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修学旅行 一日目 昼食

 

「少し早いけどお昼にしようか」

 四宮くんの声でハッとし、時計を見るともう既に十一時を過ぎていた。

 あの後、ゆっくりと近くも見て回っていたので予定より少し遅れてしまった。

 予定はかなり時間に余裕を持たせて立てたので、まだまだ時間はある。

「そうだね!」

「お昼は湯豆腐が食べられるところだったよね」

「ついでに天ぷらも食べれるとこだったと思う」

 携帯で行き方を調べつつ向かう。

 わざわざ近い所を選んだからか、すぐに着くことができた。あまりにも清水寺から近すぎると観光客が多く入れない可能性があるので、道を一つ、二つそれた所だ。

「ここかな?」

 携帯に写っている写真と同じ店構えの場所を見つけ呟いた。

「うん、店名もあってるからここだと思うよ」

「老舗って感じがするけど、とても綺麗な所だね」

「確かにな」

 陽夜の言うように歴史は感じるがとても綺麗にされていて、入り口には竹などの植物も置かれている。

 窓から覗くとそこそこお客さんも入っているようで味がおかしいなどはなさそうだ。

 来店時の挨拶を聞き、店内に入ると外見に合う家具が置かれ、畳もあるようだった。

 案内され畳の上に座る。席順は私の右隣に陽夜、正面に四宮くん。そして四宮くんの隣に井上くんが座っている。

「何頼む?」

 そう言い渡してきたメニュー表を受け取る。各テーブルに二つずつあるので陽夜と見て、ということだろう。

「陽夜は何が良い?」

「湯豆腐と天ぷらが付いてるのかな」

 私も陽夜と同じく、湯豆腐と天ぷらが食べられるメニューがよかつので探していく。

「天丼セットか天ぷら定食かな。迷う……」

「私は天ぷら定食が良いかな」

「良いと思う!美味しそうだね」

「うん、陽夜は?」

「じゃあ……天丼セットかな」

「陽夜のも美味しそうだね」

「うん、楽しみ」

 私が天ぷら定食にしたせいで、陽夜が天丼セットになってしまったみたいで、少し申し訳ない。

 えらぶ時に少しそのことが頭をよぎったが、抹茶塩という誘惑には勝てなかった。

「二人とも決まったかな。頼んでしまっても大丈夫?」

「大丈夫です」

「ありがとう」

 そう言うと四宮くんは店員さんを呼び、注文をした。

 私は店員さんを呼ぶということにどうしても慣れられない。きっと普段は呼ばれる側だからなのだろう。



 しばらくすると順番に料理を並べてくれた。とても良い匂いがし、美味しそうだ。

 全員分がそろい手を合わせる。

「「「「いただきます」」」」

 そう言い割り箸を割る。机の下で割る方がマナーとしては良いとどこかで聞いたことがあるのでそうする。

 ちなみに陽夜は机の上で割るが、音もなく割る。いつも陽夜と私の箸が同じものなのか疑問に思う。

 そのことは置いておき、天ぷらを抹茶塩につけて食べる。

「美味しい……」

 初めて食べたが、また食べたくなるような美味しさだ。良い油を使っているのか、揚げ物がそこまで得意ではない私でも美味しく食べられる。

 次に湯豆腐を食べる。口当たりがなめらかでとても美味しい。昆布だろうか。出汁の香りも感じられ、とても美味しい。

 先程から美味しいという感想が出てこないが、それ以上のふさわしい言葉が見つからない。

「陽夜、抹茶塩で食べてみる?迷ってたよね?」

「良いの?」

「もちろん。好きなのを取って食べて良いよ」

「ありがとう。私の天丼も是非食べてみて!タレがすごく美味しいから」

「じゃあ遠慮なくいただきます」

 本来ならば主人と同じ食卓につくことすら恐れ多いだろう。例えそれがプライベート(学友として)だとしても。

 しかし陽夜は御屋敷内だと別だが、このような場だと一緒に食べないととても寂しそうな顔をする。それは陽夜が持ちかけてきたシェアを断ってもだ。

 今回は陽夜が食べたそうにしていたのでこちらから持ちかけたが、陽夜が主人でなければこれも失礼に当たるのかもしれない。

「葵、天丼も美味しいでしょう」

「とても美味しいね」

「抹茶塩も美味しかったよ!ごちそう様です」

「こちらこそありがとう」

 陽夜から戻ってきた天ぷらと抹茶塩をみるとほとんど減っていなかった。

 天ぷらは私が好きなものは残っていて、あまりメインに考えられないものが減っている。

 気を遣わないで美味しいものを食べて欲しいが、それも陽夜の優しさなのでありがたく受け取っておこう。

「次は村雨さんの希望の地主神社だったよね?」

「うん、縁結びの神様として有名なところみたいだよ」

「そうなんだね」

「縁結びか……」

 楽しそうに話す陽夜に相槌を打ちつつ、二人の顔を見ると、井上くんは何か考えこみ、四宮くんはこちらに気付きにこりと笑ってくれた。

 あの四宮くんの笑みには何が隠されているのかと思いつつ笑顔を返す。

 縁結び……そういえば劇の時に四宮くんに告白をされた。適当にかわしていたがそれも長く続かないだろう。

 どうしてこんな良い人が私に告白をしてくれたのだろうか。もっと隣に並ぶに相応しい人はいるのに。

「葵、どうしたの?」

「えっ?」

「顔、赤いよ」

「食べてたら暑くなってきたのかも」

「なら良いけど……体調不良なら言ってね」

「ありがとう」

 危なかった。四宮くんのことを考えていたら顔が赤くなってしまったようだ。

 とりあえずまだ残っていたご飯を食べる。少し冷めてしまったが、それでも美味しいのは作った人がとても上手だったのだろう。



「葵、そろそろ出よう。混んできたから」

「そうだね」

 会計は各自でし、店の外に出る。

 会計をしてくれた人に「ごちそう様でした。とても美味しかったです」と伝えると飴をくれた。

 四つあるということは皆んなで分けて、ということなのだろう。

 いちご味の飴を皆んなに渡し、地主神社に向かう。清水寺の裏にあるらしいのですぐに着くことだろう。



最後まで読んでいただきありがとうございます。

今回は四人が昼食を食べるだけ、というあまり進展のない回でした。

次回は縁結びで有名な地主神社での回です。

また次回も読んでいただけると幸いです。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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