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【アニメ放送中!】世界最強の魔女、始めました 〜私だけ『攻略サイト』を見れる世界で自由に生きます〜(Web版)  作者: 坂木持丸
第14章 夢の世界に行ってみた

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140話 魔王編を終わらせてみた



 …………遠い昔。

 この世界で、旧人類(まぞく)と神々による終末戦争が起きた。


 そのときに現れたのは、3つの大いなる厄災。


 第一の厄災――終末竜ラグナドレク。

 第二の厄災――黙示獣テラリオン。


 そして、それに続く第三の厄災……。

 それは、人類の悪夢の集合体にして、地上にはびこる悪夢(モンスター)どもの王。


 その存在に“名”などなく。その存在は“名”など必要とせず。

 人や神は恐れを込めて、この厄災をこう呼んだ。




 ――――“魔王”、と。




 ………………。

 …………。



(…………我が目覚めの刻(とき)は……近づきたり……)



 ――夢幻領域ヨルムンランド。

 そこは、現実からは隔てられた、無限に広がる夢幻の世界。


 あちこちから泡のようにわき上がるのは無数の眼球、地面からうねうねと生えているのは影の腕の群れ、宙に浮かぶのは誰かの夢を映している絵画たち……。


 そんな全てがぐにゃぐにゃで、どろどろで、曖昧で、不確かな、おぞましい悪夢みたいな世界の中心にある禍々しい玉座に――。



 ――ひとりの少女が、座していた。



 夢のように、蝶のように、シャボン玉のように、幻想的で儚げな少女。


 しかし、少女(それ)は……人間、ではない。

 こ(・)ん(・)な(・)も(・)の(・)が、人間であっていいはずがない。


 どれだけ擬態していようと、少女(それ)は“魔王”と呼ばれる悪夢そのものなのだから。


(……終末の竜も、黙示録の獣も、討たれにけり……全ては、我が描きし物語のまにまに……)


 歌鳥がさえずるように。

 声というよりは、音色のように。

 古の“魔王”は、悪夢の中で、美しく言の葉を口ずさむ。


 どうやら、現在――とある少女が、さまざまな厄災を討ち滅ぼし、世界を救っているらしい。

 まるで、物語の“主人公”のように……。

 おそらく、“主人公”はそのまま“魔王”をも倒そうとでも考えているのだろう。


(……されど、全ては……我が手のひらの上……)


 なぜなら、“主人公”が敵を倒せば倒すほど、力をつければつけるほど……。

 それは――“魔王”の糧となるのだから。


(……くふふ……おかしいとは思わざりしや? なにゆえ、そなたは……たかが人の身にて、竜や神を討ちえたる? なにゆえ、たかが人の身にて、そこまで強うなりける?)


 そう、全てに答えはあるのだ。


 “主人公”の前に立ちふさがる敵が、いつも“適正レベル”だったことも。


 “主人公”が、たびたび誰かに自分の行動を“選択”されていたことも。


 “主人公”が人間の身でありながら“外見編集(キャラエディット)”や“肉体自動保存(オートセーブ)”や“死に戻り(リスポーン)”ができたことも。


(……全ては……そなたが、かように創られし、我が化身(アバター)なればこそ……)


 ――化身(アバター)。


 それは、“魔王”の善なる部分を切り離し、現世に顕現させた“魔王”の半身。

 それは、神々を欺きながら、地上で力をたくわえさせていた“魔王”の新たなる肉体(うつわ)。


 化身(アバター)のレベルも、スキルも、装備も、所持金も、アイテムも、召喚獣も……。

 いずれ、全ては“魔王”のものとなる。


 なぜなら、そ(・)れ(・)は最初から、そのように生まれた存在なのだから――。



(……さあ、来たれ、“主人公”よ……今こそ、我らの永年王国(エターナルヒストリア)を始めようぞ……)



 そして、“魔王”をめぐる壮大な物語が、今――始まったのだった。



      ◇



 一方、その頃。ローナはというと。


「うーん……魔王復活かぁ」


 ラフィエール(偽物?)の配信によって“魔王”復活のお告げを聞いたあと。

 インターネット画面をぽちぽちして“魔王”について検索していた。



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▍メインストーリー/3部/【魔王】

 ▍推奨レベル:150

 ▍開始場所 :【夢幻領域ヨルムンランド】

 ▍開始条件 :2部クリア


▍概要

 ついに明かされた【魔王】の正体……

 それは【主人公(プレイヤー)】自身だっ

 た!


 主人公は【魔王】とひとつになり、世界を

 滅ぼすため現実世界へと降臨する。

 そんな主人公の前に立ちふさがるのは、か

 つての仲間たち……。


 はたして、仲間たちの祈りは主人公に届く

 のか!?

 今、【魔王】をめぐる壮大な物語が、始ま

 る――!!

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━



「……なるほど?」


 いつも以上に、よくわからない情報が多かったが、とりあえず……。



「――うん、『開始場所』に行かなきゃいいみたいなので、魔王さんは放置でいいですね」



 というわけで、“魔王”をめぐる壮大な物語が、今――終わった。

 ………………。


「え、魔王の話これで終わり?」


「はい」


 終わりだった。




 ――――魔王編、完。




「じゃあ、話も終わりましたし、スロット打ってきますね」


「……我が使徒ローナよ。ちょっと待て。ステイ」


「わん」


 ラフィエールからストップがかかった。


「いえ、あの……え? 魔王ですよ? この世界の最後にして最大の厄災が、満を持しての復活ですよ? もっとこう、なにかあるでしょう? 『魔王との壮大なる最終決戦!』『感動のフィナーレ!』『そして、伝説へ……』的なあれやこれやとか……」


「………………」


「神が話してるときに、スロット打ちたすぎて震えるのやめてくれます?」


「あの、ちなみに……魔王さんを倒すといいことあるんですか?」


「ラフィエールポイントがたまって、隠しヒロインのわたくしとデートできるようになります」


「…………」


 渋いなぁ、とローナは思った。


「うーん……私も忙しいので、魔王さんにかまってられないと言いますか」


「いえ、あなたの1日って、ほぼスロットじゃないですか。もはやスロットの合間に人生やってるじゃないですか」


「そ、そんなことありませんよ。週末には競馬にも行ってます」


「…………」


「えへへ、モツ煮をちびちび食べながらレースを観(み)るのが、最近の生きがいでして――」


「……我が使徒ローナよ。あなた、実は中におっさんの魂とか入ってます?」


 と、話は脱線してしまったが。

 それはともかく。


「うーん、でも、魔王さんの話と言いましても……こっちから行かなきゃ、魔王さんは夢の王国(ちばけん)でスタンバってるだけ、みたいなんですよね」


「え、えぇ……そんなことあります?」


「はい。インターネットに書いてあったので間違いありません」


 ――インターネット。

 それは、神々の書架にして、真理の窓。

 ゆえに、インターネットには正しい情報しか書かれていないというのは、もはや常識だった。


「そういうわけで、インターネットにいる神様たちもみんな、魔王さんを放置してカジノに行ってるみたいです」


「それは、さすがにかわいそう」


「まあ、それに……戦うことになっても、“攻略法”はもうインターネットに書いてあるので」


 と、ローナはアイテムボックスから黄金の拳銃を取り出した。


「……? それは?」


「これは、カジノの景品の“回転式金銃デット・オア・アライブ”っていうものでして……この銃の装備スキル【現金弾(げんきんだま)】は、『消費金額の1%の威力の弾を生成する』って効果があります」


「? それは強いのですか?」


「はい。魔王さんのHPは100億ぐらいなので、その100倍の1兆シルあれば一撃で倒せるみたいですね」


「!?!?!?」


「それで、友達のメルチェちゃんの資産だけでも10兆シルぐらいあるので、まあ……」


「い、いや……なんちゅうもんをカジノの景品にしているのですか!? こんなんあったらもう、魔王とか出てきてもシリアスできないじゃないですか!」


「平和でいいじゃないですか」


「それは、そう……ですがっ! なんか、すごく……モヤるっ!」


 まあ、“魔王”が封印されてから1000年も経っているのだ。

 さすがの“魔王”といえど、時代(インフレ)の波には勝てなかったのだろう。


 なにはともあれ。


「はぁ……ひとまず、話は理解しました。そういうことでしたら……魔王は放置しましょう。あえて藪をつつく必要もありませんしね」


「はい!」


 かくして、“魔王”をめぐる壮大な物語は、幕を閉じ――。


 “魔王”を放置したまま、ローナの平和な日常回が始まるのだった。


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― 新着の感想 ―
夢の王国(ちばけん)でスタンバってるだけって、千葉県、魔王の控え室みたいに言うのやめて(^Д^)(千葉県民)
レベル150なんて雑魚だなー
主人公じゃないローナさんが厄災2つ消化してるってことは魔王さん超絶弱体化してる?
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