第889話 エメラルドの邂逅12
*
クレープを食べ終えると、早速パン屋さんへ向かった。
「おばさん、こんにちは!」
クレハはパンのいい香りのする店に入っていくので、それに続く。
パン屋・〝ミッコ〟と看板が出ていた。
「おやまあ、クレハちゃん。どうしたの? 今日は仕事の日じゃないのに?」
「お、クレハちゃん、いつも助かってるよ」
年齢は70ぐらいだろうか?
年配の夫婦が出てくる。
「うん、それがね。おばさん、まだ人手不足?」
「そうだねぇ。中々いい人が見つからなくてね」
「ホント! あのね、この子、私のお友達のエメレアちゃんて言うんだけど雇って貰えませんか?」
早速、本題に入るクレハ。
私は勇気を振り絞り口を開く。
「初めまして。エメレア・エルラルドと言います。クレハからもしかしたらと言うことで、こちらのパン屋さんで、雇ってもらえないかと来た次第です」
「まあまあ、ご丁寧にありがとう。給料は1時間で銅貨8枚、仕事内容はレジと接客と清掃で日数は用相談でどうかしら?」
「え? そんなことでそんなに貰えるんですか?」
「うちの店は昼間は混むけど、それ以外の時間はそんなんでもないのよ。だからうちはこれでも賃金は安い方なんだから」
銅貨8枚が安い……?
兄さん何て日が昇る前の朝から日が沈む晩まで畑で働いて銀貨3枚ぐらいだったのに。
「それでもいいなら、是非お願いしたいわ」
「いいんですか!? 是非お願いします」
「はいじゃあいつからこれる?」
「いつからでも大丈夫です」
「あ、じゃあ明日クレハちゃんのシフトだからその時に一緒に来てもらえる?」
「はい。分かりました。よろしくお願いします」
こんなに簡単に決まってしまっていいのだろうか? ぐらいにトントン拍子で仕事が決まってしまった。クレハのお陰だ。感謝しないと。
「よかったね! エメレアちゃん就職おめてとう!」
「本っ当にありがとう! これで収入源ができたわ。死活問題だったもの。ぐすん」
「ああ、泣かないで。まあでも嬉しい涙はいっか」
よしよしと私の頭を撫でてくれるクレハ。
本当にいい人と会えた。
エルクステンに来てよかった。
「エメレアちゃん、そろそろ帰ろ」
「うん、今日は本当にありがとう」
「え? エメレアちゃん、私の家にだよ。夕飯食べてって」
「そんな、1日3食もご馳走になるなんて……」
「私に遠慮は要らないよ。ごはんはみんなで食べた方が美味しいし、私、エメレアちゃんと夕飯食べたいな」
「う~、じゃあ、お邪魔します!」
「うん、じゃあ行こっか! おばさんお邪魔しました」
私もよくよくお礼を言い、お店を後にした。
余談だが、帰りもクレハが手を取ってくれたのが嬉しかった。
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