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「失礼致します。
茶席をご用意できましたので、会談を行うベランダのテラス席にご案内致しております」
メイドが会釈後に、王同士で差しで話をする茶会の用意ができた案内をしてくる。
「ありがとう。
案内は私がする」
雪華はメイドに礼を述べると、玉座から立ち上がると壇上から降りてくる。
雪華は隣国のスバン国王を見上げると、
「では、参ろうか?」
抑揚のない淡々とした硬い声で、スバン国王に声を掛ける。
「ああ、この壺も一緒に持って行きたいが良いか?」
縁国の女王に、息子の生首を入れた壺を持ち歩きたいとスバン国王は尋ねてくる。
「・・構わない」
雪華は訝しみながらも、スバン国王の提案を受け入れると先行して歩きだした。
スバン国王は息子の生首を入った翡翠の壺を片手で抱えると、縁国の女王の後を追って歩きだした。
戦後処理を会議する大広間の奥にあるバルコニーに、スバン国王を案内する。
ガラス越しに警備兵を配置すると、見張られるが会談の内容は聞かれない。
一応、つい先日まで戦争をしていた王同士なので、雪華を1人で対峙させるのは忍びないとガラス越しに警備するように采配を宰相が行った。
広いバルコニーは、サーチェの好みの藤棚の日よけの下にアフタヌーンティーの茶席が用意されていた。
雪華が腰を降ろすと、対面にスバン国王が席に着く。
スバン国王は、翡翠の壺を自身の目の前に置いた。
翡翠の壺が美しいとは言え、生首の入った壺を目の前に珈琲を飲むのかと雪華は辟易しそうになるが表情一つ変えないように表情筋を引き締めていた。
メイドが給仕して、抽出された珈琲を珈琲カップに注ぐと、それぞれの王の前に配膳すると会釈してメイドは出ていった。
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やはり鬼神、縁国の女王の身体は小さい。
体格はサーチェを思い出す。
似てはいないはずなのに、サーチェの娘なのだろうどことなくサーチェに似た部分があり心が締め付けられる。
「それで、何の話がある?」
雪華は硬い声音で話しを切り出す。
重要な話は、この茶会の後の戦後処理の話し合いが大臣を含めて互いに話し合う予定だ。
「そなたは、何歳になる?」
スバン国王は、唐突に女性に対しては失礼な年齢を問う。
「後1ヶ月で21歳になる。
それがどうした」
雪華は尚も淡々と、返事する。
「そうか、まだ20歳なのだな・・・」
スバン国王は感慨深げに雪華に憐れみに満ちた眼差しを向けてくる。
イラッとした感情を、必死に飲み込み奥歯を噛みしめる雪華。
スバン国王は、雪華の年齢に驚いていた。
亡くなった長男は、享年400歳。
まだ、幼い20歳の少女と言われても納得できるほど小柄な少女が一国を背負い、大国であるスバン国と渡り合うだけの戦果を上げ続けたことに、敵ながら称賛と哀れみすら向けていた。
縁国の女王は、まだ幼い。
顔立ちは詳しくわからないが、一応成人はしている。
そこでだ、
スバン国王は突如として、淹れたての熱い筈の珈琲を一気に流し込むと、
「私の花嫁にならないか?」
スバン国王は、珈琲カップをソーサーに戻すと、縁国の女王に提案を申し入れた。




