第870話 魔王戦争ラフィメストス編 後処理4
「ああ、勝ったよ。172人の犠牲の上でな」
『172人か。それは申し訳がたたないね。私が背負わなきゃいけない責任だ。ただちに〝聖教会〟から残された遺族の方たちへのケアと見舞金の手続きをするね。本当にごめんなさい』
「すまんな。頼む。それと〝中央連合王国アルカディア〟への宣戦布告の件だ。止まることはできねぇのか? 最悪全面戦争になるぞ?」
『返答は明日だから今からどうなるとは言えないけど。最悪の事態は覚悟してるよ』
「ノア……」
『ユキマサ君、私たちはね怒っているんだよ。何で、何も悪くないユキマサ君が傷つかなきゃいけないの? ユキマサ君はユキマサ君の自分の価値をもっと知るべきだ。誰だってそうでしょ。友達や仲間が悪く言われたら怒るんだよ。もし私がユキマサ君の立場と同じならユキマサ君はどうする?』
「それは……」
必要悪とは言え、もしノアが40億もの指名手配犯になったら俺は世界を敵にしてでも助けたいと思うだろう。
『ユキマサ君はやっぱり優しいね。だから人がついてくるんだよ。とにかく、蓋を開けてみないと分からないから最終的な返事はまた後日でいいかな?』
「ああ、分かった。あまり無茶をするなよ」
『ふふふ、それは約束できないかな。じゃあ、またね♪』
あ、おい! と、俺が言う前にノアは通話を切る。
「ったく、やれやれだ」
でも、俺のことを思ってくれてるんだよな。ノアもロキも皆も……
そう考えると、ごめん。嬉しいよ。
「俺等も大聖女様と同じ考えっスよ。ね、レモンちゃん」
「はい。私も同じ意見です。間違っているのは〝アルカディア〟だと思います。私はユキマサさんについていきます」
「だー! もう分かったよ。ならば俺も出方を変えよう。目的は変わらんがな。救うぞ、世界」
「ウス!」
「はい!」
チャッチャラーとレモンは笑った。
誇らしげに。
ちなみにマキシは話の途中で豚汁のおかわりを貰いに行った。こいつも自由だよな。
「主様、酒」
現れたのは黒芒だ。
少しムスッとしている。
「分かってるよ。なあ、ツヅリ。この村で一番高い酒はどこにある? 売ってくれ」
「辺境な村なので、そこまで高級な物はありませんよ? ギルドの酒場に虹ブドウのワインが一番高級品かと思います」
よし、ならそれを買いに行くかと言おうとすると。酒樽を持った初老の男性が現れる。
「ギルドマスター」
ツヅリが呟く。
「後れて申し訳ない。今はこれしか虹ブドウのワインがないのですが〝千妖〟様にこちらをどうぞ」
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