表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/11

第9話 イケメンチート


「お帰りなさい。どうだった?」


「大成功だよ! こんなにお金を手に入れることができた!」


 フリーマーケットで思った以上に商品が売れて、自慢するように稼いだお金をユウカに見せる。今日稼げたお金はなんと3万5000円ほどだ。これまでどんなに考えても、元手と身分証がなくて日本でお金を稼ぐ方法が見つからなかったこともあって、つい興奮してしまった。


 午後から参加したが、今日が日本では土曜日だったこともあって、結構なお客さんがいてくれた。もうあとがない状況ということもあって、立ちながら必死に呼び込みをしたところ、多くのお客さんが商品を購入してくれた。ユウカが選んでくれた商品が良かったのと、値段を安めに設定したのが今回の勝因だったに違いない。


 それともうひとつ。お客さんの多くは女性でチラチラと俺の顔を見ていた人も多かったし、俺目当てのお客さんもいたのかもしれない。これまでは女性にあんな反応をされたことはなかったので、やはりイケメンチートというものは存在するようだ。


 イケメンの皆さん、今日から俺もそっち側の仲間入りだぜ! ……すみません、ちょっと調子に乗りました。まさかこんなに売れるとは思っていなくて、変なテンションになっているらしい。


「これもユウカのおかげだよ、本当にありがとう!」


「ふふ、役に立ててよかったわ。晩ご飯を用意してあるから、一緒に食べましょう」


「うわっ、いい匂い!」


 今日の晩ご飯は揚げ物のようで、揚げ物特有の良い香りが鼻をくすぐる。唐揚げとサラダ、スープ、ご飯が皿の上に乗っている。これまでの安い黒パンや固くて塩辛い干し肉の食生活から考えたら天と地の差だ。


「「いただきます」」


 食材や作ってくれたユウカへの感謝の気持ちを込めながら手を合わせる。異世界にいただきますをする文化はないけれど、日本人として忘れてはならない。


「うまっ! すごいな、とってもおいしいよ。こっちのスープは深い味わいだし、唐揚げはとってもジューシーだ。これはなんの肉なの?」


 カリッと小気味よく砕ける衣の奥から、閉じ込められていたジューシーな肉汁がジュワッと溢れ出す。醤油と生姜、ニンニクの風味が口いっぱいに広がり、濃厚な旨味が舌を包み込む。


 久しぶりに食べた揚げ物の味は最高だった。やはりカロリーは正義である。


「Aランク相当のコカトリスという魔物ね。視線を合わせると少しずつ石化してしまうから、鏡越しに視界を確保するか、視線を合わせないように高速で動いて仕留めるの。少し不気味な姿をしているけれど、お肉はとってもおいしいのよ」


「さっ、さすが異世界……」


 そんな恐ろしい魔物まで存在するとは、この世界は本当に物騒である。


「こっちの世界の魔物のお肉はとってもおいしいけれど、お米だけはどうにもならなかったの。カケルが日本のお米を買ってきてくれたから、明日からはもっとおいしいご飯を食べることができわ」


「確かに日本の米と比べると粘り気が少なくて甘みがないかな」


 もしもフリーマーケットである程度お金を稼ぐことができたら、必要な物を購入してほしいと頼まれており、そのリストの中には米があった。ユウカも久しぶりに日本の米を見て嬉しそうにしていたな。ようやく俺の固有スキルを使って、日本の物を楽しむことができそうだ。


「やっぱり食器やカトラリーが人気ありそうね。こっちのデザインが日本だと古い感じで逆に好まれるのかもしれないわ」


 晩ご飯を楽しんだあとは明日のことについて相談する。俺が日本でフリーマーケットへ行っている間にユウカがまた市場で様々な商品を追加で仕入れてくれたので、これもフリーマーケットで販売する予定だ。


 今日売れた商品の分析をすると、食器やカトラリーが多く売れていた。参加している人は幅広い年齢層だったが、特に30代くらいの年齢層が多かったな。


 数人はガチで商品を選んでおり、そのうちの一人は大量に商品を購入してくれた。おそらくネットで販売したり、どこかのお店で売ると思うのだが、今の俺からしたらありがたい。今日の売上の三分の一ほどがその人のおかげである。


「指輪やネックレスは若い人に人気があったけれど、若い人自体が少し少なかったかな。でも安くてちゃんとした物だから、結構売れてくれたよ」


「こっちの世界の職人の手作りだから、普通の物よりも目に留まるのかもしれないわね」


「そうかも。あと女子大生のグループに囲まれて困っちゃったよ。一緒に写真を撮ってと頼まれたりしてさ。いやあ、まさか転生してこんなモテるようになるなんて――」


「………………」


 突如ユウカから放たれた謎のプレッシャーにより、俺の言葉が止まる。顔はすごく良い笑顔なのに後ろにドス黒いオーラのようなものが見える。


 ……今のは俺の失言だった。ユウカはこれだけ色々と手伝ってくれたというのに、俺は遊び気分だったのかと思われてしまったのかもしれない。


「も、もちろんその人たちもたくさん買ってくれたんだ。おかげで頼まれていた物も全部買ってこられたよ」


「……そう」


「ソーラーパネル付きのバッテリーもあるから、こっちの世界でも充電ができる。飲み物やお菓子なんかも楽しんで」


「ええ、ありがとうね」


 今回得た利益でお米の他にもいろいろと買ってきた。明日はさらに稼げそうだし、自分の欲しい物を買う余裕もできそうである。


 ……なんとかある程度話を誤魔化せたか。


「明日は日曜日だから、別の場所のフリーマーケットを予約しておいた。午前中だし、今日よりも大きめの公園だからもっと売れてくれると思うよ」


 調べてみるとフリーマーケットは午前中や開始時間直後の方がお客さんは多いらしい。明日は今日以上の売り上げが期待できそうだ。


 そして明日の夜にはもう一度ユウカの家を訪ねる予定だ。昨日春華ちゃんにエリクサーを飲ませたから、今日か明日には病院に行って詳しい結果が出ているはず。問題なさそうなら今回はちゃんと両親とも話すつもりだ。一応ユウカの写真や動画は持っていくが、なにせ異世界だから信じてくれるかが難しいところである。






 ◆ ◇ ◆ ◇ ◆


「いやあ~今日はすごかった! 売り上げも昨日の倍近くいったよ」


「よかったわ」


 翌日の日曜日。今日は朝からフリーマーケットで商品を販売していたこともあって、結構な金額を稼げた。どうやらフリーマーケットには開店と同時に掘り出し物を探す人がいるようで、朝から結構な人が商品を購入してくれた。


 やはり異世界で購入してきた物はこっちではある程度割高で売れるらしい。昨日と今日である程度資金を得ることができたし、今度からもう少し高値で売っても良さそうだ。


 そして昨日購入した人もちらほらと見かけたので、フリーマーケットを頻繁に利用する人もいるらしい。毎回フリーマーケットに参加しているのもおかしいし、今後は定期的に期間を空けつつ、少し離れたフリーマーケットの会場に参加したほうがいいかもしれない。その辺りは改めて考えよう。


「それじゃあ行ってくる」


「うん。カケル、改めてお願い!」


 今日はこれからが本番だ。いろいろと必要な物を持って、固有スキルで日本へ移動する。


 視界が屋敷から切り替わり、上を見ると美しい夕焼け空が目に入ってきた。前回ユウカの家へやってきた時に人の目の着かない場所を確認しておいたので、家の裏庭にある壁際に転移してきた。ここなら他の人からは見えない。


 準備を整えつつ、家の正面に回ってインターホンを押す。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
良い品物と、イケメンが売ることで、無事に稼げた!そして、鈍いwモテた話は禁句ですよw 次回、ドキドキ!再びの訪問!大丈夫だろうか…。イザとなったら、目の前で転移(異世界と日本)を見せることに?次回も楽…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ