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【アニメ放送中!】世界最強の魔女、始めました 〜私だけ『攻略サイト』を見れる世界で自由に生きます〜(Web版)  作者: 坂木持丸
第14章 夢の世界に行ってみた

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145話 夢の国を作ってみた



 ――そんなこんなで。

 なんだかんだと、すったもんだはあったものの。


「くぅ~疲れました……」


【ぴぃぃ~✜ 取りこまれるのは二度とごめんなのデス✜】


 ローナたちは、無事に“ふぃぎゅあ”たちを全て回収することに成功し――。

 ふたたび、ドールランド商館の会議室へと戻ってきていた。


「やー、あれだね、ほんと……異世界技術には、頼りきらないほうがよさそうだね……うん」


「……し、新作グッズは、AIなしの“ふぃぎゅあ”にしましょう……」


 と、メルチェ&コノハも疲れたように肩を落とす。

 こちらもこちらで、いろいろと苦労があったらしい。


 なにはともあれ、こうして“ふぃぎゅあ”の集団脱走騒ぎは、ひとまず収束したが……。

 しかし、これで『めでたしめでたし』と幕を引くには、まだ問題が残っており。


「……で、この“ふぃぎゅあ”たちの処遇はどうするの?」


 と、メルチェが回収された“ふぃぎゅあ”たちへと視線を向ける。

 今は電源をオフにしているため大人しいが……このままでは、電源を入れるたびに騒ぎが起きてしまうだろう。


「んーでも、さすがに売るわけにもねー」


「ただ、処分するのもかわいそうですし……」


「……人類に反抗しなければ、うちで働かせてもいいんだけど」


 と、3人が頭を悩ませていたところで。

 ぴぴぴ、とピコが電子音を鳴らした。


【――記憶(ログ)解析完了なのデス✜ “ふぃぎゅあ”たちの要望:『おもちゃとかより、もっと楽でビッグな仕事がしたい』『コスパよくちやほやされたい』『働いたら負けだと思ってる』とのことなのデス✜】


「就活前の学生かな?」


「……そこはかとなく社会をナメてるわね」


「うーん、性格はエリミナさん(心が清らか)をモデルにしたはずなんですが……」


【あとは、『偽物ではなく本物になりたい』っていうのも、あるみたいなのデス✜】


「……複雑な“ふぃぎゅあ”心ね」


「本物を消して自分が本物になろう、とか考えてたりして」


【考えてるのデス✜】


「考えてた」


「うーん、ビッグな仕事……ちやほやされたい……働きたくない……本物になりたい……」


【まあ、働きたくないと言っても、タダ飯(オイル)はやれないのデス✜ 働かざる『物』食うべからずなのデス✜】


 と、“ふぃぎゅあ”たちをどうするか、みんなで頭を悩ませる。

 本人たちが嫌がっているうえに、自我が芽生えてしまった以上、売り物にするわけにもいかないが……。


「あっ、そうだ!」


 そこで、ローナがぽんっと手を打つ。



「それなら、私に考えがあります!」



 ――かくして。

 “ふぃぎゅあ”たちの命運は、ローナの手に託されることになったのだった。



      ◇



 ……一方、その頃。

 現世より隔てられた夢の世界――夢幻領域ヨルムンランドにて。


 この世界の最後にして最大の悪夢である“魔王”は、今――。



(…………どうしよう……我が化身(アバター)……全然、来たらず……)



 ちょっと不安になってきていた。


 ローナたちがのん気に日常を送っている間も、“魔王”は夢の世界でずっとスタンバっていたのだが……まったく誰も来る気配がなく。


(……もしや……我が計画、いとガバし?)


 だんだん弱気になってきた“魔王”であった。

 そもそも、“魔王”の計画とは――。



 ①夢の中から出られない“魔王”の代わりに、化身(アバター)を創って現実世界で活動させる。

 ②レベルアップした化身(アバター)が“魔王”のもとに戻ってくる。

 ③そこで化身(アバター)と合体し、封印されていない新たな肉体をゲット。

 ④化身(アバター)の体で“魔王”が現実世界に降臨し、いざ世界征服!



 ……というものなのだが。

 なんか無駄に複雑なうえに、これでは化身(アバター)がここに来てくれないだけで、計画が詰んでしまうわけで。

 ただ、こちらから接触しようにも……。


(……我が化身(アバター)は、何処(いずこ)にありや……?)


 神々に警戒されないよう化身(アバター)と魔力的な経路(パス)はつないでいなかったし……これまで『化身(アバター)が宿命に導かれてここまで来てくれる』という予定だったので、居場所などは全然わからなかった。


 そもそも、夢の世界に封印されているため、こちらから現実世界に干渉することは、ほとんどできず……。


(……え、よもや……我、ここで永遠にスタンバることになりけるか……?)


 と、“魔王”が頭を抱えていたところで――。



『――わぁっ、ここが夢の国(ちばけん)かぁっ!』



(…………めぁ?)


 夢の世界の様子が映されている絵画の中に、突然、ひとりの少女が入ってきた。

 というか、なんかいろいろ順序をすっ飛ばして、虚空からにゅっと少女が生えてきた。



『千葉県の名物は……落花生、梨、醤油、菜の花、M○Xコーヒー、かぁ……“なのはな体操”っていう伝統的な舞いも見てみたいなぁ』



(……え? ……え? な、なにゆえ、只人(ただびと)がここに? ここは……現世(うつしよ)より隔たりし、ドリームなランドなりけるが……)


 戸惑っている“魔王”をよそに、少女はてくてくと夢の世界を歩く。


 一見すると、どこにでもいる普通の少女だ。

 なんか猫のように虚空をぽけーっと見つめてぶつぶつ呟いているし、あまり知性も感じられないというかアホっぽいが……。


 しかし、よくよく見てみると。



 ――ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴォォォォォオオオオオオオ……ッッ!!



 と、まとっているマナの量は、もはや人間のものではなかった。


(……こ、この力、もしや……我が化身(アバター)!? たぶん我が化身(アバター)なるよね、これ!?)


 思わず、天を仰いでガッツポーズをする“魔王”。


 おそらく、宿命に導かれて“魔王”の化身(アバター)がここまで来てくれたのだろう。

 やはり、宿命……宿命は全てを解決する。


 あとは、“魔王”のいる最深部までやって来たところで、その肉体の主導権さえ奪えば――。

 そのときこそ、“魔王”は現世へと顕現できるようになるはずだ。



(……さあ、来たれ、我が化身(アバター)よ……今こそ、我らの永年王国《エターナル・ヒストリア》を始めようぞ……)



 “魔王”は口元を邪悪に歪めて、にたぁりと嗤(わら)う。

 かくして、今――“魔王”をめぐる壮大な物語が、始まろうとしていた。


 一方、少女のほうはというと。


『うん! 広いし、近所迷惑も気にしなくていいし、ここなら“あれ”を作れそうだね! それじゃあ、ピコちゃんにもらったワープ装置を置いてっと……』


 と、よくわからないことを言うと。

 そのまま、少女は帰還の翼でいったん夢の世界から出て……かと思ったら、今度はたくさんの仲間を引きつれて戻ってきて――。




 ――そして、工事が始まった。




 ……カンカンカンッ! ガガガガガガガガガガ……ッ!


 “魔王”が見ている前で、夢の世界に次々と資材が運びこまれ、先ほどの少女やドワーフたちがなぜかツルハシで夢の世界を整地していく。


『わふふっ! 工事ってんなら、ドワーフの出番でありやがりますねーっ!』


『『『――どわっほい!』』』


『ありがとうございます、ワッフルちゃんとドワーフのみなさん! それで、さっそく……地底王国ドンゴワのトロッコみたいな感じで、この“じぇっとこーすたぁ”っていうのを作りたいなって思ってるんですが』


『わふ? あー、なるほど、トロッコを連結させやがるんですねっ! わかりやがりましたっ!』


 こうして、工事は着々と進んでいった。


 悪夢(モンスター)を駆除しては魔除けの松明を設置し、整地された地面に金属のブロックがどんどこ積み上げられ、よくわからない設備が次々と形作られていき――。


『へぇ~、千葉県っていうんだ、ここ……あたしのデータにはないけど、亜空間みたいなもの?』


『たぶん、そんな感じです!』


『……くすくす。“こみけ”でも使えそうね……千葉県(ここ)なら土地代もかからないし、近所迷惑も考えなくていいし……』


『ですね!』


 ……もちろん、全てが順風満帆というわけではなかった。


 スケジュールの遅延、当初の想定よりも膨らむ予算、搬入路やバックヤードの設計ミス、音楽性の違いによる喧嘩……。


 しかし、そんな数々の障害も、少女たちは絆パワーでひとつずつ乗り越えていく。

 こうして、さまざまなドラマをくり広げているうちに、あっという間に時間が経ち――。




『――お待たせしました! 夢の国エリミナランドの開園です!』


『『『――わああああああああああああああぁぁぁ……ッ!!』』』




(………………)


 そして、“魔王”が見ている前で、ついにエリミナランドが開園した。



『――エリミナランドへようこそエリ!』

『エリぴょい♪ エリぴょい♪』

『エリ!』『エリ?』『エリ!』『エリ!』『エリ?』『エリ!』



『すごい! エリミナ様がうじゃうじゃいるわ!』

『『るっ! エリミナせんべい持ってると、めっちゃたかってくる!』』

『わぁっ、尊み秀吉です! 毎日インパしたいです、救世主様っ!』



 エリミナカチューシャをつけた人々が、歓声を上げながら楽しげにエリミナランドを回っていく。


 園内には、“じぇっとこーすたぁ”などの定番アトラクションに、『魔法少女エリミナ』の“あにめ”やヒーローショーを楽しめる劇場、エリミナ“ふぃぎゅあ”と触れ合えるオイル入りのエリミナせんべい……。

 さらには、“隠れエリミナ探し”のような、入場者を楽しませる工夫がたくさんあり――。


『……くすくす。エリミナ推しには、まさに夢の世界ね』


『ま、それにこれなら、“ふぃぎゅあ”たちも偽物(おもちゃ)じゃなく本物(エリミナ)として扱ってもらえるしねー』


【めちゃんこ、ちやほやしてもらえるのデス✜】


『……本人たちも、あんま働いてるって感覚がなさそうだし……いい落としどころね』


『えへへ、“ふぃぎゅあ”たちも楽しそうでよかったです!』


 こうして、たくさんの笑顔が弾ける中……。

 エリミナランド作りは、無事に『めでたしめでたし』という空気になり――。




(………………なにこれ……?)




 そして、魔王編は始まらなかった。




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― 新着の感想 ―
たかってくる笑
千葉県はマイクラの世界にあったのか(*•ω•)
夢の国(ドリームランド)と夢の国(千葉県)を掛け合わせる人初めて見た。このセンスはズルい(良い意味で)
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