第893話 エメラルドの邂逅16
「……ちゃん」
う、クレハの優しい声がする。
「エメレアちゃん、朝だよー!!」
ツンツンと私の頬をクレハが優しくつつく。
「……うみゅ。クレハ、おはよう」
「うん、おはよう。エメレアちゃん」
よく寝た。久しぶりに熟睡できた。
パジャマから着替えて部屋を出るとイイ香りがした。
「おはようございます」
「おはよう。お母さん、お父さん、お婆ちゃん」
「「「おはよう」」」
「エメレア、よく寝れたかい?」
「うん、お陰さまで」
「直ぐに朝食にするからね。座って待っておいで」
昨日、あんなに食べたのにもうお腹がすいてる。私って食いしん坊なのかな?
そしてお婆ちゃんが運んできたのはおむすびに野菜の塩スープとオムレツだった。
凄い豪華だ。
「「「「「いただきます」」」」」
おむすびをパクりと食べる私。美味しい……!
「エメレアちゃんは美味しそうに食べるわね。見ていて気持ちがいいわ」
自身もおむすびを食べながらクスクスと笑うオトハさん。
「だって、美味しいですから」
「そう言えばエメレアちゃんは今日からお仕事だったかい?」
「はい。クレハの働くパン屋さんで」
気合いをいれなければ。1日でクビにでもなったりしたら目も当てられない。
すると新聞を読みながらコーヒーを飲むグレンさんの手が止まる。
「何やら物騒だな〝自由都市ラテンバ〟で〝魔王信仰〟の目撃が相次いでるみたいだ」
「ラテンバっていうと、この街と同じく〝八柱の大結界〟の〝魔術柱〟がある所よね?」
「ああ当代の大聖女様が直々に守っているから心配ないとは思うけどね。っと、そろそろ時間か」
コーヒーを飲み干すと仕事に向かおうとするグレンさんたち。
「エメレアちゃん、私たちもパン屋さん向かお」
「ええ、分かったわ」
スープの最後の一滴まで飲み干し、お皿を片付けると、私とクレハも仕事に向かう。
「いってらっしゃい。クレハ、エメレア」
「「行ってきます!」」
お婆ちゃんに見送られ家を出る。
さあ、お仕事の時間だ! 頑張るぞ!
*
クレハと私は人混みをはぐれないように手を繋いで歩く。
それにしても本当に人が多い……
〝シルフディート〟でも祭日の日でもこんなに人はいない。
「エメレアちゃん、大丈夫?」
「ええ、何とか……」
とは、言うものの少し人に酔ってきた。
流石は都会……
「エメレアちゃん着いたよ!」
元気なクレハ。クレハは体力あるわね。
何はともあれ、パン屋・ミッコに着いた。
ドキドキしてきた。しっかりしろ私。
「大丈夫だよ! 私が着いてるから」
「ありがとう。クレハ」
緊張が和らいできた。
よし、行ける!
そうしてパン屋・ミッコの入り口を私たちはくぐる。
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