第66話 制限解除
「なんにせよ、これで日本のお金を気にせず使えるようになったのは大きいね。みんなもいろいろと欲しいものがあるだろうし、いろいろと買いそろえようか」
『はいはい! カケルくん、漫画の他にアニメとゲームも欲しいです!』
「……レインは相変わらずだな。漫画は了解だけれど、アニメとゲームは電源の問題もあるし、どうしよう? その辺りも含めて夜ノ宮さんに相談してみるか」
真っ先に声を上げたのは予想通りレインだった。欲しい物の内容も予想通りだ。
さすがに王城へソーラーパネルを設置するわけにもいかないし、ポータブル電源を充電してハヤテに運んでもらう感じになるかな。ただ、漫画なら他の人に見られても言い訳ができるかもしれないが、アニメやゲームは明らかに魔道具では通らない気がする。
レインなら大丈夫だとは思うけれど、好きなものに熱中している時は無防備になるものだから、ギュスターさんにも注意してもらうよう伝えておこう。
「身分証のおかげで発電機用の灯油も買えるようになったし、家電を屋敷の中に設置してもいいかもしれないね。電子レンジと炊飯器は購入しよう」
「ありがとう、カケル」
「カケル様、私もお願いします」
ユウカとアオイの希望も聞いておく。
本当にお金と身分証が手に入ると、日本での自由度が一気に上がるな。最初に俺の存在がバレた時にはどうなることかと思ったけれど、結果的によい取引相手に恵まれたようでなによりだ。
「ありがとうございました」
必要だったスマホを契約し、店を出る。用意してもらった免許証により、問題なくスマホを契約することができた。夜ノ宮さんと連絡を取る時はユウカのスマホではなくこっちを使う。
連絡先には夜ノ宮さんからもらった電話番号とメールアドレスを登録しておいた。今後はスマホの電波から俺の位置を捕捉することもできそうだし、居場所を知られたくない時は電源を切っておいた方がいいかもしれない。
「あとはいろんな買い物か」
続けて秋葉原へ移動し、まずは先日購入した監視カメラと同じ物を複数購入した。無事に異世界でも監視カメラが使えることもわかったので、屋敷の正面だけでなく他の場所にも設置しておこう。
そのまま秋葉原を回って、レインとアオイが希望していた漫画を購入していく。古くて手に入らない漫画については夜ノ宮さんに任せることとした。クレジットカードがあるからネットで注文をしてコンビニなどで受け取るということも可能になったのだが、ポチポチと選んでいくのも大変なので、リストを渡してまとめてお願いするとしよう。
続けて秋葉原から場所を移動して家電量販店へ行き、炊飯器と電子レンジを購入する。秋葉原付近は監視カメラも多く、購入した家電をマジックバッグに入れるところを見られたりしたら面倒だ。夜ノ宮さんにはこれ以上俺のことを探らないように伝えているけれど、念のためだ。
ソーラーパネルについては予算的に購入できるようになったけれど、あれほど大きな物を持ち運びつつ異世界へ持って帰ると目立ってしまうので、結局発電機を夜ノ宮さんに頼むことにした。アオイの認識阻害魔法があってもソーラーパネルから祝福者にバレる可能性はあるし、屋敷の二階のベランダなどで発電するのがいいかもしれない。
「最後に夜ノ宮さんに必要な物をメールしてと……うわっ、もう返信がきた」
新しく購入したスマホで夜ノ宮さんから聞いた連絡先にメールを送る。社会人的な定型文での挨拶から始まり、こちらが必要な物をリストにして送ると、今日中には用意すると連絡が入った。
先日の身分証や大金を1日で用意してくれたことを考えると、こういった物はすぐに手に入るのかもしれない。
この辺りの物が手に入れば、異世界での生活が今まで以上に快適になるので楽しみだ。
「す、すごいですね……」
「久しぶりに日本の物をたくさん見たわ……」
「うん、調子に乗ってつい買いすぎたみたいだ」
屋敷へ戻り、購入してきた物をマジックバッグから取り出してみると、結構な量の日本の物を購入してきたようで、居間の中がいっぱいになってしまった。
これまでフリーマーケットでコツコツお金を稼いできたわけだが、一気にお金の心配がなくなったのと、身分証やクレジットカードなどを手に入れたことで、制限がすべてなくなったからな。つい、欲しいものをいろいろと買いすぎてしまった。
「電源の発電機をISEOの人たちが明日までに用意してくれるから、家電を使うのはそれからか。マジックバッグに入れておけば保存できるから、ご飯やお菓子もいろんなものを買ってきたよ」
まずは頼まれていた炊飯器に電子レンジ、大量の漫画、監視カメラ、ミルクティーなどの飲み物やお菓子などが広がっている。少しだけここが異世界であることを忘れてしまいそうだ。
そして今日の晩ご飯としてチェーン店のハンバーガー、牛丼、中華料理などを持ち帰りで購入してきてある。




