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修学旅行 迷子

ブックマークがまた一件、増えていました!

ありがとうございます。

 

 ピッという音と共に歩き始め、頭の中に作った地図を頼りに反対側の石に向かう。

 歩いた時に生じる石同士がぶつかる音、観光客(主に高校生)の話し声など、感じられる全ての音を聞き、地図を出来るだけ鮮明に更新していく。


 半分ほど歩いたところでこちらに近づく音が聞こえた。子供だろうか。

 石の軋む音からして体重がとても軽い人だ。

 ぶつかるであろう所で一度立ち止まろうとしたがそうもいかなかった。

 途中で足の回転が速くなったのだ。

 方向とスピードからしてそろそろぶつかるだろう。しかし、ぶつかると思われる場所には少し大きめな石があった気がする。

 先に拾い、転ばないようにしてあげたいがもう間に合わないだろう。

 無理矢理拾おうとして私の手につまずき、一緒に転ぶということはあってはならない。

 とりあえずつまずいた子供を受け止められるように、子供のいる方向を向く。

 そして予定通りつまずいた子供を受け止める。

 思っていたよりも衝撃は強かったが、なんとか後ろに倒れずに済んだ。

「大丈夫?」

「……うぅ」

 つまずいてしまったことに驚いたのか、今にも泣きそうだ。

「お母さんとかお父さんはどこにいる?」

「…………」

 指を指す気配もないのでどうしようも出来ない。

 子供と目を合わせるために目隠しを外そうとしたところでゲーム中だったことを思い出す。

 陽夜が考案したゲームなので途中で失格になるなどはしたくない。

「自分で歩いておうちの方のところまで行ける?」

「……わかんない……」

「そっか。じゃあ抱っこしても良い?」

「うん」

 とても小声だったが本人の了承が得られたので大丈夫だろう。

 そっと身体を持ち上げる。

「怖くない?大丈夫?」

「うん」

「良かった。お姉ちゃんね、あそこの石のところまで行きたいの。急いで行くからその後おうちの方のところに行くのでも良い?」

「うん」

 言ってしまったからには急いで石に向かい手を触れる。

 ゲームが終わったところで目隠しを外し子供を見る。

 声からして三歳くらいの子だと思っていたが当たっていたようだ。

 目が大きくて可愛い女の子だった。

「おうちの方はここから見える?」

 そう尋ねると小さく横に首を振った。

「じゃあおうちの方はどんな服着てる?」

「分かんない」

「そっか、じゃあ一緒に探そうか」

 そう言い周りを見渡す。

 子供を探していそうな人を探すが、それっぽい人は見つからない。

「お名前は言える?」

「こじんじょーほーだから言っちゃだめってママが……うぅ、まま〜……」

「しっかりしてるお母さんだね。じゃあ、今日はお母さんと来たの?」

「うん」

 今にも泣き出しそうだが、誰と来たのかは聞き出せた。これで少しは探しやすくなると良いが。

「もう少し向こうに行ってみても良いかな?」

「う、ん」

 とりあえず人混みから出てきた方へ行ってみる。個人情報だから名前を教えてはいけない、と子供に教えるくらいなのできちんと子供の面倒を見るお母さんなのだろう。

「茜、どこにいるのー。茜」

 遠くで子供を探す声が聞こえてきた。

 茜ちゃん。それがこの子の名前だろうか。

「私は葵っていうの。茜ちゃんで合ってる?」

「うん。こじんじょーほーだよ」

 多分「茜〜」と声を出し、人を探している女性が茜ちゃんのお母さんだろう。

 お母さんの声が聞こえてきたね、そう声をかけようとして口を閉じる。

 ()()()()ならばまだ聞こえない距離だ。

 水谷さんに鍛えられたのがまたしても役に立った。

「もう少し向こうに行ってみようか」

 そう声をかけ、お母さんらしき人物の方に向かっていく。



 しばらく歩くとお母さんらしき人が見えた。

「すみません。茜ちゃんのお母様でしょうか」

 それらしき人物に声をかける。後ろから声をかけることになってしまったのは申し訳なく感じるが、そもそも人違いだったらと考えると回り込んで話しかけるということは出来なかった。

「あっ、茜!どこに行ってたの?」

「まま〜」

 抱っこしていた茜ちゃんをゆっくり下ろす。この女性が茜ちゃんのお母さんで合っていたようだ。

 お母さんの顔を見て安心したからか、茜ちゃんは泣き出してしまった。

 こんなにも小さい子がお母さんとはぐれて、今まで泣いていなかったのは相当我慢していたのだろう。

 親子の再会に水を差すわけにはいかない、と思いここで場を離れる。

「合っていたようで良かったです。ここで失礼します」

「ありがとう、茜を連れてきてくれて」

「大したことではないので……失礼します」

 そう言い急いで陽夜達の元へ戻る。


 ゲーム中に目隠しをしていた時は陽夜の護衛として、頭の中の八割くらいは陽夜に注意を向けていたが、茜ちゃんを連れていた時は四割程しか気にかけていなかった。

 水谷さんにバレたらまた訓練の日々やお説教が始まってしまう。

 そのようなことにならない為にも急いで陽夜の安否を確認する。

 陽夜の姿が目視出来るようになり、ようやく足を緩めることができた。



最後まで読んでいただきありがとうございます。

次回で『地主神社』の回は終わらせる予定です。


忙しい合間に書いたので誤字脱字が多かったらすみません。(今までの分もそのうち直したいとは思っています)


まだ忙しい日が続くので次回の投稿はすぐには難しいと思います。

また次回も読んでいただけると幸いです。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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