修学旅行 神社の一本道
またブックマークが増えていました!
ありがとうございます。
とても嬉しいです。
ポイントが三十ポイントに達しました。
ありがとうございます。
「ここかな?」
「多分、そうだと思う。パンフレットによるとここって示されているからね」
事前にネットで調べたので自信はあるが、聞かれると不安になってきてしまった。
「陽夜、ここだよね?」
「うん、ちゃんと書いてあるしね!」
そう言った陽夜の目線の先を辿ると確かに『地主神社』と書かれた看板があった。
「地主神社だっけ?そこそこ混んでいるみたいだから人気があるんだね」
「清水寺の方が混んでたけど、ここも混んでるね。お昼時だからもっと少ないと思ったんだけど……」
「ここね、地主神社って言うらしいよ。私も初めは地主神社って読んでて後から気がついたんだけど」
「そうなんだ。地主神社なんだね……四宮と四宮さんは知っていた感じ?」
「聞いたことがあったから」
「私も聞いたことがあって知っていたかな」
「そっか、皆んな知ってたのか」
何を期待したのかは分からないが手を口に当て考え始めてしまった。
「いつまでもここにいても仕方ないから中に入らない?」
「そうだね」
「そうした方が良いかもね」
未だに考え混んでいた井上くんを、四宮くんが現実の世界に連れ戻し神社の敷地に入った。
「陽夜はどうしてここに来たかったの?」
実際に尋ねてから聞くほどでもなかったかもしれないということに気がついた。
そもそも、女子高生が縁結びの神社に行くのに理由があるだろうか。片思い中の人に縁結びの神社に行かない理由があるだろうか……それはどちらも無い、という答えが正しいだろう。
きっと陽夜にもそこまで理由は無いのではないかという考えに落ち着いてから陽夜の返答を聞いた。
「自分のこともあるけど……」
「あるけど?」
「どこかの好きという自分の気持ちに気がついていない、美人な誰かさんが少しでも自分の気持ちに気がつけたらなって」
『誰かさん』のことは探ってはいけないことは分かっているが、学年トップレベルの可愛さを持つ陽夜に『美人』と言われるまでの人を知りたい気持ちもある。
好きな人もいない、美人ではない私のことではないと確信を持って陽夜の言葉の続きを聞く。
「あと、『恋占いの石』が有名なんだって!目を瞑って十メートル程離れた反対の石までたどり着けたらゴールで一度で辿り着ければ恋の成熟も早いんだって!だからやってみたいな、と思って」
話を聞く限り、陽夜の好きそうなものだ。陽夜だけでなく、女子高生はこのようなところに来たがるのだろう。
目視できる範囲で周りを見渡すと、よく見たことのある制服が多く見受けられた。
そう、うちの高校だ。
わざわざ昼時にし、誰にも何処へ行くのか伝えていないにもかかわらずこちらをチラチラと見る高校生ばかりがいた。まだ隠し撮りをしている人はいないようなので、四宮くんも井上くんも何も言わず、関係ないことのように放っておいている。陽夜も気にしていないようなので、私も気にせず陽夜との会話に戻ることにする。
「一度で辿りつけなかったらどうなるの?」
「二度、三度やって辿り着くと恋の成熟が遅れるって言われているんだって。誰かの助言で辿り着くと人の助けを借りて恋が成熟するらしいよ」
陽夜は手元にこのことについて書いてあるであろう本を持っているのにもかかわらず、一切開くことなく言ってみせた。相変わらず凄い記憶力だなと尊敬する。
「葵、せっかくだからどっちが早く着けるかタイムを計って勝負しない?」
「良いよ、せっかくだからね」
陽夜が望むならば私はそれに従うだけだ。例えそれがどんな無茶苦茶なことであろうが。今回は……いや、そうそう無茶苦茶なことは言われないが。
「じゃあどっちから計る?」
「先やるよ!言い出しっぺだし」
順番を決め、携帯のストップウォッチの機能を開いたところで井上くんに話しかけられた。
「二人とも何を話しているの?」
「井上くんは『恋占いの石』がここにあるのは知っているかな?」
「パンフレットに載ってたから目をつぶって歩くということは知ってる」
「なら説明が楽かな。葵とどっちが早く反対側に着けるか勝負をしよう、ってなったの。井上くんもやる?」
「二人が良いなら」
即答だった。そんなにも勝負をしたかったのだろうか。
相手に確認を取りながら話すあたりが陽夜らしいなと思いつつ、三人分のタイムを記録するために携帯のメモ機能も開く。
「四宮、お前も参加するか?」
「何のことか詳しくは分からないけど皆んながするならしようかな」
「じゃあ村雨さん、四宮さん。四宮も良いかな?」
「大丈夫だよー」
「大丈夫、結局皆んなですることになったね」
「どうせ勝負なら罰ゲームでも決めるか?」
井上くんの何気ない一言で罰ゲームを行うことに決まった。
最下位の人が他の三人に何か奢るというもの。
遊びの一環のようなものなので、奢るのは自動販売機の飲み物一つ程度だ。
何か暴露するという案もあったが、それで気まずくなるよりかはということで奢ることに決まった。
ルールは簡単で目をつぶって反対の石に行くだけ。途中で何があっても目を開けてはならず、開けた時点で失格だ。
「目隠しは……無いから目をつぶるだけだね」
「タイムは四宮さん、お願い出来る?」
「大丈夫だよ」
反則をするような人たちではないことが分かっているので、ルール違反の心配は全くと言っても良いほど無い。
「あの……」
どこかで聞いたことのある声が聞こえ、振り返ると同じクラスの子がいた。
「何かあった?」
最近少し違和感の感じるようになった四宮くんの爽やかな王子スマイルに、話しかけてきた女の子は顔を真っ赤にしていた。
「目隠し、使ってください」
そう言い出されたのは言葉通り『目隠し』だった。
「では、失礼します」
四宮くんの手に目隠しが渡ると女の子は小走りで居なくなってしまった。
どうして持っているのかまでは聞いてはいけないのだろう。
私の勝手な予想は、四宮くんに如何なる時もすぐに物を差出せるように色々と鞄に入れていたのだろう。
だからこそファンクラブの子達の鞄は、いつも大きいものが使われているのだろう。大きめの鞄を使ってもパンパンになるほどの量を常に持っていて本当に凄いと思う。
憧れは偉大だなとつくづく思う。
「じゃあ順番は私、葵、四宮くん、井上くんで良い?」
「大丈夫だよ」
「陽夜が決めたなら」
「了解」
四宮くんが陽夜に目隠しを渡し、陽夜が目隠しを着ける。
「凄い、真っ暗」
何を付けても可愛い陽夜は目隠しをしても可愛い。
「陽夜、手は捕まる?」
恋占いの石まではあと数歩だが、念のために聞いておく。
「じゃあ、お願いしようかな」
その声を聞いてから陽夜の隣に並び、手を出す。
気配で分かったのか探ることなく出した手のひらの上に手を重ねた。
出来るだけ普段の陽夜の歩幅を考えてゆっくり歩く。
石の目の前に辿り着き、声をかけてから手を離す。
「着いたよ」
「ありがとう、葵」
「大丈夫だよ……じゃあタイム計るね」
「うん」
ピッ、という音と共に歩き始めた。迷うことなく真っ直ぐ歩いていくところを見ると、距離から何歩でたどり着けるかな予想していたのかもしれない。
ふと周りに目を向けると陽夜が歩いているところに一歩の道が出来ていた。
あんなにも多くいた高校生や観光客も一切陽夜に近づくことはなかった。
もしかして……と思い、よく人垣を見るとよく知った顔ばかりだった
陽夜の護衛の方々だ。
陽夜に一般の人がぶつからないようにと、観光客に模して護衛をしているようだ。仕事としては完璧だろうが少し異様な光景だ。
護衛の方々のおかげもあり難なく反対側につくことが出来たようだ。
ここでストップウォッチを止め、メモをしておく。
「葵、一回で着けたよ!」
「おめでとうご……おめでとう。私も負けないようにしないと」
そう言い陽夜から目隠しを受け取る。
危なかった。危うく「おめでとうございます、お嬢様」と言いそうになってしまった。
陽夜に「おめでとう」と言う時はメイドとしての立場の方が多いので言い間違えてしまった。
やはり少しでも気を抜くと癖が出てしまう。
陽夜から受け取った目隠ししを着ける。
そして頭の中に反対側の石までの地図を思い浮かべる。出来るだけ他の障害物や人などの位置も正確に捉える。
頭の中の地図を元にどのくらいの歩幅で何歩くらいで行けるか見当をつける。
あらかた準備が終わったところで陽夜に声をかけられた。
「葵、準備は良い?」
「うん」
陽夜の押したピッ、という音を聞き歩き始める。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
今回は地主神社でのことでした。
次回は地主神社での勝負のことになるかと思われます。
これから二週間程度はとても忙しくなってしまい、更新するのが厳しいと思います。
出来れば更新したいと思いますが、次回の更新は二週間後くらいになると思います。
もしかしたら一、二回は更新出来るかもしれません。
先日までも忙しく更新出来ていなかったのでまた間が空いてしまいますが、次回も読んでいただけると嬉しいです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。




