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『KillerWorld ―七つ目の答え―』  作者: ザクロ
メリカ編

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18/57

KillerWorld メリカ編 後編「偽物でもいい」

マリは、少しずつ壊れ始めていた。

熱さが分からない。

味が薄れる。

呼びかけにも気づかない。

暗闇ではものが見えにくくなる。

そしてついには、肌そのものが欠け始める。

マリの異変に誰より早く気づいたメリカは、彼女を守ろうとする。

外へ出なくていい。

危ないことはしなくていい。

自分でやらなくていい。

私が全部やるから。

最初はただの心配だった。

けれど、マリができることまで止めるようになり、メリカの「守りたい」は少しずつ別の形へ変わっていく。

一方。

マリの身体を使った研究は、静かに終わりへ向かっていた。

「研究は終了した」

その言葉とともに、マリは生きるための処置も、メリカに会うための時間も失っていく。

そして。

壊れていく自分を前に、マリは一人の男へ願う。

メリカの中では、かわいいマリのままでいたい。

やがてメリカが辿り着いた先にあったのは、動かなくなったマリだった。

そこで告げられる。

「この子は偽物だよ?」


メリカは叫ぶ。

「そんなの前から知ってる!」

「偽物でもいいの!!」


本物でなくてもいい。

話せなくても。

歩けなくても。

自分を忘れても。

ただ。

ここにいてくれれば、それでいい。

メリカが守りたかったものは、いつから「マリ」ではなくなったのか。

愛と喪失が、完全な檻へ変わる。

メリカ編、完結。

# KillerWorld メリカ編

## 後編 「ここにいて」


### 第一章 欠ける


カチャン。


カップが床に落ちた。


割れなかった。


厚い金属製だったからだ。


けれど、中に入っていたコーヒーは床一面に広がった。


「……あ」


マリは自分の手を見た。


メリカも見ていた。


「熱くなかった?」


「え?」


「カップ」


「……分かんなかった」


その瞬間。


メリカの心臓が、


どくん。


大きく鳴った。


「貸して」


マリの手を取る。


指先。


赤くなっていた。


火傷。


なのに。


マリは眉一つ動かしていない。


「痛くないの?」


「ちょっと……変な感じ」


「変な感じって何?」


「なんか」


マリは困ったように笑った。


「触ってるのは分かるんだけど、遠いっていうか」


メリカは返事をしなかった。


指を一本ずつ握る。


「これ」


「分かる」


「これは?」


「……多分」


「多分じゃなくて」


声が強くなった。


マリが目を伏せる。


「ごめん」


「……違う」


謝ってほしかったわけじゃない。


なのに。


胸の中がざらついた。


「私がごめん」


メリカは床へしゃがむ。


布でコーヒーを拭き取る。


マリも屈もうとした。


「いい」


「手伝うよ」


「いいって」


「でも」


「触らないで」


ぴたり。


マリの身体が止まった。


メリカも止まった。


一瞬。


静かになる。


「……マリ?」


マリは自分の腕を見る。


「今」


「何?」


「身体が……」


メリカの喉が乾いた。


「どうしたの?」


マリは少し考えて。


「分かんない」


と笑った。


その笑顔が。


前より少しだけ薄く見えた。


---


数日後。


今度は味だった。


「これ、薄くない?」


マリがスープを飲みながら言った。


エレンが首を傾げる。


「濃いけど」


「え?」


「むしろ今日ちょっと塩強い」


マリはもう一口飲む。


「……そう?」


メリカのスプーンが止まる。


カチ。


器に当たって、小さな音がした。


「マリ」


「なに?」


「甘いの分かる?」


「急に何?」


「いいから」


砂糖を少し舐めさせる。


マリが眉を寄せた。


「甘い」


「どれくらい?」


「どれくらいって」


「ちゃんと甘い?」


「……メリカ」


「答えて」


マリの笑顔が消えた。


「少しだけ」


どくん。


また。


胸の奥で音。


メリカは笑った。


「そっか」


笑うしかなかった。


---


次は耳。


廊下の向こうからノアが呼んだ。


「マリさん!」


マリは歩き続けた。


「マリさん!」


反応しない。


メリカが肩へ触れる。


「マリ」


びくっ。


「何?」


「ノアが呼んでる」


マリが振り返る。


「……聞こえなかった」


その言葉の直後。


メリカの視界の端で。


マリの頬から、


ぱら。


白いものが落ちた。


「……待って」


「え?」


メリカはマリの顎へ触れる。


頬の端。


小さく。


皮膚が欠けていた。


血は出ていない。


その下にあるものが。


人間の肌とは少し違う。


滑らかで。


白くて。


冷たい。


「……何これ」


メリカの声が震えた。


「メリカ?」


マリは気づいていなかった。


そのことが。


一番怖かった。


---


### 第二章 やらなくていい


「今日は私が行く」


「また?」


「またじゃない」


メリカはマリの上着を取った。


「外暗いし」


「見えるよ」


「前より見えにくいでしょ」


「でも歩ける」


「転んだら?」


「転ばないよ」


「この間転びかけた」


「一回だけじゃん」


「一回あったなら二回目もある」


マリの眉が少し動く。


「メリカ」


「なに」


「私、自分でできるよ」


胸の奥が。


きゅっ。


縮んだ。


「できるとかじゃないの」


「じゃあ何?」


「やらなくていいの」


マリが黙る。


「私がやるから」


「全部?」


「うん」


「私のこと全部?」


メリカは答えられなかった。


マリは少し笑った。


「それ、変だよ」


その言葉が。


針みたいに刺さった。


「何が?」


「メリカが心配してくれるのは嬉しいよ」


「じゃあ」


「でも」


マリは自分の胸へ手を当てた。


「私、まだいるよ」


メリカの心臓が止まりそうになる。


「……何それ」


「私ができることまで、取らないで」


「取ってない」


「取ってるよ」


「取ってない!」


声が大きくなる。


エレンが遠くからこちらを見る。


ノアも。


マリは目を伏せた。


メリカは自分の声に驚いた。


「……ごめん」


言った。


でも。


胸の奥では。


別の声がしていた。


だって危ない。


だって壊れていく。


だってまた。


いなくなる。


だったら。


私が全部やればいい。


そうすれば。


必要なくなるものなんてない。


失敗もしない。


危険もない。


誰も離れない。


「メリカ?」


マリが顔を覗き込む。


「大丈夫?」


メリカは笑った。


「うん」


嘘だった。


---


### 第三章 必要とされる


ノアは最近、またメリカを頼るようになっていた。


RAT残党の移動。


物資。


連絡。


何をすべきか。


「メリカさんならどうします?」


そう聞かれるたび。


胸の奥が温かくなった。


「こうした方がいいよ」


「分かりました」


「それは危ないからやめた方がいい」


「はい」


素直だった。


エレンは違った。


「ノア、自分で考えな」


「え?」


「いつまでメリカに聞いてんの」


ノアが困る。


メリカが口を挟む。


「別にいいじゃない」


エレンが見る。


「何が?」


「聞いてくれるなら答えるよ」


「でもそれじゃノアが育たないじゃん」


胸の奥。


ちく。


「育つ必要ある?」


口から出た。


エレンの顔が固まる。


メリカ自身も。


「……今の何?」


「いや」


「メリカ」


「冗談」


笑う。


エレンは笑わない。


「前のあんた、そんなこと言わなかったよ」


前。


その言葉が嫌だった。


前の私。


マリが死ぬ前。


マーサが死ぬ前。


誰かが消える前。


そんな私。


もう知らない。


「人は一人で全部できる必要ないでしょ」


メリカは言った。


「誰かに頼ればいい」


エレンが眉を寄せる。


「それはそうだけど」


「じゃあいいじゃない」


「頼るのと、考えなくなるのは違うよ」


その言葉。


どこかで聞いた。


昔。


大きな手。


エプロン。


豪快な笑い声。


――自分でできることは自分でやれ。


マーサ。


メリカの胃が重くなる。


「……その話やめよ」


「メリカ」


「やめて」


声が低くなった。


エレンは黙った。


---


その夜。


マリが水を取りに立った。


メリカは反射的に起き上がる。


「どこ行くの」


「水」


「私取る」


「いいよ」


「座ってて」


「メリカ」


「座って」


ぴた。


マリの身体が止まった。


メリカの息も止まる。


マリの目が揺れた。


「……また」


「ごめん」


「今の」


「違う」


「メリカ」


「違うって」


マリの足は動かない。


メリカが焦る。


「動いて」


動く。


その瞬間。


二人とも黙った。


心臓が。


どくん。


どくん。


どくん。


メリカの耳に、自分の音だけが響く。


怖い。


なのに。


同時に。


安心した。


止められる。


危ない時。


無理をする時。


自分が止められる。


守れる。


「……便利だね」


自分でも。


その言葉にぞっとした。


マリは笑わなかった。


---


### 間章 問い


白い。


どこまでも。


何もない。


メリカは立っていた。


「……また?」


前方に。


白い服の少年。


「誰なの」


少年は答えない。


「何なのよ、あんた」


しばらく。


沈黙。


少年が口を開く。


「その人が」


「?」


「一人で何もできなくなったら」


メリカの眉が動く。


「何」


「あなたは安心しますか」


胸が。


どくん。


「……意味分かんない」


「あなたが必要だからですか」


「何が」


「その人が」


少し間。


「あなたを必要としてほしいからですか」


メリカの身体が熱くなった。


「違う!」


少年は動かない。


「私は守ってるだけ!」


「そうですか」


「何なのその言い方!」


「そうですか」


それだけ。


白が薄れる。


メリカは目を覚ました。


隣。


マリが眠っている。


メリカはすぐ脈を確認した。


とく。


とく。


ある。


「……馬鹿みたい」


誰に言ったのか。


分からなかった。


---


### 第四章 研究終了


白い部屋。


マリは椅子に座っていた。


頬の欠けた部分を手で隠している。


白衣の男は端末を見ていた。


「処置を」


「必要ない」


「え?」


「研究は終了した」


マリの呼吸が止まった。


「……終わった?」


「ああ」


「じゃあ」


声が明るくなる。


「メリカに会える?」


男が顔を上げる。


「その必要はない」


「……え?」


「研究は終了した」


「でも」


「接触は報酬として設定されていた」


「だから」


「研究が終了した以上、継続する理由がない」


マリの指が震える。


「待って」


男は端末へ戻る。


「私、ちゃんとやったよ」


返事はない。


「言われた通りに」


無言。


「身体だって」


頬から。


ぱら。


また欠ける。


「こんなになったけど」


声が震える。


「それでもやったよ」


男は淡々と言った。


「必要なデータは得た」


マリの目から涙が落ちた。


「……じゃあ」


息を吸う。


「私は?」


男は答えなかった。


マリは。


そこで全部分かった。


---


### 第五章 楽園


メリカはマリの変化を隠し始めた。


他人に見せたくなかった。


エレンが心配すると、


「大丈夫」


ノアが聞くと、


「私が見てる」


医務室へ行けと言われると、


「必要ない」


マリ本人が、


「診てもらおうよ」


と言っても。


「私が分かってる」


そう言った。


ある日。


マリが外へ出ようとした。


「どこ行くの」


「エレンのところ」


「行かなくていい」


「約束してる」


「断って」


「メリカ」


「危ないから」


「私、歩ける」


「見えてないでしょ」


「少しだけ」


「聞こえにくいでしょ」


「でも」


「触ったって分からない時あるでしょ」


マリの顔が歪む。


「でも私――」


「やらなくていいの!」


声が響いた。


しん。


静かになる。


マリの目。


傷ついている。


メリカの胸が痛む。


でも。


止まれない。


「何もやらなくていい」


「…………」


「私がやるから」


「メリカ」


「見えなくてもいい」


「やめて」


「聞こえなくてもいい」


「やめてよ」


「歩けなくなっても」


「やめて!」


「私がいるから!」


マリの目から涙が落ちた。


その瞬間。


声。


どこからともなく。


遠い。


古い。


世界そのものが語るような声。


――ある女は、愛する者へすべてを与えた。


メリカが振り返る。


誰もいない。


――食事を。


――寝床を。


――永遠の若さを。


――判断する必要のない安寧を。


「……また」


――その男は、何も失わなかった。


少し間。


――ただ一つ。


メリカの背中を。


冷たいものが走る。


――自分で選ぶことだけを失った。


「黙って」


返事はない。


「私は違う」


マリがメリカを見る。


メリカは声のない空間へ叫んだ。


「私はマリを守ってるの!」


沈黙。


それが。


何より腹立たしかった。


---


### 第六章 かわいいまま


マリは一人で歩いていた。


足取りは遅い。


視界は霞んでいる。


音も遠い。


頬。


腕。


指先。


少しずつ。


欠けている。


ぱら。


一つ。


落ちる。


「……やだな」


小さく笑った。


誰もいないと思った。


でも。


前に。


人影があった。


顔がよく分からない。


見えにくいせいなのか。


それとも。


本当にそういう顔なのか。


「……誰?」


男は答えない。


マリはしばらく見た。


「私」


息を吐く。


「もう駄目なんだって」


男は黙っている。


「研究、終わったって」


少し笑う。


「終わったら、メリカに会えると思ってた」


声が震える。


「馬鹿だよね」


男はゆっくり言った。


「そうかな」


マリは少し驚いた。


「あなたも、あっちの人?」


「どうだろうね」


「変なの」


マリは壁へ寄りかかった。


「私ね」


顔の欠けた部分へ触れる。


「これ以上、メリカに見られたくない」


男は何も言わない。


「メリカ、優しいから」


「うん」


「絶対、全部自分でやろうとする」


「そうだね」


「私が何もできなくなったら」


少し笑う。


「きっと、それでも嬉しそうにする」


男の目が。


ほんの僅かに揺れた。


「私ね」


マリは目を閉じる。


「メリカにとって」


息を吸う。


「かわいいお人形のマリでいたいの」


静寂。


「だから」


目を開ける。


「かわいいまま殺して」


男はすぐに返事をしなかった。


長い。


長い沈黙。


やがて。


「……もう、頑張らなくていいよ」


マリの目から。


涙が一つ落ちた。


「うん」


笑った。


「ありがと」


---


### 第七章 偽物でも


メリカは走っていた。


理由は分からない。


胸騒ぎ。


それだけだった。


どくん。


どくん。


どくん。


マリ。


嫌だ。


また。


また何か。


角を曲がる。


そこで。


見つけた。


床。


マリ。


横たわっている。


そばに。


男。


「……マリ?」


声が出ない。


脚が震える。


「マリ!」


駆け寄る。


膝をつく。


抱き起こす。


軽い。


また。


あの日。


同じ。


違う。


違う。


「何したの」


男を見る。


顔が。


よく分からない。


「何したの!」


男は静かだった。


「……楽にしただけだよ」


「返して」


「メリカ」


「返してよ!」


マリの身体を抱きしめる。


頬が。


欠けている。


指先も。


でも。


まだ。


まだマリだ。


男が言った。


「この子は偽物だよ?」


一瞬。


時間が止まった。


それから。


メリカの中で。


何かが破裂した。


「そんなの前から知ってる!」


男の目が僅かに動く。


「知ってるよ!」


涙。


止まらない。


「だって違ったもん!」


五感。


身体。


反応。


仕草。


声。


全部。


少しずつ。


違った。


分かってた。


分かってた。


最初から。


途中から。


ずっと。


「でも!」


喉が痛い。


「偽物でもいいの!!!」


男は黙った。


メリカはマリを抱く。


「喋れなくてもいい!」


頬へ触れる。


ざら。


白い欠片が指につく。


「歩けなくても!」


涙が落ちる。


「見えなくても!」


「聞こえなくても!」


息が壊れる。


「何もできなくてもいい!」


頭の中。


誰かが言う。


違う。


それは愛じゃない。


違う。


そんなの。


知ってる。


「私が全部やるから!」


声が震える。


「私が見るから!」


「私が聞くから!」


「私が決めるから!」


言った瞬間。


自分で。


怖くなった。


でも。


手は離れない。


「私のこと忘れてもいい!」


男の目が。


少しだけ伏せられる。


「ここにいてくれればいいの!」


最後。


声が小さくなる。


「お願いだから」


子供みたいに。


「もう誰も」


息を吸う。


「いなくならないでよ……」


男は何も言わなかった。


しばらくして。


ほんの少し。


「……そっか」


それだけ。


メリカは。


マリを抱いたまま。


泣き続けた。


---


### 終章 ここにいて


夜。


RATの部屋。


机の上に。


カップが二つ。


一つは空。


一つには冷めたコーヒー。


メリカは椅子に座っていた。


向かい側。


誰もいない。


ジジ……。


蛍光灯が鳴る。


遠くで。


人の声。


「カイル側から連絡来たぞ!」


「生存者確認急げ!」


「この区画も明日閉鎖だ!」


世界は。


まだ動いている。


人は。


また集まる。


離れる。


生きる。


死ぬ。


メリカは。


空席を見る。


「……マリ」


返事はない。


メリカの指が。


ゆっくり。


空席へ伸びる。


「大丈夫」


笑う。


「次は」


少しだけ。


優しい声。


「もう離さないから」


ジジ……。


灯りが。


一度だけ。


消えた。

メリカ編の最後に書きたかったのは、

「愛すること」と「失いたくないこと」は、本当に同じなのか

という部分でした。

メリカは最後まで、マリを嫌いにはなりません。

むしろ逆です。

ずっと大切です。

ずっと好きです。

だからこそ壊れます。

マリの身体が崩れていくほど、メリカは彼女を守ろうとします。

五感が落ちれば代わりに見ようとする。

聞こえなくなれば代わりに聞こうとする。

歩けなくなれば運ぼうとする。

判断できなくなれば、自分が判断しようとする。

一つ一つだけ見れば、優しさです。

でも。

その全部をメリカが引き受けた時、

マリ自身に残るものは何なのか。

そこが今回の中心でした。

メリカ自身も途中から気づいています。

自分がやりすぎていること。

マリが嫌がっていること。

「守る」という言葉で、自分の不安まで押しつけていること。

それでも止まれません。

メリカにとって、

誰かが自分を必要としていることは、その人が消えない証明

になってしまったからです。

父親。

自分を助けてくれた人。

マーサ。

マリ。

何度も人がいなくなったメリカにとって、

「一人でも生きられるようになる」

という成長は、喜ばしいものであると同時に、

自分が必要なくなる恐怖

でもあります。

だから最後の、

「そんなの前から知ってる!」

「偽物でもいいの!!」


という言葉は、騙された人間の叫びではありません。

分かった上での選択です。

そこが一番怖いところです。

本物かどうか。

マリ本人の意思が残っているか。

そんなことより、

自分のそばにマリがいること

を選んでしまった。

メリカ編で描いた「色欲」は、恋愛や性的な欲望そのものではなく、

相手を愛するあまり、相手が自分とは別の人間であることを許せなくなる欲望

として描いています。

必要とされたい。

離れてほしくない。

自分だけを見てほしい。

そこには確かに愛情があります。

でも。

愛しているからこそ、

相手に自分で選ぶ自由を残せるのか。

その問いは、まだここでは終わりません。

メリカが本当の答えを出すのは、

もっと先です。

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