新ピッチングニム
「先行は俺がやろう。」
俺はカゴAから1球だけ取った。
「球は合計で30球以上あるってのに1球しか取らないなんて随分とビビりだな。」
キバナはあおるように俺に言った。
さっきまでは俺に負けて駄々こねてたやつが今では水を得た魚みたいだ。
「今は好きなだけ言えばいいさ。後で気づくだろう、この1球が勝敗を決める1球ということを。」
キバナはフンっと鼻で笑った。一度負けている相手にこの態度、まるで危機感がない。
キバナのターン、キバナはカゴBから上限の3球取った。
「さあルール通り今から取る球の数を宣言してもらおう。」
そう言って俺を睨んだ。ルールではキバナが球を取った2秒後には俺が次のターン取る球の数を宣言するというルールだった。俺はルール通り球の数を宣言した。
「カゴAから3球だ。」
宣言した俺は宣言通りカゴAから3球取った。
「じゃあ次は俺のターンだな。」
そう言ってキバナはまたもカゴBからから3球取った。そして俺はその2秒以内にカゴAから3球取ると宣言した。
その後もテンポよく勝負は進んで行った。カゴAの球の数は残り4球、カゴBの数も残り4球。
「球の数も少なくなってきたな。もうそろそろ勝負は終わる。同じやつに2度も負ける訳にはいかない。必ず勝ってみせる。」
キバナはそう呟いた後カゴBから2球取った。俺はすぐにカゴAから2球と宣言し、取った。
そしてキバナのターン、球を取りにカゴの前に立ったキバナの動きが止まった。その後、「そ、そんな」と情けない声を発した。
「やっと気づいたか、そう、もうお前に勝ち目はないんだ。カゴAには残り2球、カゴBにも残り2球、この状況どうやったって最後の球を取るのは俺だ。どちらかから1球取ったとしても俺はもう片方から1球を取れば、Aには1球、Bにも1球の状況になってお前は負ける。別のパターンだとAから2球取ってもBには2球残っているから俺がその2球を取れば勝ちだ。」
キバナは呆然とカゴの前に立っている。
「気づいたことは褒めてやる。だがな、気づくのが遅すぎだ。」
俺が話し終えると今まで黙っていたキバナが突然叫んだ。
「こんなのイカサマだぁぁ。だ、だってそうだろ、藪崎は取る球の数を決めるのに2秒しか使っていなかった。そんな時間じゃ球の数を逆算できるわけがねぇ。だったらイカサマしかありえねぇ。」
「くっくっく、バカだなぁキバナ、実はその計算、バカなキバナでも2秒や1秒でできる方法があるんだよ。」
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次回種明かしです。




