↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
879/904

第878話 エメラルドの邂逅



 *


 それは昔、私が初めて〝大都市エルクステン〟を訪れたばかりの話だ。

 最愛のリョク兄さんを失い──〝シルフディート〟に、人生に、運命に絶望していたあの頃の私の記憶の物語。


 *


 ──10年前。


 冒険者パーティー〝吟遊詩人(バラッド)〟の皆と別れた後、私は一人、都市を歩く。


(ひ、人が多い……)


 田舎育ちの私に取っては都会は賑やかすぎる。

 目が回って来た。少し大通りから離れよう。


 少し暗い路地裏の大きなバケツの上に私はションぼりと、しゃがみこむ。


「……」


「……」


「……」


 一秒、一秒が、やけに長く感じる。


 ……リョク兄さん……私……もうダメかも……


 ツーっと、私の瞳から涙が流れる。


 落ち着け私。泣いていても良いことなんてない。泣き止め、泣き止め、泣き止め!

 だけど、私の思いとは裏腹に涙はどんどん溢れてくる。


「……ひぐっ……うぅ……うわぁ……ぐすっ……」


 ……兄さん……兄さん……兄さん……兄さん……


 (……──()()()()()……)


 生まれてから、ずっと隣に居てくれた兄さん。


 おはよう。と、毎朝笑ってくれた。


 泣いてる時はそっと涙を拭ってくれた。


 お腹が空いたらごはんを食べさせてくれた。


 辛い時は抱き締めてくれた。


 寒い夜は手を握ってくれた。


 風邪を引いた時は朝まで看病してくれた。


 朝から夜まで畑で私の為に働いてくれた。


 ……くれた。


 …………くれた。


 ………………くれた。


 ──


 ────


 私の、大好きな、大好きな、大切な兄さん。


 ……兄さんを殺した。最高貴族。バルス・ハンジ。

 絶対に、絶対に許さない!


 いつか必ず──()()()()()。兄さんの(かたき)だ!


 *


 どれだけ、そこにいただろう。

 もう辺りは日が沈んできた。


 お腹も空いてきた。

 でも、持ってるお金は使えない。


 兄さんがくれた大切なお金だ。

 護衛依頼で少し使ってしまったけど……


 私は兄さんから貰った最後の贈り物を、使い果たすのが嫌だった。

 お金は使うものなのに、でも私はこのお金は使わずに大切に持っていたかった。


 ……もう寝てしまおう。

 疲れた。

 今なら空腹も忘れ泥のように寝れそうだ。


 せめて、夢の中で兄さんに会えますように。


 そう思いながら、私はそっと──

 路地裏、大きなバケツの上で目を閉じた。


 *


 数時間後。ポツポツと、頭に冷たい水が当たる感触と共に、私は目を覚ます。


「……んっ……雨……」


 ……冷たい。

 折角寝れたのに。


 ……夢でも、兄さんと会えなかったな。


 ザーっと、雨が強くなる。

 気づけば私もビショビショだ。


 でも、そんなことはどうでもよかった。

 寧ろ、涙を雨で隠せてラッキーなくらいだ。


 ……寒い。


 すると、雨がスッと止む。

 いや、違う……これは()


「──どうしたの? 大丈夫?」


 一人の小さな女の子の声が私の耳に響いた。



 ★★★★★★作者からのお願い★★★★★★


 作品を読んで下さり本当にありがとうございます!


・面白い

・続きが気になる

・異世界が好きだ


 などと少しでも思って下さった方は、画面下の☆☆☆☆☆から評価やブックマークを下さると凄く嬉しいです!

 (また、既に評価、ブックマーク、感想をいただいてる皆様、本当にありがとうございます! 大変、励みになっております!)


 ★5つだと泣いて喜びますが、勿論感じた評価で大丈夫です!


 長々と失礼しました!

 何卒よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。