第45話 緊急事態
【お知らせ】
いつも拙作をお読みいただき、誠にありがとうございます(*ᴗˬᴗ)⁾⁾
この度、こちらの作品の書籍化が決定しました!
これほど早く書籍化が決まったのは作品を応援してくれた読者の皆様のおかげです、本当にありがとうございますm(_ _)m
レーベルや発売時期などは後ほどお知らせいたします。
今後もカケルたちの物語を楽しんでいただけますと幸いです!
「クルック―!」
「おっ、ちゃんと止まれているな、ハヤテ」
「やっぱりこの子は賢いわね」
「ハヤテはいい子」
屋敷の二階のベランダへ行くと、そこには日本のペットショップで購入してきた止まり木に留まっているハヤテがいた。
みんなでハヤテを出迎えて、一緒に居間まで移動する。ハヤテに水とエサをあげつつ、足に固定されているマジックバッグを取り外して中身を確認した。
「……水晶かな? なんでこんな物が?」
マジックバッグの中に入っていたのはフリーマーケットで売る商品ではなく、レインからの手紙でもなく、透明な30センチメートルほどの綺麗な丸い水晶だった。日本で占い師とか持っているイメージのやつだな。
「おそらくこれは魔道具。魔力を通してみる」
アオイがそう判断する。ユウカは若干警戒をしつつ、アオイが水晶に手をかざして魔力を注ぎ込むと、水晶が光り輝いた。
『もしもし、聞こえる?』
「レイン!? 聞こえるよ」
水晶が光り輝き、そこからレインの声がした。王都にいるはずの彼の声がなぜ?
『こっちも聞こえるよ。突然ごめんね、これはちょっと特別な魔道具で電話みたいに対となるこの魔道具に声を繋げることができるんだ』
「……そんなすごい魔道具初めて見た。どういう構造なのかすごく気になる。分解して中身を確かめてみたい」
『アオイちゃん、ストップ、ストップ! これは国宝級の魔道具だから、さすがにやめて! これを壊したら、いくら王子の僕でも怒られるくらいじゃすまないからさ!』
「残念」
アオイは本気で残念そうな表情を浮かべている。魔道具を作れる人にとってはこの魔道具の仕組みが気になるのだろう。
電波などもないのに、王都からベルリアの街までの長い距離を無視してリアルタイムに通話ができるとは本当にすごい魔道具だ。国宝級の魔道具というのも十分に頷ける。
「どうしたの、もしかして緊急事態?」
そしてそんな国宝級の魔道具を突然送ってくるとはなにかあったのかもしれない。
もしかすると、調べてもらっていた祝福者になにかあったのだろうか?
『うん、緊急事態と言えばちょっと緊急事態でさ。カケルくんに確認したいことがあって、スターピジョンにをこれを持たせたんだよ。カケルくんがベルリアの街へ行く前にいたのはソラバルの街だったよね?』
「ああ」
レインやみんなには俺のことについてはすでに話している。この異世界へ転生してきた時、俺はソラバルの街の近くに転生した。
ソラバルの街で冒険者ギルドに登録し、一ヶ月間安全な依頼を受けてお金をコツコツ稼いで、ユウカへ会うためにこの街へ移動してきたわけだ。そのソラバルの街に何かあったのだろうか?
『うん。実はソラバルの街がちょっとピンチでね……。カケルくんはこの世界の天災である【大地喰らい】って知ってる?』
「大地喰らい……? いや、初めて聞く名前だ」
「私も知らない」
天災……大地喰らい……どちらも初めて聞いた。アオイも心当たりはないみたいだ。
「もしかして、アビストータスのこと?」
『さすがに冒険者のユウカさんは知っているみたいだね。そのアビストータスのことだよ』
……一応俺も冒険者なのだが、俺は街の中で安全な依頼を受けていただけの一番下のFランク冒険者なので、一番上のSランク冒険者のユウカとは情報量は天と地ほど違う。
『この世界でSランクの魔物として登録されている特別な個体種であるアビストータス。カメのような魔物なんだけれど、その身体はまるで山のような大きさで、強固な甲羅はどんな攻撃をも阻むと言われている。食欲旺盛でその魔物が通ったあとには緑豊かな山でさえ、何も残らないらしい。100年以上倒されていないまさに天災と呼ばれるにふさわしい魔物だよ』
「Sランクの魔物……」
あのとんでもない威圧感のあった大きな魔物であるスレイプニルでさえもAランク相当の魔物だったはずだ。
それよりも上のSランクの魔物。冒険者のランクもそうであるが、魔物のランクもAランクとSランクには大きな壁があると聞いている。そしてランクの最高はSランクのため、Sランクの中でもその力には差があるらしい。100年も倒されていないのなら、間違いなくSランクの中でも上位に入るはずだ。
冒険者による魔物のランクの目安によると、ひとつ離れているのなら撤退を考えて行動し、ふたつ離れているのなら即座に撤退するという話を冒険者になった時に聞いた。
『カケルくんがソラバルの街にいたことは聞いていたからね。もしかすると、カケルくんがお世話になった人や大事な人がいるんじゃないかと思って、緊急で連絡したんだよ』
「っ! いるよ! ソラバルの街の人たちは!?」
『落ち着いて。すでにソラバルの街の住民には避難勧告が出ているから大丈夫だと思う。アビストータスはとても硬くて強い魔物だけれど、足が非常に遅いという特徴があるんだ。まだ街に到達していないはずだよ』
「そうなのか。よかったあ……」
レインの言葉を聞いてほっとする。
たった一月の間だけれど、あの街ですごくお世話になった人もいる。その人たちが無事で心の底から安心した。
「……そういえば、カケルがソラバルの街にいたころの話は聞いてなかったわね。その人はどんな人なの?」




