第883話 エメラルドの邂逅6
*
──ギルド。
お腹も膨れた。美味しかったなおむすび。
……今日はどうしよう。
そんなことを考えながらギルドから出ると、私に向かい優しげな声がかけられる。
「エメレアちゃん♪」
「──っ!? く、クレハさん?」
こないだ飴を盗んだ罪悪感が込めあげてくる。
あ、謝らなくちゃ……
しっかり謝って罪を償うんだ!
「さん何て付けなくていいよ。クレハって呼んで!」
「……え……あ……はい……そう、なら。クレハ、こないだはごめんなさい!」
私は頭を下げる。
謝ったからって罪は消えないけど。
「え、え? 何のこと?」
「だから飴を盗んだことです」
「? 盗んだ? 私、エメレアちゃんに飴なんて盗まれてないよ?」
「え?」
「私はエメレアちゃんに飴をあげた記憶しかないよ?」
「だって私、あの時、あなたから飴を引ったくって……」
「あ、受け取り方にはちょっとびっくりしちゃったけど、あの飴はエメレアちゃんにあげるって言ったんだから。あの飴はエメレアちゃんの物だよ! 盗みなんてしてないよ!」
スッと胸の支えが取れた。
「それ、本当ですか……?」
「?」
「私、盗みしてないんですか?」
「うん! エメレアちゃんは盗みなんてしてないよ!」
ツーっと、涙が溢れ落ちる。
「え、あ、エメレアちゃん!? どこか痛いの? 大丈夫!? あ、お医者さん呼ぶ??」
「大丈夫です……よかった……私、盗みなんてしてなかったんだ……ひぐっ……」
よしよし、と、クレハが頭を撫でてくれた。
頭を撫でられたの何て兄さん以来だ。こんなに嬉しいことなんだ頭を撫でられるのって。
「エメレアちゃん、昨日も一昨日もギルドのカウンターで寝てたけど、何かあったの?」
「……その……私、他に行く所ありませんから」
「そうなんだ……ごめんね。聞いちゃ悪いよね。あ、エメレアちゃん、家に遊びに来ない?」
「え?」
「このギルドの近くなんだ。お婆ちゃんとお父さんとお母さんと私の四人暮しなんだ」
「そうなんですか……」
羨ましい……
でも、クレハには幸せが似合う。
「あ、ごめんね。家族のこととかは禁句だよね。多分、エメレアちゃん、家族のことで悲しいことがあったんだよね。無神経でごめんなさい」
「謝らないでください。クレハは悪くありませんから」
くしくしと私は涙を拭う。
「行こ! エメレアちゃん♪」
「私なんかがお邪魔していいんですか?」
「うん、勿論!」
クレハが私の手を取る。
あったかい優しい手だ。
そうして私は優しく温かい小さな手に導かれクレハの家を目指した。
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