表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/11

第7話 戦力強化と危険な固有スキル


「……その人は祝福者ってことだよな?」


「ええ、彼女は転生者で、私と同じように日本に大きな未練があって、私よりも長く日本へ帰る方法を探していたわ。彼女とはずっと定期的に連絡を取っていて、お互いに何か情報を見つけたら連絡する約束をしているの。もちろん、カケルが断るのなら絶対に言わないわ」


「大きな未練か……」


 いきなりこの異世界へ転移したり、転生したりする者は多いという。ユウカのように大きな未練を残したまま日本を去った者も多いだろう。


 ユウカ以上に長い間日本へ帰る方法を探しているのなら、きっとその人にも大きな心残りがあるに違いない。


「うん、俺の固有スキルで春華ちゃんみたいに誰かを助けられるのなら喜んで力を貸すよ」


「カケル……」


 ユウカのように今辛い思いをしている人がいて、それを俺の力で助けられるのなら、できるだけ力になってあげたい。もちろんその人を日本へ帰還させることができるわけじゃないから、俺のできることには限界があるけれど。


「それにその人のためだけじゃない。俺自身の自衛のためにも協力者は増やしておきたいんだ」


「……カケルの護衛には私がいるわ」


 むっとした表情で護衛は自分がいるから大丈夫だと言いたげなユウカ。確かに『剣聖』という固有スキルはめちゃくちゃ強そうだし、Sランク冒険者という称号からも腕に自信があることはわかる。


「もちろんユウカの力を疑っているわけじゃない。でもこの異世界に祝福者はいっぱいいるみたいだし、祝福者たちが10人くらい徒党を組んで奇襲してきて、しかも俺を守りながらだとさすがに無理じゃない?」


「それは……普通の祝福者レベルなら大丈夫だけれど、強い固有スキルを持っている祝福者が5人以上いたら厳しいと思うわ」


 ……逆に4人までなら大丈夫なのか。『剣聖』ってどう考えても最上位の固有スキルっぽいし、ユウカはこれまでがむしゃらに戦ってきたみたいだからすごく強そうだ。


「そうなると、俺も事前に味方を増やしておきたいんだ。その人に力を貸す代わりに、なにかあったら俺にも協力してほしいって条件かな」


「……そうね、今はカケルの安全が第一だわ。それに彼女の固有スキルなら、間違いなくカケルの力になってくれるはず」


 どうやらその祝福者も強力な固有スキルを持っているらしい。……本当にこの異世界にはチートスキルが溢れているようだ。


「それに怖いのは祝福者の集団だけじゃない。もうひとつ危険なのは『強奪』みたいな祝福者の固有スキルを奪う固有スキルかな。これまでにそういう固有スキルを持っていた人はいる?」


「強奪……聞いたことがないわね。でもそんな固有スキルを持っていたら、奪った固有スキルを自分の固有スキルと伝えて、他人には秘密にしていると思う」


「ああ、きっとそうしているだろうな。まあ、そもそもそんな強力な固有スキルがあるのかすらわからないけれど」


 某漫画の団長みたいな固有スキルがもしかしたら存在するかもしれない。もしもそんな固有スキルを持っているやつがいたら、間違いなく俺の固有スキルは狙われるだろう。


「そういったことに備える意味でも、協力者は増やしておいた方がいい。お互いに助け合う同盟みたいなものかな。それと、ユウカは俺に本名を教えてくれたけれど、初めて出会う人に日本の本名は教えない方がいいと思う」


「えっ、どうして?」


「もちろん俺は絶対にしないけれど、日本に帰れる固有スキルがある場合、名前を調べて日本にいる家族や友人などを人質にとることができてしまうんだ。そうなってしまえば、最強の固有スキルを持っている人でも従わせることができる」


「っ!?」


 転移だった場合は失踪届なんかが出されている可能性は高いし、本名からその家族を調べることもできてしまう。


 こっちでどんな最強の力を持っていたとしても、日本にいる家族を殺すと脅迫されてしまえば人によっては従わざるを得ないかもしれない。そういった意味でも俺の固有スキルは他の人の手に渡ると危険なんだよな。


「名前はともかく苗字だけは偽名を使った方がいいかもしれない。あっ、ユウカに教えた俺の名前は本名だから、他の人には秘密にしておいてくれると助かるよ」


「わかったわ。私とカケルだけの秘密ね!」


 そう言いながら微笑んだ彼女の笑顔に思わずドキッとしてしまった。出会った時の無表情とのギャップが随分とあるものだ。






 ◆ ◇ ◆ ◇ ◆


「う、うまい……。こんなに柔らかくて真っ白なパンが食べられるなんて!」


 この真っ白でふんわりとしたパンは俺がこれまでこの異世界で食べてきた、ぼそぼそとした食感で固くて苦みのする黒いパンとは雲泥の差があった。それに加えて砂糖の入った甘いジャム。


 どちらも日本では当たり前の物であったけれど、こちらの世界では高価な代物だ。新鮮なサラダに目玉焼きまで付いているなんて最高の朝食だ!


「ふふっ、大げさね。私もこの世界へ転移してきて、こんなにぐっすりと寝られたのは初めてよ。本当にカケルのおかげだわ」


「お互いさまだよ」


 長年の心残りが解消されたおかげか、ぐっすりと眠れたようだ。俺の方もユウカが作ってくれたおいしい朝食を味わうことができた。


 昨日ユウカから聞いていた祝福者についてはすでに手紙を送っている。俺が日本帰還の固有スキルを持っていることまでは伝えずに大きな手掛かりがあったという内容だ。馬車などで移動してこの街にくるまで少し時間がかかるらしい。


 さて、今日は昼から日本のフリーマーケットに参加する予定だ。そのため早朝からこの街の市場へいき、日本で売れそうな商品を仕入れに行く。


 日本のフリーマーケットで売れそうな物だと、どんな物があるだろうな?


 ……それによく考えたら、女性と一緒に街へ買い物に行くなんて初めてのことだ。なんだか少し緊張してきたぞ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ