奇跡を起こす』とか、そのようなイレギュラーでもないかぎり……どんな英雄であろうと、この甘く幸せな夢から目覚めたいなどと思うはずもない。


「わーいわーい」


(……くふふ……そのまま永久(とこしえ)に夢に囚われるがよろし……我が代わりにそなたとなりて、現世(うつしよ)を掌握してくれようぞ……くふふ……むはははははは……っ!)


 こうして、ついに“魔王”の恐るべき計画が始動し――。




「――ふぅ……そろそろ帰るかぁ」




(……そろそろ帰るかぁ!?)


 “魔王”の恐るべき計画が、今――終わろうとしていた。


「え、あの……え、帰る? まだ、ここに来て3分ぐらいでしょう? どうして帰らないといけないのか、お母さんちょっとわからない」


「震えてるの、私の手が……早くスロットを打ちたいって」


「そんな理由!?」


 仲間や家族との絆の力とかではなく……『ギャンブルをしたい』という切なる想いが奇跡を起こし、少女を現実に引き戻そうとしていた。


「だ、ダメよ、ローナ! ギャンブルは身を持ち崩すリスクがあるわ!」


「でも、だからこそ、生きてるって実感が得られるんだと思う」


「え、すごい反論してくる……と、ともかく、あなたはずっと、ここにいればいいの。安全で、幸せで、なにも知らない子供のままで――」


「無理だよ、お母さん……私もう、競馬もスロットもない生活になんて戻れない……っ」


「それは戻れよ!?」


 幸せな夢が、今――競馬とスロットに敗北しようとしていた。


 もはや少女を止めることはできず、彼女はさっそく幸せな夢から脱出しようとする。

 ――が。


(……ま、まあ、されど……この夢の世より出(い)づることなど叶わぬなり……)


 と、“魔王”はすぐに余裕を取り戻して、ほくそ笑む。


 そう、すでにこの夢につながる“扉”は、完全に閉ざされたのだ。

 絆の力でいい感じの奇跡が起こったりしないかぎり、その扉が開くことはな――。



「えっと、なになに……『夢の世界にある扉に向かって波乗りすると壁抜けできます』かぁ……それじゃあ、召喚――ルルちゃん×2!」


「「――るっ!」」



 なぜか、ざぶんっと水飛沫を上げながら、ずぶずぶと扉にめりこんでいく少女。


(…………)


 なんか普通に、幸せな夢から脱出されそうだった。


 そして、もしここで少女を逃してしまえば……“魔王”が化身(アバター)の肉体をゲットして現世に降臨するチャンスは、もう二度と訪れないかもしれず。

 そうなれば、“魔王”はこの夢の世界でひとり、永遠にスタンバることになるわけで――。



「――う……うおおおおおおっ、逃がすかああああっ!! うおおおおおおおおっ!!」



「わっ、体の弱いお母さんが野獣のような雄叫びを!?」


 もはやなりふりかまわず、“魔王”は母の体を使って、慌てて少女を部屋の中に引きずり戻した。


「はぁっ、はぁっ……いえ、あの……わたし、あなたの亡き母よ? 普通、亡き母と再会したら、もっとこう……やることがあるでしょう?」


「これ以上苦しまないように、ひと思いに成仏させる……?」


「判断が早い」


 いや、たしかに、「逃がすかああああっ!!」とか言いながら部屋の中に引きずりこんでくる亡き母とか、ホラーでしかないだろうけども。


 とりあえず、母親では夢につなぎ止めるのは無理そうなので――。


(……くっ、なれば、他の家族をば追加せん……っ!)


 “魔王”が冷や汗を流しながら、慌てて夢を操作する。

 そうして、部屋にしゅぽんっと出現(ポップ)したのは、少女の父と兄だった。


「ははは! ローナ、パパだよぉ~♪」

「どけ!! 俺はお兄ちゃんだぞ!!」



「…………え、普通に気持ち悪い……」



 ……ダメだった。

 なんか、反抗期の娘みたいになってしまった。


「と、というか、なんで牢屋に入ってないんだろう……私に復讐するために脱獄したとか……?」


(……家庭事情がドロッドロ!?)


 とりあえず、家族系の夢はダメそうなので……ひとまず母・父・兄には、省スペースのために部屋の隅っこで体育座りをしてもらいつつ。


(……ろ、路線変更なり……っ)


 と、“魔王”はふたたび夢を操作する。


「……ん? あっ、今度はダンスしてる猫だ! あっちは、走るフクロウ!? BBQで大きな肉を焼いてる“あめりか人”もいる!」


 いきなり現れた大量のコンテンツに、ふたたび幸せな夢へと興味を示す少女。


 そう……ここは少女の夢の世界。

 少女の頭の中にあるものや、少女が望むものを、なんでも具現化させることができるのだ。


「わーいわーい」


(……はぁ、はぁ……力をめちゃ使いたるが……こたびこそ、なんとかな――)



「――うん、もういいかな」



(……コンテンツの消費が早し!? な、なれば……さらに新規コンテンツをば追加なり……っ)


「わぁっ、今度は“ぱちすろ”だっ! わーいわーい」


(……はぁ、はぁ……よくわからねど、いと食いつきよし……くふふ……されば、こたびこそ、幸せなる夢に囚われるがよろし……永久(とこしえ)に――――)



「……うん……もういいかな……」



(……うっそぉ……)


 一瞬で有り金を溶かした少女の姿が、そこにあった。


(……くっ、かくなる上は……当たる確率の調整をば……っ)


 と、今度は、少女の前にあった“ぱちすろ”が確定演出を連発し始め――。


「はぁ……」


 少女は目を閉じて、ゆっくりと首を横に振る。




「――そうじゃないんだよなぁ」




(………………)


 なんか、すごく面倒くさい客だった。


(……な、なれば、確率をば絶妙に調整し……はぁ、はぁ……ここはかようにして……)


「“あぷで”が遅いなぁ……これは☆2」


(……ちょっとは待たれよ! ……はぁ、はぁ……よし! これならば、いかに……っ!?)


 と、“魔王”が息を切らしながら少女のほうを見ると。




『――おかえりぃ~♡ 今日の支給品だよぉ♡』(ポン♪)


「えへへ、“そしゃげ”は楽しいなぁ」




(…………)


 すでに別のことをしている少女の姿が、そこにあった。

 “魔王”の必死のテコ入れなど、もはや見てすらいなかった。



(……な……なんなるものぞ、もぉおおおおお……ッ!!)




      ◇



 ――そんなこんなで。

 それからも“魔王”は必死に、少女を幸せな夢につなぎ止めようとしていたが……。


 一方、囚われの少女――もといローナはというと。


(えへへ! 指で机をとんとんしながら『“あぷで”まだ?』って言うと、いろいろ出てきて楽しいね!)


 よくわからないながらも、この状況を楽しみだしていた。


 ちなみに、普段からインターネットを浴びているローナにとって、コンテンツ作りの素人である“魔王”の『幸せな夢』程度では、もはや刺激が弱く。


 さらには今に満足していて、戻りたい過去などもないうえに、そもそも『ここはただの夢の中』と最初から知っていたため、“魔王”の『幸せな夢に閉じこめる計画』は破綻していたのだが……。


 それはそれとして。


「次の“あぷで”は、まだかな? まだかな?」(とん、とん、とん)


 ローナはわくわくしながら、指で机をとんとん叩く。


 しかし、追加コンテンツは、だんだんと今までの焼き直しが増えていき……。

 さらには“あぷで”ペースも、どんどん落ちていき……。

 ついには“あぷで”がぴたりと止まり……。


「あ、あれ、次の“あぷで”が来ない……? それに、なんかクオリティーも落ちてきたし……こ、こうなったら、もっと指で机をとんとんしないとっ!」


 ――とんとんとんとんとん……っ!


 と、ローナは“あぷで”を急かすように指で机を叩き続ける。

 すると、その指とんとんに呼応するかのように……。


 ……ぴし……ぴしぴし……ぴし……っ、と。


 幸せな夢にいくつも亀裂が走り始め、そして――。



 ――――ぱりんッッ!!



 と、周囲の景色が、ガラスのように砕け散ったのだった。



『“魔王”を倒した! EXPを274111獲得!』

『LEVEL UP! Lv110 → Lv116』

『称号:【エターナル・ヒストリア】を獲得しました!』



「…………?」


 なんか突然、よくわからないメッセージが、ローナの視界に表示される。

 それと同時に、幸せな夢の景色が、ぱらぱらぱら……と完全に剥がれ落ち――。


「…………え?」


 気づけば、ローナは悪夢の中みたいな場所に立っていた。


 泡のように宙を漂っている無数の眼球、地面からうねうねと生えている影の腕の群れ……。

 そして、そんな悪夢みたいな世界の中心――。

 禍々しい玉座の上に、ひとりの少女がいた。


 その少女は、夢のように、蝶のように、シャボン玉のように、幻想的で、儚げで……。



(……せぇ、はぁ……こ……こ、こんな……はずでは……っ)



 なぜか、過労死しそうな顔をしながら消滅しかかっていた。

 その少女のものらしき弱々しい声が、ローナの脳内に直接響いてくるが――。


「え……誰? ……え?」


 ……ちょっと意味がわからなかった。

 と、ローナが戸惑っているうちに、謎の少女の体がぐったりと力なく傾きだし……。


(……はぁ、はぁっ……い、意識が薄れゆくなり……はぁ……我が世界が……崩れ……ぐはっ)


「わ、わぁっ、倒れた!? だ、大丈夫ですか!?」


 ローナは慌てて、過労で倒れた謎の少女のもとに駆け寄る。



「――いったい、どうしてこんなことに!?」



(……………………)


 なぜか、謎の少女は、なにか言いたげにローナを見るのだった――。




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― 新着の感想 ―
私もう、競馬もスロットもない生活になんて戻れない ローナちゃん、そっちに行っちゃダメ・・・
つ[F5]
いったい、どうしてこんなことに!?
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