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水族館編 クラゲ

ブックマーク、ありがとうございます。

また二件増えていました。

とても嬉しいです。ありがとうございます。


今回で四十話目みたいです!


 

「葵、そろそろ行こう」

 そう言われて顔をあげると、心配そうに陽夜が顔を覗き込んでいた。

「ご、ごめんなさい」

 上着を貸してもらってからしばらく経っていると思うが、未だに気持ちを落ち着かせられずにいた。

「クラゲのところがロマンチックで綺麗なんだって、行ってみない?」

 携帯を片手に持っているところを見ると、色々と調べてくれていたようだ。

「行ってみようか......二人はそれで大丈夫?」

「俺は平気」

「大丈夫だよ。楽しみだね」

 二人の了承を得たところでクラゲのコーナーに向かう。日の位置が先程よりも下がっていて、時間が経ってしまったのが分かる。

 せっかくみんなで出かけているのに、こんなところで時間を取らせてしまったのが申し訳ない。

 しかし時間が経ったことで、服が乾いてきたのは良かった点だ。



 陽夜と話ながらクラゲの水槽へ向かう。

 途中、陽夜道を間違えそうだったので、何回か「反対じゃない?」と声をかけた。

 陽夜は昔から方向音痴で、任せるとよく色々なところへ行っていた。そのたびに私が見つけていた。

 昔は私も、陽夜以上の方向音痴だった。そしていつもどこにいるか陽夜が探してくれた。今思うと、主人に探されるメイドもどうかと思うがあの頃はそうだった。

 しかし、いつから教える側になったのか、もう思い出せない。

 まあ、陽夜は方向音痴でも良いと思う。お嬢様を案内するのはメイドの仕事だから。

 私が分かれば良い。


 私がパンフレットを持たずに正しい道順を教えても、もう何も言わなくなった。「教えてくれてありがとう」と言うだけ。それだけ一緒にいる時間 が増えたのだろう。

 しかし、初めのころの「凄いね、道、覚えているんだ」と言い笑って くれたのが懐かしい。

 その頃は今ほど仲が良い訳ではなく、主人とメイドということを徹底していた。なので「ありがとうございます、お嬢様。しかし、仕事ですので」といつも返し、陽夜に返事を困らせていた。



「葵、ここみたいだね」

 そう言われ、辺りを見渡すと幻想的でとても綺麗なフロアが広がっていた。

「綺麗......」

「そごいな、ここ」

「綺麗、だね」

 思わず声を漏らすと、みんなそう思ったのか頷き、同じように声を漏らしていた。

「それぞれで見ようか」

 そう誰かが言うと自然とバラバラになり、見始めた。私も例外ではなく、クラゲの魅力の虜になっていた。陽夜の護衛も意識するが、目の前のクラゲから目を離せなかった。



「葵さん」

「はい!」

 四宮くんに急に話しかけられたが、もしかしてまたいつの間にか時間が経ってしまっていたのだろうか。

「クラゲ、好きなの?」

「クラゲは特別に好きというわけではないんだけど......私、空が好きなの。だからこの星空をテーマとしたクラゲのフロアはとても好みかな」

「星空が好きなんだね」

「夕焼けとか快晴の時の透き通っている感じも好きだから、空全般が好きなんだ」

「そうなんだ。知らなかったな」

「言ったことなかったから」

 私が空が好きなのを知っているのは陽夜と水谷さんくらいだろう。

 陽夜には言ったことがあるが、水谷さんには言ったことがない。

 言ったことのないことまで知っているのが水谷さんなので、きっと好きなことも知っているだろう。

「……綺麗」

「綺麗だよね、四宮くんもクラゲが好きなの?」

「クラゲも綺麗だと思うけど……今のは葵さんが綺麗だったからかな。好きなことを話している姿はとても綺麗だね」

 いつもでさえ四宮くんと向かい合って話すのは緊張するのに、雰囲気に当てられたからか余計に緊張する。

「ありがとう。せ、せっかく四人で来たから、四人で話そう」

「あの二人を見て」

 そう言われて陽夜と井上くんの姿を確認すると、とても親しそうに話していた。

「邪魔したら悪いよ」

 陽夜が蒼井さんのことを好きなのを知っているので、四宮くんの話を聞き、少し複雑な気持ちになった。陽夜は私と四宮くんが二人で話していたから、空気を読んだのではないかと思う。

 私的には、四宮くんと付き合っているわけではないので、空気を読まず話に入ってきて欲しかった。

 陽夜は付き合うことの難しい使用人に恋をするよりも、まだ可能性のあるクラスメイトに恋をして欲しいものだ。

 気持ちがコントロール出来ないのが恋だと思うが。

「もう少し二人で話でもしようか」

「そうだね、あの二人の話が終わるまで」




 〈村雨 陽夜目線〉


 その頃の陽夜と井上くんはというと、葵達と似たような内容を話していた。

「村雨さん、少し二人で話せる?」

「良いけど……二人は呼ばなくて大丈夫?」

 気を遣いそう言うと、井上くんは首を振った。

「邪魔したら悪いよ。良い感じみたいだし」

 井上くんの視線の先を辿ると葵と四宮くんへ向けられていた。

 四宮くんが話し、葵が笑っている。相変わらず葵は綺麗な顔をしていて、笑い方も上品だった。

 私も同じような教育を受けたはずだが……と思いつつ井上くんの方に向き直る。

「お似合い、だよね」

「それぞれ美男、美女と呼ばれるくらいだからね」

「葵は自覚してないけど」

 葵のことを思い出して少し笑ってしまった。

 自分が美人なことに気がついていないのか、どんなに綺麗だよと伝えてもお世辞としか捉えられない。

「四宮はしてるかな、多分。でも、結構頑張ってるな、四宮は」

「葵に気持ちを伝えることをだよね」

「知ってたか」

「分かりやすいからね……葵は、少し鈍感だから押すくらいがちょうど良いと思うけど」

「村雨さんは……四宮がタイプ?」

「親友の好きな人を好きになったりはしないよ。本人は気持ちに気がついていないみたいだけど」

「そうなんだ、まあ四宮も―――――」



 とこんな感じで二組が話していたため、話が終わらず、気がつくと帰る時間が迫っていた。



最後まで読んでいただきありがとうございます。

次回で水族館編も終わりとなります。

今までで一番と言っても過言ではないほど、急展開になると思われます!

また次回も読んでいただけると嬉しいです。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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