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第6話 日本円の稼ぎ方


 おいしい晩ご飯をいただき、改めて今後のことを話し合う。まずは春華ちゃんの件についてだ。


「それじゃあ、明後日にもう一度ユウカの実家に行って、妹さんの容態を確認しつつ、ある程度の現状を話すってことで」


「ええ。何度も悪いけれど、よろしくお願いします」


 一応エリクサーは無事に効いたようだが、念のため数日後にもう一度確認をしに行く。今回はエリクサーでの治療が上手くいかなかった時のことも考えて母親を魔道具で眠らせたが、次回はこちらの世界のこともある程度話そうと思っている。


 異世界のことを元の世界の人に話すのは面倒事を呼ぶ気がするけれど、これからしばらく護衛をしてもらうユウカの家族くらいには話してもいいだろう。


 スマホでユウカの動画を撮って持っていけば、日本には行けないけれど、元気な姿を見せることはできる。


「あとはどうやったら日本でお金を稼げるかだ。ユウカの家族に協力してもらって金を買い取ってもらうこともできそうだけれど、やりすぎるとどこかから目を付けられそうだし、可能なら自力で稼げる手段を見つけておきたいな」


「こちらの世界の物ならカケルのためにいくらでも用意するけれど、日本のお金はちょっと難しいわね……」


「……さすがに全部ユウカに頼るのは男として情けないんだよなあ。とはいえ最初に言った通り、今は何も持っていないからしばらくはお願いします」


 いくらなんでも完全にヒモのような生活はまずいので、ある程度自分の力でお金を稼げるようになりたい。


「カケルは私と妹の恩人なんだから、いくらでも私を頼ってね! それに私もできるなら日本の物がほしいわ」


 ちらりと食べ終わったカップラーメンとペットボトルのコーラを見るユウカ。


 こっちの異世界で暮らしていても、日本の食べ物や便利な物を手に入れたくなるのだろう。それにはとにかく日本のお金が必要だ。


「日本だと何かを売るにしても身分証は必要だし、勝手に店を出したら犯罪なのよね……」


「そうなんだよ。転生だと日本で物を売ることができないんだ」


 こっちの世界も商売をするには商業ギルドに登録をして、市場の屋台なんかを借りる必要はあるが、こっそりと道端で物を売っている人もいる。だが、日本では勝手に道端で物を売っていたら違反となる。


 最悪の場合は俺の親に転生のことを話して名義を貸してもらうこともできるが、できればそれはしたくない。すでに俺の身体は以前の俺でもないし、家族はこっそりと見守れればそれで十分だ。


「……もしかすると、フリーマーケットなら大丈夫かもしれないわね」


「フリーマーケットっていうと、稀にでっかい公園とかでやってるやつ?」


「ううん、そういう大きなものじゃなくて、商店街や学校、小さな公園でやっている方。それなら出店料も千円ちょっとくらいだったし、身分証の提示も必要なかったはずだわ」


「おおっ、それはすごい!」


 ユウカの話では友人が何度かフリーマーケットに参加していたらしく、あまり大きな物は駄目だが、自分で作ったアクセサリーや古くなった服や小物なんかを売ることができるらしい。


 しかも出店料はとても安く、当日参加が可能な場所もあり、なにより身分証の提示が必要ないようだ。まさに今の俺にピッタリの稼ぎ方だ!


「すぐに条件に合う場所を探してみるよ」


「ええ、私も日本で売れそうな商品を考えてみるわ」


 日本でお金を稼げる希望が出てきた。そうか、フリーマーケットとは盲点だったな。お金を稼ぐ方法さえ見つかれば、ようやく日本の物を手に入れることができる。


 そうすればある程度自分でもお金を稼ぐことができそうだ。


「お米とかはこっちにもあるんだけれど、やっぱりどうしても味が違うのよね。お寿司とかが食べられるのはとっても楽しみだわ!」


「ああ。元日本人として米の味は大事だよな。それにしても、日本の料理のパチものみたいな店がいっぱいあったのには驚いたよ」


 この世界にも米は存在しているが、タイ米みたいな長い米で、日本の物とは異なっている。ラーメンや寿司といった日本と似たような店があるのだが、到底日本のものには敵わない。異世界に来て初めてわかる食生活の大切さだな。


 まあ俺の方はというと、それ以前の問題でまずくて固い黒パンなどの質素な食生活だった……。この街へ移動するための馬車代を稼ぐために食費は最低限だったからな。


 さっきユウカにご馳走してもらったドラゴンステーキは本当に胃袋に沁みたぞ。


「……そう考えると、やっぱりカケルの固有スキルは重宝されそうね。それこそ、他の祝福者から狙われてもおかしくないわ。カケルは命を懸けて私が守るけれど!」


「さすがに命までは懸けないでいいからね……。でも、やっぱり祝福者同士で戦ったりすることはあるの?」


「私は本気の争いになったことはなかったけれど、戦いそうになった時はあったし、昔は国を含めた大きな争いも頻繁にあったみたいよ。祝福者同士の戦いでできた谷や湖なんかもあるほどね」


「マジか……」


 地形を変えるほどのチートスキルの争いか……。想像したくもないな。


「下手をするとカケルを巡って戦争が起きてもおかしくないわ」


「その可能性もあるよなあ。やっぱりできる限り俺の固有スキルは秘密にしておきたい」


 俺を巡って戦争とかは絶対に嫌だぞ。特に祝福者同士の戦闘とかとんでもないことになりそうだ。


「……カケルの固有スキルのことを秘密にしておきたいのは百も承知だけれど、相談があるの。ある人にだけカケルのことを話してもいい?」


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