第43話 撮影 オレがモデルに? 初出09.1.31
結局残ったのはオレと佐倉を含めて13人だった・・・結果からみれば32人のうちの13人だから、そんなに確率が低いわけじゃなかったようだ・・・どうりでオレまで受かったワケだ・・・
それに残ったコたちは帰ったコに比べるとちょっと地味な感じもする・・・案外、原口弘子が言ったように、編集部は読者モデルには本当のモデルとは違った感じを求めているのかも知れない・・・たしかにカッコいいモデルの人が着てると良い感じの服も、普通の人が着ると足の長さが違ったりして恰好がつかなかったりすることは良くある・・・その点、オレたちなら一般のコと同じで違和感がないに違いない・・・
とはいえオレは男だから違和感がないとは言えない気がする・・・それともオレってそんなに女の子に見えるのだろうか?・・・見えなくても困るけど、見え過ぎるのもちょっと複雑な気分だ・・・
「それじゃ、これからカメラテストをします。」
女性がオレたち残った女の子を集めてそう言った・・・カメラテスト?・・・それじゃここにいるコ全員が合格なワケじゃないのかな・・・?
「私、紹介が遅れましたが、九州JINON編集長の佐々木です。よろしく。」
え?!この女の人が編集長だなんて思ってもみなかった・・・オレは勝手な想像で、編集長ってのは男の人だとばかり思っていたのだ。考えてみれば女の子の雑誌なのだから編集長が女性でも、ぜんぜん不思議じゃない・・・どうりで出来る女って感じがすると思った・・・
「カメラテストって言っても堅く考えないでいいから。写メ撮るときくらいの楽な気持ちでね。」
さすがに女性は女の子の扱いに慣れてる感じだ・・・その場の緊張が少し和らいだ感じがする・・・
「こちらは面接にも参加してくれたカメラマンの進藤さんとスタイリストの永沢ケイコさん。」
「お・・おねがいします!」
オレたちは一斉に頭を下げた。
撮影するスタジオも同じフロアーの中にあった。オレはこういうのを見るのは初めてだ・・・思ったよりも小さい感じで、いろんな機材が所狭しと置いてある・・・とても全員は入れないから、オレはドアの外から覗いていた・・・
バックにはなぜか毛足がないカーペットが、壁から床へたるむ感じで天井から張ってある・・・見てると上から長くロール状に巻いた紙を引っ張り降ろしてきた・・・そういえば雑誌の写真ってバックと床の境目がないのが多いけど、こうやって撮っていたんだ・・・しかも紙は汚れたりハイヒールで穴が開いたりしたらトイレットペーパーのように切るようで、常にきれいな部分を使えるようになっている・・・オレは初めて見るシステムに感心した。
「いいねえ・・もうちょっと寄ってみようか・・・」
二人づつ撮影が開始された。みんな結構緊張してるみたいだが、カメラマンの言葉で徐々に笑顔が出て来る感じだ・・・
カメラのシャッターを押すたびに“バシャッ!”という音をたててフラッシュが光る・・・最初は何でカサがあるのかと思ったが、ストロボを反射するための物のようだ・・・
「ちょっと髪をさわってみようか・・いいねぇ・・・」
“ピー”という音がするとカメラマンはシャッターを切っている・・・何の音だろう・・・カメラマンの前には白いハレパネが斜めに置いてある・・・光を反射するためのものだろう・・・あごの下が影にならないようにしているらしい・・・
「戸田さん、スタジオに興味があるみたいね。」
急に編集長の佐々木さんに声をかけられてビックリした・・・オレはよほどキョロキョロしていたのだろうか・・・
「・・は・・はぃ・・・こういうところを、実際に見るのは初めてなので・・・」オレは小声で答えた。
「普段はもっと大きなスタジオで撮影するんだけどね、ここは差し込みや、差し換えとかの撮影をするところなのよ。」
「・・・さし・こみ・・ですか・・・?」
「あぁ、差し込みっていうのはね、ぎりぎりに商品が来た時のことで、差し換えは急に商品が変わった時に写真を入れ替えることなの。つまり急ぐ時にここで撮影してすぐに版下作業に回すのよ。」
オレには半分くらいしか意味がわからなかったが、とりあえず急な時に使うスタジオだということなのだろう・・・
「・・いいよ・・可愛いねぇ・・もうちょと弾んだ感じでいってみようか・・・そう・・いいねぇ・・」
佐倉がもうひとりの知らないコと撮影してるのを見てると、ほんとカメラマンの言葉は大きいと思う・・・佐倉もずいぶん緊張がとれて良い表情になってきた・・・しかし・・番号順に撮影してたらオレだけ残ってしまった・・・どうするんだろう・・・そんな事を考えているうちに、ふたりの撮影が終った・・・
「あっ、佐倉さんはそのまま残ってて!戸田さんと撮影するから!」
編集長がそう言ったのでオレはホッとした・・・ひとりで撮影なんてことになったら恥ずかしくてちびってしまいそうだ・・・
オレは佐倉の横に並ぶと緊張で足がガクガクした・・・すでに撮影している佐倉の落ちつきが頼もしい・・・
「じゃぁ、えっと・・戸田さんと佐倉さんだっけ、もっとくっついてみようか・・・」
オレが佐倉に引っ付くとシャッターが切られ3つのストロボが一斉に光る・・・目の前が緑色の光に覆われてすぐには目が見えない・・・
「ふたりで片足をあげてみよう・・・1・2・3・ピョン!・・・いいね可愛いよ!」
何度もストロボの光りに照らされていると、だんだん頭がクラクラしてきた・・・カメラマンさんに矢継ぎ早に色んなポーズを要求されると、自然にその言葉に体が反応してしまう・・・これじゃ緊張なんかしてる余裕もないってもんだ・・・
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撮影が終っても、オレはまだ頭がボーッとしていた。
「それじゃ、今後仕事が入ったら順次連絡しますので、よろしくお願いします。その日が都合悪かったら断ってもらっていいからね。すぐ他のコに都合聞くから・・・」
オレと佐倉も他の女の子たちと一緒に帰ろうとしていると、編集長に呼び止められた。
「戸田さんと佐倉さん、まだ時間いいかしら?」
「あ・・はぃ・・・?」
「ちょうどさっき言った、差し込みが入ってるのよ。ふたりにお願いしようと思って。」
「えぇ?!・・わたしたちが・・・?」
オレは佐倉と顔を見合わせた・・・あまり急なことで何も考えられない・・・
「いいでしょう?」
「あっ・・は・・はぃ・・・」
オレは思わず返事をしていた・・・
「ケイコちゃん!このコたちで例のやつ撮影するから、えっと・・佐倉さんにパンツの方、戸田さんはどことなく男の子っぽい感じもあるから、逆にガーリーな方がいいんじゃないかな。」
「髪はどうします?下ろしますか?」
「そうね、その方がいいかも。じゃそれでお願い。」
なんかすごいスピードで会話が行われていて、オレには何が起こっているのかついていけない・・・
「カネちゃん、衣装着終った方からメイクしてあげて!」
「はい。」
カネちゃんと呼ばれたのは背が小さな丸顔の女の人だった・・・メイクさんらしいが若いのか歳とってるのか良くわからない・・・ニキビがたくさんあるところを見ると若いのだろうか・・・
オレたちは慌ただしく衣装を渡され別々の更衣室に押し込まれてしまった・・・
「ど・・どうしよう・・・」
渡された服は袖が膨らんだ赤いTシャツ・・・スパンコールでアルファベットの文字が書いてある・・・結構ハデでオレがあまり着たことないタイプの服だ・・・スカートは・・・グレーのフレアーが3段になり、それぞれのフレアーの下の部分が銀色の線で縁取られている・・・かなりのミニだ・・・こんな服レナなら似合いそうだけど、オレにはちょっとどうかと思う・・・
だが、こうなってしまっては着るしかない・・・それにもし似合わなければ、オレたちをモデルに使うのを諦めてくれるかもしれないし・・・オレは意を決して着替えにかかった。
一応、着てみたものの、更衣室の中の鏡に映った自分を見てみても、似合っているという自信はなかった・・・なんとなくデザインがレナが買った服に似てる気がしたから、かあさんに言われたのを思い出しながら整えてみた(27話参照)・・・こういう服を着る時は、胸を張って堂々としてなくちゃいけないと言われたっけ・・・しかし、問題があった・・・けっこう胸元が下の方まで開いてるから、家から着けてきたフルカップのブラではどうしても見えてしまうのだ・・・どうせ付き添いだからと学校で着けているブラをしてきていた・・・こんなことならハーフカップのオシャレなやつにしとけば良かった・・・
「戸田さん、着替えた?」
ケイコさんが呼んでいる・・・
「あ、はぃ・・あの・・・」
オレは更衣室のカーテンを少し開けて顔だけ出した・・・
「・・あの・・ちょっと・・下着が・・・」
「ん? どうしたの?」
ケイコさんがカーテンのすき間からのぞいた・・・
「あ、ブラが見えちゃうのか・・・えっと、戸田さんサイズはいくつ?」
「・・・70の・・B・・です・・・」
オレはなんだか恥ずかしくてうつむいた・・・モデルをやるのにBカップなんて・・・
「どうしたの?」
「あっ・・わたし・・胸が小さいから・・・」
「なんだ、そんなこと気にしてたの?」
ケイコさんは笑って言った。
「だ・・だって・・・モデルさんって・・大きいんでしょう・・・?」
「そんなことないわ。あまり大きいと向かないくらい、Bカップの人も多いわよ。」
「・・そ・・そうなんですか・・・?」
オレはてっきりモデルの人は胸も大きくて立派なのだと思い込んでいた・・・そうでもないのだろうか・・・?
「ちょっと待ってて。」
ケイコさんはどこかへ行くと、しばらくしてハーフカップのブラジャーを持って来てくれた。
「こういうのを着けると大きく見えるわよ。けっこうグラビアのコなんかも、こういうブラを着けて大きく見せてるのよ。」
手渡されたブラを見ると、下の方のパットがずいぶん厚くなっている・・・
「上脱いでみて、着けてあげるから。」
オレは嫌がる間もなく、カーテンの中に入ってきたケイコさんにTシャツを脱がされ、ブラも外されてしまった・・・
「あっ・・・!」
オレは思わず両手で胸を隠した・・・オレは他人に胸を見せたことなんかない・・・それに・・・今は膨らんでいるとはいえ、オレの胸が女の子の胸と同じかどうか自信がなかった・・・しかしケイコさんは全然気にしてないようだ・・・
「はい、手を通して・・・」
オレがおずおずと肩ヒモに両手を通すと、背中でホックを留めてくれた。
「ちょっとゴメンね。」
ケイコさんはそう言うと、いきなりブラの中に手を突っ込んできた・・・
「イテッ・・!」
オレの脇の肉ごとグイッと胸を引っ張って、無理矢理カップの中に収めた。オレは痛さに思わず男っぽい言葉を使ってしまい、慌てて口をつぐんだ・・・
「ゴメンゴメン、痛かった?」
ケイコさんはそう言いながら、もう片方の胸も同様に無理矢理カップに捻じ込むようにして押し込んだ・・・オレもこんどは何とか我慢した・・・
「どう?こういうブラを着けるとDカップくらいに見えるでしょう?」
そう言われて、オレは自分の胸を見て驚いた・・・オレの胸にしっかりと谷間が出来ている・・・たしかにDカップくらいに見えるかもしれない・・・オレはこんな便利なブラがあるなんて知らなかった・・・そういえばグラビアアイドルの水着の写真なんかは、普段より胸が大きく見えるがこういう底上げの水着なのだろうか?
あらためてTシャツを着てみると、こんどはちゃんとブラは隠れていた・・・それに大きく開いた胸元にくっきりと見える谷間のせいで、やけに色っぽくみえる・・・なんだか急に豊満になったみたいで、胸だけ見ると本当に女性のようだ・・・
それにしても乱暴に引き寄せられた胸がジンジンしている・・・オレは自分の身体とはいえ、胸なんかはどうしても怖ごわ扱ってしまうから、こんなに強く掴んだことなんか無かったのだ・・・ましてや他人に掴まれたことなんかあるハズもない・・・
オレが更衣室を出ると、すぐに化粧に取りかかる・・・佐倉の姿が見えないがオレがブラの事で手間取ってる間に終ったのだろうか?・・・オレも手早く化粧され、髪も下ろしてゆるく巻かれていく・・・なんかドキドキする・・・鏡の中のオレがどんどん女っぽくなっていくようだ・・・こんなオレ見たことない・・・恥ずかしい・・・けど・・・少し嬉しいような気もする・・・オレだって・・女の子なんだからキレイになって嬉しくないハズがない・・・
「戸田さんは足のサイズはいくつ?」
「あ・・えっと・・25です・・・」
「けっこう大きいのね。25cmのあったかな・・・」
「あ・・でも・・24.5でも履けるかも・・・」
オレはさすがに女の子より足が大きい・・・24.5cmだとギリギリくらいだ・・・24cmだと・・・入らなくはないかもしれないが、指が曲がってしまう・・・
「ちょっと、これ履いてみて。」
オレはケイコさんが持ってきてくれた短いブーツ?を履いてみた・・・かなりキツイが履けなくはない・・・ずっと履いているなら問題だけど、撮影の間くらいは何とかなりそうだった。
「うん、24cmだけど何とかなりそうね。ごめんね、こんど戸田さんの撮影の時は大きめのを用意しとくから。」
「はぃ・・・」
オレとしては、わざわざ大きいのを用意するのは面倒だからと、呼ばれない方が有り難いくらいなんだけど・・・
意外にヒールが細くてグラグラする・・・こんなの履いてこけたら足首を捻挫しそうだ・・・オレは用心してつい立てを廻り込んでスタジオの方へ行った。
スタジオでは、すでに佐倉の撮影が始まっていた。佐倉は一人でちょっと頼りなさげだ・・・でも撮影用の衣装を着て、ちゃんと化粧した佐倉はすごく可愛くなっている。白いパンツに紺のTシャツ、髪はアップにして帽子を被っている・・・ボーイッシュな恰好だが、細身の佐倉に意外に合ってる! さすがプロの手にかかると、いつもの佐倉とは全然違う魅力が出ている。
「じゃあ戸田さんも入ってみようか。」
編集長の佐々木さんに言われてオレも佐倉の横に入った・・・
「わぁ、有希すっごくきれい!」
佐倉にそんなこと言われるとオレはドギマギしてしまう・・・
「そ・・そんなこと無いって・・・千里の方が可愛いわよ・・・」
「千里ちゃんはポケットに片手入れて・・・有希ちゃんは彼女みたいに腕からめてみようか・・・」
カメラマンに言われてオレは佐倉のポケットに入れた腕にしがみついた・・・
「いいねぇ!もうちょとくっ付いてみようか・・・」
オレと佐倉は言われたようにするしかない・・・そうする間にもバンバンシャッターが切られてストロボが光る・・・
「次はコートお願い。」
佐々木さんが言うとスタイリストのケイコさんがコートを持ってきた・・・なんとアニマル柄だ・・・佐倉はヒョウ柄の短いコート・・・オレはダルメシアン柄?のハーフコートを着せられた・・・いままで気づかなかったが、どうやら秋モノらしい・・・さすがに雑誌の現場は実際の季節よりずっと早いようだ・・・
佐倉と二人の撮影が済むと、こんどはオレ一人の撮影だ・・・オレはこんなに沢山写すとは思いもしなかった・・・
「有希ちゃん、こんどはちょっと足開いてカッコよく立ってみて・・・」
カメラマンに言われたように少し外股で男っぽい立ち方をしてみた・・・
「おっ!いいねぇ・・・腰に手をあててレンズを見て・・・そう!いいよ!」
オレがどっちの手か判らず“こっち?こっち?”と片手づつ手を変えると、そのつどカメラマンはシャッターを切った・・・どうやらあまり深く考えないでいいみたいだ・・・違えばまた何か言うだろう・・・オレはだんだん気持ちが落ちついてきた・・・なんだか撮影って楽しいかも・・・オレもいっぱしのモデルになったような気がしてくる・・・ほんとは素人同然だけど・・・
結局オレたちはコートやブーツを変えながら、かなりの枚数撮影した。
「有希・・大変・・・!」
佐倉に言われて初めて時間が7時になってる事に気が付いた・・・オレもすっかり夕飯の仕度があるのを忘れてた! こんなに時間が経っているとは思いもしなかった・・・
「あ、あの・・すみません・・ちょっと電話してきます・・・」
オレはそう言って廊下に出て、かあさんに電話した。
「あっ・・かあさん? ごめんなさい・・夕飯の仕度忘れてた・・・まだ天神なの・・・」
(遅くなりそうなの?)
「う・・うん・・・もう少しかかるかも・・・」
(わかったわ。父さんたちにはピザでもとっとくように言っておくから、心配しなくていいわよ。)
「うん・・ありがとう・・・」
(有希もなるべく早く帰って来なさい。)
「うん・・わかった・・・じゃあね・・・」
オレはそう言って携帯を切った・・・なんか夕飯の仕度をサボッてしまったうえ、嘘をついたような気がして罪悪感を感じてしまう・・・
「千里は?家に連絡しなくて大丈夫?」
「うん・・たぶん・・・」
本当だろうか・・・面接なんて言わずに来てるハズなのに・・・オレは佐々木さんに聞いた。
「あの・・まだ撮影あるんですか?・・・わたしたちもう帰らないと・・・」
「あ、もう終ったわよ。ごめんね、急だったからね。」
「い・・いえ・・・」
オレたちは急いで着替えた・・・出てくると佐倉は化粧を落としてもらっていた・・・そうだ・・佐倉はこのまま帰ったらさすがにまずいだろう・・・オレも落としてもらおうかと思っていると佐々木さんに声をかけられた。
「戸田さん、いま撮影したの今日中に入稿しないといけないんだけど、名前とかどうする?ふたりは本名出してもいいの?」
「・・い・・いや・・それはマズイかも・・・」
オレは学校でも本名じゃない方が良かったかも知れないと思っているのに、誰が見るかわからない雑誌に本名で載るのはさすがにマズイと思う・・・・?!・・・そういえばオレって女の子の姿で雑誌になんか載っていいのか? もしかしたら中学のころの同級生とかも見るかも知れないのに・・・オレはいまごろになって事の重大さに気づいた・・・
「じゃあ、今回はただ高校生とだけ書いておきましょうか?」
「あ・・はぃ・・・あのぉ・・・写真・・・ちょっと見せてもらえませんか・・・?」
とりあえずどんな風に写っているのか見てみないと心配だ・・・オレだとバレバレだとさすがに困る・・・
「いいわよ、いま版下作業してるとこだから見てみたら?」
オレは佐倉がメイクを落としてもらっている間に編集部に行って見せてもらうことにした。
つきあたりの部屋に入ると、数人がパソコンに向かって何かやっている・・・のぞくとオレたちの写真を拡大して切り抜いているところのようだった・・・別の人は画面で文字を打っている・・・これじゃ今さらダメだなんて言える状況じゃなさそうだ・・・
「ちょっとこのコに写真見せてあげて。」
すると今切り抜きの作業をしていた人が、画面に全身が入るように縮小して見せてくれた。
オレはそれを見てホッと胸をなでおろした・・・プロのメイクとスタイリストのおかげで全然オレたちに見えない! これならクラスメイトでも気づかないだろう・・・素人がこんなにきれいに写るものかと驚いた・・・これじゃあ、誰だってモデルになれそうだ。
オレが安心して戻ると佐倉が待っていた。
「有希どうだった?」
「うん・・きれいに撮れてたよ。全然わたしたちじゃないみたいだった。」
時計を見るともう7時半になっている・・・これじゃ家に帰ったら8時を過ぎそうだ・・・オレたちは編集長さんやカメラマンさんたちに挨拶をしてから急いで駅に向かった。




