提案
「終わっていない?それはどういうことだ?」
キバナに質問した。するとキバナは笑いながらこう答えた。
「確かルールではカゴの球が全て投げられるまでは赤い円からでてはいけないというルールだった。
そして俺は最後の一球を残している。もし今帰ろうと円から出たらその時点でお前の負けだ。」
俺はようやくキバナの言いたいことがわかった。
「確かに最後の一球を投げさせなければお前は負けないが、勝つこともできない。つまりこの勝負は永遠に終わらないということになる。そんなのただの屁理屈だ。もう勝負は俺の勝ちで終わっているよなもの、さっさと負けを認めろ。」
俺はキバナを怒らせないように優しく言った。顔をしかめるキバナだったが突然何か思いついたような表情になった。
「そうだ。まだあっただろ、持ってこいセイギ。」
そういってキバナは桜林に何かを持ってこさせようと頼んだ。桜林もキバナの言葉で何かに気づいた様子で急いで何かを取りに行った。
30秒ほどで戻ってきた桜林の手には思いもよらないものがあった。それは、カゴいっぱいに入っていた野球の球だった。
「まさかこの球を使ってもう一勝負するつもりか?」
「ああそうだ、もうさっきの方法では負けない。真剣勝負だ。」
正直俺はもうキバナとの勝負にもピッチングニムにも飽きていた。
さっさと帰りたいと思っていた俺はある方法を思いついた。
「キバナ、お前はあのカゴの中に入っている球の数を知っているのか?」
「いや、、知らない。だが二人とも知らない状態から勝負するんだ。」
「そんなのよりもいい方法があるぞ。」
俺の提案にキバナは食い気味に「なんだ。」と言った。
「それは、ピッチングニムのルールを少し変えた『新ピッチングニム』だ。」
「おお」と俺の提案に食いついた。
「ルールは、今持ってきた球とさっきの勝負で使っていた最後の一球を合わせた数の球を使う。そしてその球を半分の数に分けてカゴ二つに入れる。仮にカゴAとカゴBとする。もう桜林は投げ疲れただろうから球を投げさせて避けるというルールはなしだ。」
「それからどうするんだ?」
「その後はプレイヤーが交互にカゴAかカゴBから球を取っていく。取っていける球はさっきと同じで3球まで。そしてさっきと少し違うのはカゴAとカゴBの両方から取っていってはいけない。
例えばカゴAから2球、カゴBから1球の計3個取っていくのはルール違反、3個取っていきたければ、AかBのどちらかからしか取っていけない。」
「なるほど、少しづつわかってきた。じゃあ一回カゴAから1個でも取っていったら、もう次のターンからもカゴBからは球を取っていってはいけないのか?」
「いや、そんなことはない。あくまでも同時に両方のカゴから取ってはいけないだけだ。次のターンからはまたAかBのどちらかから取っていける。 そしてもう一つ従来のルールと違う点は、最後の一球を取った方が勝ちというルールだ、さっきみたいに『取らない』と駄々をこねられたら困るからね。」
「また質問なんだが、最後の一球というのは具体的にどういうことだ?」
「最後の一球とは言葉通り最後の一球だ。例えば、カゴAに残り2球、カゴBに残り1球という状況の場合でカゴAの2球を取ってカゴAを空にしてもカゴBにはまだ1球残っているからそっちの球を取ったほうの勝ちだ。」
今までの説明を聞いたキバナは頷いていた。どうやら納得したようだ。
「そして最後に球の合計を二人とも知っている状態で勝負しておきたい。二つのカゴを使ったニムだから、計算だって複雑になるだろ、だから計算の得意不得意が関係ないギャンブルだ。すごく平等だろ?」
キバナは険しい表情になった。
「いくら計算が複雑になったって、お前はその計算ができるからこそこのギャンブルを提案したんじゃないのか?」
予想通り、気づいたか
「そんな計算はいくら俺だって苦手だが、そんなに疑うならこうしよう。キバナが球を取った2秒後に俺は自分が取っていく球の数を宣言する。いくら計算が得意なやつでも2秒じゃ計算できないだろ?」
「そのルールならいいだろう、この勝負乗った。セイギ、球の合計数教えてくれ。」
桜林は球の数を数え始めた。しばらくすると数え終えた。
「合計33球でした。」
33球を半分して、17球をカゴAに入れて、16球をカゴBに入れた。
準備は整った。いよいよ「新ピッチングニム」のスタートだ。
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