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オレは女子高生・ソフトバージョン  作者: AT
第2章

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56/61

第56話 水着 オレがスクール水着を着るなんて(ソフトバージョン)初出09.4.19

 「こんにちは先生。」

「あら、いらっしゃい。どうしたの? 手術のことが心配になった?」

白石先生はオレの様子がおかしいことに気づいたのかだろうか・・・

「・・い・・いえ・・・そのことじゃないんですけど・・・」

「そう? じゃぁなに? 何か心配事でもあるんでしょう?」

「実は・・こんどのプールの時間に水着にならなくちゃいけなくなって・・・」

オレは事のいきさつを先生に話した。


 「そうだったの。つまり、知らない人にならもし有希ちゃんが男だってバレてもその場限りだけど、学校でバレたら大変だから絶対バレないようにしたいのね?」

「はい・・・」

「でも、今の有希ちゃんの体型ならサポーターを穿けばバレないんじゃないかしら?」

「・・そうでしょうか・・?」

「とりあえず水着を着てみて、それで無理そうだったら、何か理由をつけてやめたらいいんじゃない?」

「・・・・・」


とりあえず着てみるしかないか・・・



‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥



 とうとうプールの日がやってきた・・・朝、オレは長谷川に呼び出されて紙包みに入った水着を、こっそり手渡された。でもなんだか水着が入っているにしては大きい・・・オレが中をのぞいてみると、バスタオルのような物まで入っている。

「バスタオルは持ってきたよ。」

「有希、どうせ普通のバスタオルだけ持って来たんでしょう?」

「・・うん・・・」

「そんなのでどうやって着替えるつもり?」

「・・・でも・・保健室で着替えて、そのまま下に着ていくから大丈夫だと思うけど。」

「あんた、ほんと考えが足りないわねぇ。終った後も濡れたままセーラー服を着るつもり?」

「あ・・・!」

そうか・・・終った後のことまで考えてなかった・・・男なら海パンだからバスタオルを腰に巻いてはきかえることが出来るけど、水着じゃそうもいかない・・・


「だから頭から被って着替えられるのを持ってきてあげたのよ。有希は普通のバスタオルで着替えるなんて器用なことは無理でしょう?」

「・・うん・・・」

確かに長谷川の言うとおりだ・・・

「でも・・これは?」

一緒に入っていたビニールに入ったままの真新しい水泳帽を指さして聞いた。

「あぁ、それは買ってきたのよ。」

「なんで?」

「だってわたしのは横のところに名前を書いてるんだもん。昨日気づいて慌てて買ってきたのよ。」

「・・そっか・・・ありがとう。」

わざわざ買ってきてくれるなんて、長谷川って意外に親切なんだ・・・


「サポーターは持ってきたんでしょうね?」

「うん、ちゃんと持ってきたわよ。」

「なら万全ね。あとは有希がちゃんと女の子らしく出来るかどうかだけね。」

「うっ・・うん・・・」

「あ!あんたムダ毛の処理はしてきたでしょうね?」

「うん・・あたりまえじゃない・・・」

というかオレはエステでちゃんと永久脱毛してもらっているのだ。もちろんまだ残ってる毛根もあるから、昨日ちゃんと生えていないかどうか確かめたけど。

「・・・有希って、変なところが女っぽいのよねぇ・・・」

それはオレが女の子になるために頑張っているからだ・・・最初から女の子の長谷川には、この苦労はわからないのだろう・・・


「でもわたしも有希の水着姿みたいなぁ。」

「・・い・・いいよ・・見なくて・・・」

「でもわたしの水着なんだから見る権利はあるんじゃない?」

「権利・・・?」

まさか権利なんか主張されるとは・・・やっぱり長谷川から借りなきゃ良かったかな・・・



‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥



 オレは3時間目の授業が終ると、急いで保健室へ向った。長谷川の水着は保健室であずかってもらっている。


 保健室に着くと鍵を閉めて、肌色の水着用のサポーターを穿き、長谷川から借りた水着を着る・・・オレたちの中学の水着は紺一色のごく普通のスクール水着だ・・・白い線があるとか、下の部分に布があるとかいう特徴は何もない。


 やっぱり長谷川が着ていた水着を、オレが着ているのだと思うとヘンな感じがする・・・出来るだけ考えないようにしないとドキドキしてくる・・・これはまだオレの中に残っている男の部分なのだろうか? 股間の膨らみはサポーターのおかげで、まったく目立たない。



 オレがプールに行くため水着の上から制服を着ようとした時、いきなり誰かがドアをノックした。

「だれ?今ちょっと取り込み中なんだけど・・・」

先生はそう言いながら、手振りでオレにベッドの中に隠れるように指示した。オレは慌ててカーテンを引いてベッドの中に潜り込んだ。息をひそめているとドアの向こうから声が聞こえた・・・

「あの・・長谷川です。」

「あ、長谷川さん? 待ってて、いま開けるから。」

なんで長谷川が・・・やっぱり権利を行使しに来たのだろうか・・・オレの水着姿を見て笑うつもりかもしれない・・・


 ドアがすべる音がして長谷川が入ってきたようだ。先生がまた鍵をかける音がする・・・

「あれ? 有希は?」

オレはイヤイヤながらベッドを出て、カーテンから顔をのぞかせた。

「なに? わたしの水着姿を笑いに来たんでしょう・・・?」

「なに言ってるのよ、笑うわけないじゃない。人聞き悪いわねぇ、そんなつもりで水着貸したんじゃないわよ!」

「・・そ・・そうなの・・・?」

「さっさと出てきて見せてよ。」

「・・う・・うん・・・」

オレは渋々カーテンを開けて出ていった・・・

「すごい!こんなに似合うんだぁ・・・」

「そ・・そんなことないよ・・・」

オレは恥ずかしくてたまらない・・・なんだか裸を見られてるみたいな気がして思わず胸と股間を両手で隠していた・・・

「有希って思ったより胸あるのねぇ。」

「そ・そ・そんな・・・」

オレは慌てて両手で胸を隠した。

「足も細くてきれいだし・・羨ましい・・・」

こんどは足のことを言われて、オレは慌てて両手を下げて足を隠そうとしたが、いったい何処を隠せばいいのかわからずアタフタすることしか出来なかった・・・

「有希ったら、そんなに恥ずかしがらなくていいじゃない。」

「・・だ・・だって・・・」

恥ずかしいに決まってるじゃないか・・・男が女の子の水着を着てるんだから・・・?・・・でも長谷川はもうオレのことを男だと思ってないって言ってたから、オレが恥ずかしがるのを理解できないのだろうか・・・?

「可愛いなぁ・・・有希どんどん可愛くなってるんじゃない?」

「そんな・・・やめてよ・・・」

オレそんなこと言われたら、どんな顔すればいいかわからないよ・・・

「長谷川さんの言うとおりだと思うわ。有希ちゃん夏休み明けてから一段と女の子らしくなった気がする。」

「・・そんな・・・」

本当だろうか・・・もしかして読者モデルなんかやったからかも知れない・・・オレの心の中にはまだ男の部分も多いのに、見た目だけ女っぽくなっているなんて・・・これじゃぁ、どんどん外見と中身が離れてしまうんじゃないのだろうか・・・心配になってくる・・・


 「そろそろ行かないと、プールに遅れてしまうわよ。」

「あ!そうだった・・・」

オレが慌てて制服を着ようとすると、

「あ、ちょっと待って!」

長谷川はそう言って、ポケットから携帯を取り出した。

「写メとらせて!」

「な・・なんでよ・・そんなの撮らなくていいって・・・」

「だって、お母さんに見せなきゃいけないんだもん。」

「お母さんに?」

「きのう有希に水着を貸すって言ったら、お母さんも見たいって言ってたの。」

そう言いながらもう携帯をオレに向けている・・・

「水着貸したんだから、写メ撮る権利もあるでしょう?」

また権利・・・? どこまで権利があるんだろう・・・

「もうっ・・1枚だけだからね・・・」

オレは手に持っていた制服を置いて、かるく身体を斜めにして足を閉じた・・・どうせ写されるのならきれいに見える方がいい・・・



‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥



 オレは歩いて10分ほどの所にある白鴻女子短大に小走りで向った。うちの高校にはプールが無いから短大のプールを使わせてもらう。おかげで水泳の授業の回数が少ないのは、オレにとっては良いことだ。水泳部などもこの短大のプールで練習しているらしい。とはいえ、うちの学校はお嬢様学校だからスポーツには力を入れていないらしく、大会などには無縁なようだ。みんな楽しくスポーツをするといった感じらしい。


 更衣室に入ると、もう残っているのは数人だけだった。

「有希どこ行ってたの、遅かったじゃない。」

「あ、ちょっとトイレに・・・」

オレは適当にごまかしながら、すでにほとんど着替えているクラスメイトが全員出て行くのを待った・・・やっぱり制服を脱ぐだけとはいっても恥ずかしい・・・それに、家から制服の下に水着を着てきたと思われるのもどうかと思うし・・・


 でも考えてみれば、終った後はみんなと一緒に着替えなきゃいけないのだから大変そうだ・・・もし長谷川が気を利かせてポンチョのようにかぶれるヤツを持って来てくれなかったら、いったいどうなっていたのだろうか・・・考えただけで寒気がする・・・


 オレは制服を脱いで水着姿になり、お下げをほどいて上に持ち上げピンで留める・・・かあさんに習って何度も練習したから結構短時間で上手く出来た・・・そして白いゴムの水泳帽をかぶる・・・男の子もこういう帽子をかぶる学校もあるみたいだが、オレが行っていた小学校も中学校も男の子は丸くてアゴの下でヒモで留めるタイプだったから、まさかオレがこういう水泳帽をかぶることになるなんて思いもしなかった・・・このテの水泳帽って首筋が妙に色っぽく見える・・・オレは自分の首筋がそんな風になってるのを想像してゾッとした。


 水着からサポーターがはみ出してないかを確かめてから、オレは急いでプールに向った。

「有希遅い!」

岡本の声と同時に、いっせいに全員が振り返りオレを見た。

「あわわ・・・ご・・ごめん・・・」

まさか全員が準備体操せずに待ってるなんて思わなかった・・・オレはこっそりとみんなに混じろうと思ってたのに・・・


「これで全員か? それじゃ準備体操始めるぞ!」

たくましい体つきの浅黒い大学の体育の先生がやるのを真似しながらオレたちも準備体操をした。動いてみるとたしかに女性の水着というものはお尻がはみ出してくる・・・どうりで女子はいつもお尻の部分を親指で“クリッ”とお尻にかぶせてるハズだ・・・オレも後でやってみよう・・・


 体操が終りやっとプールに入ることが出来る・・・女性モノのスクール水着は恥ずかしいけど、久しぶりの水泳だからちょっとテンション上がってしまう・・・水泳は唯一オレが得意なスポーツなのだ。


 女の子になって、この学校に来てからというもの、オレは体育は手を抜きぎみだったし、そのうち女性ホルモンの影響か、一生懸命にやっても、なかなか女の子にもかなわなくなってしまった・・・みんなはオレのことを女だと思ってるから、ちょっとドジなだけだと思ってるようだが、実はオレは結構気にしているのだ・・・オレだってみんなに少しは良いとこを見せたい・・・


 「1レーンは飛び込み用で、2レーンは戻ってくるヤツに開けておけよ!たらたら泳ぐヤツは3から5レーンを使え!」

体育の先生が言っている・・・飛び込んでいいのか・・・レナと行ったプールでは飛び込むどころか、まともに泳げなかったから、オレはかなり欲求不満になっていた。

 もう女の子になったのだから水泳は出来ないと諦めていたのに、一度プールに入ったらまた泳ぎたくなってしまったのだ。もう我慢の限界だ!

「わたしちょっと飛び込んでこよっかな・・・」

「え?有希飛び込めるの?」

千里が驚いた顔で聞いた。

「有希、水泳は苦手なのかと思ってた・・・」

「実は、けっこう得意なの。」


 オレはプールから上がって第1レーンのところに行った・・・みんな飛び込むのはイヤみたいで1レーンと2レーンは誰もいない。

「おっ!おまえ飛び込むのか?」

「あ・・はい・・・」

「よし!やってみろ! ホイッスルを吹いたら飛び込めよ。」

オレは飛び込み台に上がると、ホイッスルと同時に飛び込んだ。

やっぱり泳ぐのは気持ちがいい・・・女性用の水着は抵抗がありそうにみえたが、案外そうでもなかった・・・泳いでいるぶんには、けっこう快適だ・・・ただ、男のころと比べると、胸とかあるぶんスピードが出ない気もする。


 オレがターンしてそのまま第2レーンに入り戻ってくると、いつの間にかみんなオレのことを見ていたみたいで、水から顔を上げたとたん、いきなり拍手されて驚いた・・・その時になってはじめて目だつようなことをしてしまったのを後悔した・・・オレは注目なんかされたくなかったのに・・・オレは目立たないようにしていたことをすっかり忘れていた・・・いいとこなんて見せなくてよかったんだ・・・


 「君、自己流だが、女の子にしてはなかなか良い泳ぎじゃないか。」

「は・・はあ・・・」

先生に褒められても、もう嬉しくない・・・

「水泳部に入らないか?」

「い・・いえ・・・わたしはいいです・・・」

時間になったのを良い事にオレは急いで岡本や千里のところに走っていき、一緒に更衣室に戻った。

「有希ってほんとに水泳得意だったのね。」

「・・うん・・・」

「どうしたの? なんか元気ないね。」

「う・・ううん・・そんなことないよ。 久しぶりに泳いだから、ちょっと疲れただけ・・・」


 オレは長谷川から借りたポンチョ型のバスタオルを頭からかぶって着替えた・・・やっぱりこれがなきゃ、どうにもならなかった・・・これなら中で水着を脱いで、そのままパンツやブラも着けることが出来る・・・

着れないのは頭からかぶらなきゃいけないセーラー服の上着だけだ。



‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥



 オレはそのまま保健室に戻った。もう昼休みの時間だから、そんなに急ぐ必要もない。

保健室のドアを開けると、そこにはなぜか長谷川もいた・・・

「あ、帰ってきた。」

長谷川はオレのところに駆け寄ってきた。

「どうだった?上手くいった?」

「・・う・・うん・・・」

「なに? どうかしたの?」

「どうもしてないよ・・・ただ・・目立っちゃっただけ・・・」

「いいじゃない目立ったって。」

「ダメよ! 目立ったら男だってバレるかも知れないじゃない・・・」

なぜか長谷川はあきれ顔だ・・・

「有希、まだそんなこと言ってるの? あんた今まででも十分目立ってるのに全然わかってないのね。」

「・・・・・」

オレはそんなに目立ってるつもりはない・・・


 「まあまあ、有希ちゃんも疲れてるでしょうから、長谷川さんはお昼でも食べてくれば?」

「え? 有希と食べようと思ってたのに・・・」

「あら、そうなの? 先生ちょっと有希ちゃんと話しがあるんだけど・・」

それを聞いて長谷川は

「じゃあ・・わたし中庭にいるから・・・」

そう言って出て行こうとしたが、振り返ってオレに聞いた。

「パン・・何がいい? よかったら買っとくけど・・」

「あ、じゃあ何か惣菜パン買っといて。それと牛乳。」

「うん、わかった。」


 長谷川が出て行くと白石先生が言った。

「長谷川さん、有希ちゃんのこと心配して待ってたのよ。」

「・・・そうなんですか?」

オレは長谷川が何を考えてるのか、ちっとも良くわからない・・・先生は長谷川の気持ちがわかるのだろうか・・・?

「長谷川さんも自分の気持ちを伝えるのが上手じゃなさそうだから、有希ちゃんたち見てると心配になっちゃうのよ。」

「え?」

「有希ちゃんも、もう少し長谷川さんに優しくしてあげたら?」

「・・・そんな・・・」

どっちかといえばオレの方が振り回されてる気がする・・・優しくして欲しいのはオレの方だ・・・









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